英語の主な「対語」表現(前後・左右など)、日本語との比較

上下、前後、裏表、のように相対する語を並べて述べる言い方を対語といいます。対語表現は英語にも沢山あります。たとえば east and west(東西)、boys and girls(少年少女)など。

英語の対語表現と、それに対応する日本語の対語表現とでは、言葉を並べる前後順が必ずしも一致しません。必ず逆順になるとも限りません。日本語では対語で表現するけれど、英語ではもっと別の語彙で述べた方が適切、という場面も少なくありません。その辺の勘どころを少し押さえておきましょう。

英語の対語表現は、 and を使って並べるという特徴もあってか、語の前後順を入れ替えて述べても、意味があらかた通じる期待が持てます。とはいえ、一般的な前後順はあります。これを逆順で述べると、違和感の元になったり、何か特別な含意が込められているように誤解されたりする懸念が残ります。

日本語と英語にそれぞれ対応する表現がある対語表現

日本語とは前後順が逆転する例

日本語と同様に対語で表現されることが多いものの、日本語とは並び順が逆になっている、という場合は、少なからずあります。

日本語を手がかりに英語表現を考える思考方法だと、英語で一般的な述べ方はまず導き出せません。ひとつの言い回しとして丸ごと把握してしまいましょう。

old and new や come and go などは、日常会話でもよく用いる言い方です。よく復唱して、口をついて出る境地に達してしまいましょう。

  • 白黒 ―― black and white
  • 新旧 ―― old and new
  • 濃淡 ―― light and shade
  • 老若 ―― young and old
  • 悲喜 ―― joy and sorrow
  • 貧富 ―― rich and poor
    または、wealth and poverty
  • 苦楽 ―― joy and sorrow
    または、pleasure and pain
  • 前後 ―― back and forth
  • 左右 ―― right and left
  • 遠近 ―― near and far
  • 売買 ―― buying and selling
  • 需給 ―― supply and demand
  • 発着 ―― arrival and departure
  • 公私 ―― private and public
  • 労使 ―― employer and employee
  • 時空 ―― space and time
  • 行き来 ―― come and go
  • 出入り ―― (going)in and out
  • 飲食物 ―― food and drink
  • あれこれ ―― this and that
  • 飲み食い ―― eat and drink
  • 紳士淑女 ―― ladies and gentlemen
  • あの手この手―― this way and that
  • あちらこちら ―― here and there

3語からなる言い回しの例

  • 赤青緑(光の三原色) ―― Red, Green and Blue(RGB)

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日本語と前後順が一致する例

英語の対語表現の中には、日本語と同じ順序の方が一般的といえる例も少なからずあります。「正と反」あるいは「メインとサブ」のような意味的な序列を見いだせる例が多く含まれます。

  • 善悪 ―― right and wrong
  • 正誤 ―― true or false
  • 内外 ―― inside and outside
  • 上下 ―― above and below
    または、up and down
    または、top and bottom
  • 東西 ―― east and west
  • 夫婦 ―― husband and wife
  • 親子 ―― parent and child
  • 主従 ―― master and servant
  • 貸借 ―― lend and borrow
  • 攻守 ―― offense and defense
  • 勝敗 ―― victory or defeat
  • 国内外 ―― domestic and overseas
  • 少年少女 ―― boys and girls
  • 試行錯誤 ―― trial and error
  • 勝ち負け ―― win and lose

3語からなる言い回しの例

  • 大中小 ―― large, medium and small
  • 上中下 ―― upper, middle and lower
  • 上中下(巻) ―― first, second and third volumes
    または、first, middle and last volumes
  • 上中下(の等級) ―― high, middle and low
  • 真善美 ―― truth, goodness and beauty

英語に固定的な対語表現が特にない場合

対語の形で表現できる場合もある

日本語では対語で表現されるものの、英語では対応する対語表現が特にない、それでも対語の形で「A and B」と述べれば無難に意味は通じる、という場合もあります。

この場合、一般的と表現できる並び順が特にないことになります。あえて対語として表現するなら自分で適切な並び順を考える他ありません。

  • 紅白 ―― red and white や white and red
  • 大小 ―― small and large や large and small
  • 父母 ―― father and mother や mother and father

「対」を包括するような言葉で表現する

日本語では対語で表現する言い方が普通でも、英語では普通は対語を使わない、という場合もあります。この場合、対になる2項を包含する上位概念で示すことになります。

  • 雄雌 ―― sex(性)
  • 手足 ―― limbs (肢)
  • 呼吸 ―― breath (息)
  • 有無 ―― existence(存在)
the war between the sexes
男女間の戦い
They were sentenced to a truncation of their limbs.
彼らは、手足の切断の刑を命じられた

上位概念で示す考え方は全般的に大切

対になる語を上位概念を使って包括するような述べ方・考え方は、英語に対語表現がある場合でも、十分に検討に値します。

たとえば boys and girls なら children と表現した方がスッキリするかもしれません。right and left(左右)と述べたい場面なら、direction(方向)と表現した方が適切に趣旨が伝わるかも知れません。文脈によっては course(進路)と表現すべきかもしれません。

こうした言い換え方は、英語に限らず、日本語の表現力を鍛える意味でも有益な部分がありそうです。


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