発達障がいの子どもが小学校入学前に準備しておくことまとめ
4月は進学、入学のシーズンです。小学校へ入学する子どもたちは、「たくさん友だちを作りたい」「勉強を頑張りたい」と、希望を膨らませていることでしょう。
発達障がいを抱える子どもは、環境の変化に敏感です。今まで通っていた幼稚園・保育園と小学校とでは環境が大きく変わります。親御さんの中には、子どもの成長の喜びと同時に不安も抱えている方もいることでしょう。
お子さんが小学校へ入学した時に、楽しく、元気に学校生活を送れるように、親御さんは入学前に何をしてあげればよいでしょうか。
幼稚園・保育園と小学校との違い
通常学級・支援学級のどちらも、小学校での1日の過ごし方や生活スタイルは、幼稚園・保育園と大きく異なります。幼稚園・保育園では、比較的ゆったりとした大まかなスケジュールで1日を過ごしますが、小学校では、時間割に沿ってスケジュール通りに1日を過ごします。
活動内容も、幼稚園・保育園では遊びが中心でしたが、小学校では勉強が中心になります。小学校の授業は、1コマ45分間と決められていて、授業と授業の間は5分間、あるいは10分間の休憩時間があります。休憩時間を使ってトイレへ行ったり、次の授業の準備をしたりするなど、規則正しい時間を過ごさなければなりません。
身辺自立チェックリスト:学校で身の回りのことを自分でできるように
小学校の通常学級では、担任の先生が20人~30人の児童を見るため、つきっきりで支援してもらうことは難しいでしょう。授業の準備や自分の机、引き出し、ロッカーなどの整理片づけなどを自分でできるような身辺自立が必要です。できるだけ自分のことは自分でできるようにしておくことで、入学後の困り感が少なくなります。小学校入学前に、お子さんは何ができて何ができないのか、身辺自立のチェックをしておきましょう。
身辺自立チェックリスト
1) 衣服
・着衣脱衣が1人でできる
・脱いだ服をきちんとたためる
2) 靴
・1人で運動靴や上履きが履ける
・かかとを踏まないで履ける
・靴箱に靴を入れられる
3) 手洗い
・給食の前に手洗いできる
・トイレの後に手洗いできる
・石鹸を使って手洗いできる
・手洗いの後は、ハンカチなどを使って手を拭くことができる
4) 口の清潔
・給食の後に歯磨きができる
・歯磨き剤を使うことができる
・歯磨きが終わったら口の周りをハンカチなどで拭くことができる
5) 持ち物
・ハンカチとティッシュを使い分けできる
・いつも清潔なハンカチを携帯している
・ティッシュが切れそうになったら補充できる
・排泄、トイレ
6) 便器に正しく排泄できる
・トイレを使い終わったら水を流すことができる
・トイレットペーパーを適度な長さに切って使える
・トイレの大と小を使い分けることができる(男の子の場合)
・トイレの後に衣服を正しく戻して着ることができる
・トイレの後に手洗いできる
・トイレのスリッパが使える
・トイレ後はスリッパを並べて置くことができる
・1人でトイレに行くことができる
・休み時間にトイレに行くことができる
・授業中にトイレに行きたくなったら先生に伝えることができる
7) 校舎内
・廊下を静かに歩くことができる
・教室では静かにしていられる
・入ってよい教室と入ってはいけない教室の見分けができる
・教員室や保健室の場所を知っている
8) 持ち物の管理
・自分の持ち物に名前を書くことができる
・自分の持ち物の場所を覚えている
・持ち物を整理することができる
・学校に置いておくと持ち帰る物の区別ができる
・持ち帰った物を再び学校へ忘れずに持っていくことができる
9) 登下校
・集団で登下校することができる
・登下校のルートを理解している
・交通ルールを守って登下校できる
・不審者に遭遇したときの対応方法を理解し実行できる
・防犯ブザーなどの防犯グッズの使い方を理解し操作できる
担任の先生と連携して学校生活の不安を減らそう
子どもが安心して学校生活を送るには、担任の先生の支援が必要です。入学前に、親御さんとお子さん、担任の先生との間で面談をするとよいでしょう。面談の際には、サポートシートを用意します。サポートシートとは、発達障がいの状況や特性、乳幼児健診などの結果などを書いた用紙のことです。担任の先生をはじめ、関りのある先生たちで情報を共有して子どもをバックアップします。
面談の際には、子どもがパニックになった時にクールダウンする場所を確認しておきます。保健室など、人の出入りが少なく静かな場所がよいでしょう。教室からクールダウンする場所までの行き方も覚えておきます。
校内をぐるっと見学しておくこともお勧めです。教室や教員室、体育館、トイレなど、子どもと確認しておきましょう。
子どもだけの登下校のときに気をつけること
登下校は、自由に登下校できる小学校もあれば、登校班で登下校する小学校もあります。
地域によってはかなり長い距離を歩くこともあり、小さい子どもにとっては長時間重たい荷物を持って歩くことになります。なるべく子どもに負担がかからないような配慮をしてあげましょう。
発達障がいの子どもは気が散りやすく、周りのペースに合わせて動くことが苦手です。登校班で登下校する場合は、周囲を気にすることなく一定のスピードで歩けるように練習をしておくとよいでしょう。決められた時間までに学校に到着できるようにしておくことも大切です。
登下校の途中には、交通量の多い道路や危険な場所もあります。1人で登下校をする小学校であれば、安全に行動できるように親御さんが付き添ったり、車で送迎したりするのもよいでしょう。支援級在籍の場合は、保護者の送迎を求める学校もあります。
授業への準備:道具を上手に利用して支援する
発達障がいの子どもは、手先が不器用なことが多いので使いやすい文房具を選びましょう。例えば、三角軸の形状をした鉛筆は持ちやすく、転がりにくいという特徴があるのでお勧めです。消しゴムは消しやすいものを選びます。
小学校では、休み時間の間に持ち物を整理したり片付けしたりして次の授業に備えます。ノートは科目ごとに色を変えて判別しやすいようにしてあげましょう。持ち物は、名前だけでなく自分のマークになるシールを貼っておくと判別しやすくなります。
授業中、先生に質問をする時や答える時には手を上げて、指されてからしゃべります。授業中のルールは一通り教えておくとよいでしょう。
授業中のルールは、学校やクラスによって異なります。担任の先生にどのようなルールがあるのかあらかじめ聞いておくとよいでしょう。
給食:意外と難しい給食当番の仕事
特別支援学級に在籍する児童も、給食は交流級で食べるケースが多く見られます。給食は、時間内に食べ終われるように家庭で練習しておきましょう。テレビを観ながら食事をしたり、マンガを読みながら食事をしたりする習慣があれば、就学前に改善を図っておきましょう。また、発達障がいを抱える子どもの中には、イチゴのブツブツが恐くて食べられない、コロッケの衣が硬くて食べられないという子どももいます。偏食や小食が改善できない時は、あらかじめ担任の先生に伝えておき、配慮してもらうとよいでしょう。
給食当番になると、食事を教室に運んだり配膳をしたりします。たくさんの作業を短い時間にこなすので、発達障がいの子どもには難しいかもしれません。家で配膳を手伝ってもらいながら配膳の練習をするとよいでしょう。
放課後等デイサービスを活用しましょう
家庭の事情によっては、放課後を学童保育で過ごす子どももいます。学童保育に不安がある場合には、放課後等デイサービスの利用がお勧めです。放課後等デイサービスは、発達障がいの知識のある指導員が対応するので、子どもはのびのびと過ごすことができます。また、宿題を見てもらったり習い事を教えてもらったりと、放課後の時間を充実させることができます。学校生活とは異なる人間関係を築けるのも魅力のひとつです。
まとめ
6年間の小学校生活で、子どもたちは大きく成長します。安心して楽しく過ごせるように、就学に向けて準備をしておきましょう。