放課後等デイサービスの療育プログラム
放課後等デイサービスとは、発達障がいの子どもが放課後や日曜日、夏休みなどの休校日を利用して生活能力向上のための訓練を行うための施設、サービスのことです。療育内容は事業者によってまちまちで、生活面や運動面、身体面、学習面、社会面など多岐にわたります。
放課後等デイサービスではどのような療育プログラムを提供しているのでしょうか。
生活面では着替えやトイレなどの指導が行われる
生活面では、着替えや食事、トイレなど日常生活を送る上で必要なスキルを身に付けます。子どもによってできることとできないことがあるため、1人ひとりの特性に合わせた指導を実施して改善を図っていきます。
着替えでは、シャツの着方やズボン、パンツの穿き方、服の裏表を正しく判別する方法、靴下の履き方やかかとの合わせ方などを指導します。服の裾をズボンの中に入れる方法、ズボンの後ろの部分を上まで上げる方法、服のボタンをめたり外したりする練習、掛け違いしないような指導も行います。うまくできない子どもには、おはじきや小さい玉を使って手先を器用にする訓練も行います。また、靴の紐を結ぶ練習やエプロンの紐を結ぶ練習もします。紐結びは小学校入学までには習得しておきたいスキルです。
食事の面では、箸や茶わんの持ち方、スプーンやフォークの使い方を学びます。食事中は、こぼさないで口まで運ぶこと、茶碗やコップを倒さないことなど細かく指導します。小学校から給食が始まりますので、食事はしっかりできるようにしたいものです。給食の当番になればご飯やスープを盛る機会がありますので、上手に盛り付けられるようにしておくとよいでしょう。
トイレの面では、排せつの仕方、トイレットペーパーの使い方、便座の使い方、排せつ後の手洗いなどを指導します。トイレへ行くタイミングや便を衣服に付けないようにすること、漏らさないことなども念入りに指導します。家では排せつができるのに、学校ではできないといったようなこともあるので、小学校に入学するまでには1人でトイレに行けるようにしておくとよいでしょう。
運動面ではボールを使ったりブランコで遊んだりする
運動面では、走ったりジャンプしたりするといった基本的な動作をはじめ、ボールの扱い方や器具の使い方などを身に付けます。小学校に入学すると、友だちと公園や校庭に設置されているブランコやジャングルジム、鉄棒などで遊ぶ機会が増えます。ブランコでは乗り方やこぎ方、降り方の指導、ジャングルジムでは昇り降りやくぐり方の指導を行います。鉄棒は、ぶら下がることから始めて運動力が付いてきたら逆上がりの練習を行います。
身体面のプログラムでは歩き方や手先の運動を行う
身体面では、身体全体の動きや手を使った動きなどのプログラムを組みます。身体全体の動きでは、歩き方や走り方、止まり方、階段の上り下り、椅子の座り方や立ち方などの指導を行います。人とすれ違う時に肩が当たらないような歩き方や危険回避、前方に注意しながら横をチラッと見て歩く方法なども指導します。
手を使った動きでは、鉛筆の持ち方や消しゴムの使い方、ペットボトルの蓋の開け方や箱の開け方、折紙の作り方などの指導が行われます。
オンライン英会話サービスを提供する放課後等デイサービスも
学習面では、国語、算数をはじめ理科、社会、音楽、図工など子どもが苦手とする分野を中心に指導します。学習障がい(LD)を抱える子どもには、読む、書く、聞く、話す、計算するの各分野について能力アップを図っていきます。2020年度から小学校3年生で英語の授業が始まることから、オンライン英会話サービスを提供する放課後等デイサービスも出てきています。
社会面のプログラムでは社会性や対人関係のスキルを身に付ける
社会面では、社会性や対人関係のスキルを身に付けます。例えば、学校は集団生活の場なので、教室内の空気を読むことや状況を把握するスキルが求められます。ADHDを抱える子どもの場合、授業中に大声を発したり教室から出て行ったりするケースが見られますので、そのようなことがないように改善を図ります。学校生活の流れが把握できない子どもや、係、当番の意味を理解できない子どもへの指導も行います。
対人関係では、コミュニケーション能力を養います。相手の表情を見て感情を読み取る方法、相手の立場になって考えたり発言したりすること、他人に合わせることなどのスキルを身に付けます。友だちを作ること、仲間に入ること、ルールを守ることといったことも指導します。
関連サイト
障害児支援の強化について – 厚生労働省
今後の障害児支援の在り方について – 厚生労働省
放課後等デイサービス – 独立行政法人福祉医療機構
障害福祉サービス等の現状 – 厚生労働省