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発達障がいの子どもが通常学級で安心して過ごすための支援方法

4月は進級・進学シーズンです。学年が1つ上がって、「新しい先生は恐くないかな?」「友達と仲良くなれるかな?」と心配する子どももいることでしょう。また、新しく小学校へ入学する子どもは、「小学校ってどんな所かな?」「うまく勉強できるかな?」と不安に思っているかもしれません。特に、発達障害を抱えている子どもは変化に敏感で、新しい学校生活が楽しみというよりも、先が見えない不安のほうが大きくなっています。
小学校では授業が始まり、集団行動の機会も増えてきます。保護者の中には、うまくやっていけるのか不安に駆られている方もいることでしょう。発達障がいの子どもが通常学級で安心して過ごせるように、家庭と学校が連携して準備を進めてきましょう。

通常学級と特別支援学級の違い

小学校には、通常学級特別支援学級の2種類のクラスがあります。通常学級は、特別に事情のない児童たちで編制されたクラスのことです。一方、特別支援学級は、何らかの障がいを抱える子どもを対象に、障がいに応じた特別な教科指導を行ったり、学校生活を送る上での困難を改善、克服をするための指導を行ったりするクラスのことです。
 
特別支援学級について、学校教育法では次のように定めています。
 
第八十一条 幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校においては、次項各号のいずれかに該当する幼児、児童及び生徒その他教育上特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対し、文部科学大臣の定めるところにより、障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとする。
○2 小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校には、次の各号のいずれかに該当する児童及び生徒のために、特別支援学級を置くことができる。
一 知的障害者
二 肢体不自由者
三 身体虚弱者
四 弱視者
五 難聴者
六 その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの
○3 前項に規定する学校においては、疾病により療養中の児童及び生徒に対して、特別支援学級を設け、又は教員を派遣して、教育を行うことができる。
(参照:学校教育法 – e-Gov

 
文部科学省の調査によれば、全小学生648万人のうち、およそ2.4%の152,580人が特別支援学級に在籍していることがわかりました。
 
通常学級と特別支援学級とでは、1クラスの人数や授業スタイルなどで違いがあります。
1クラスの人数は、通常学級では最大40人、特別支援学級では最大8人と法律で定められています。実際には、通常学級は28人程度、特別支援学級は3人程度が在籍しています。
特別支援学級での授業は、障がいの特性に応じて適切な支援を行いながら進められていきます。他のクラスメイトが気になる子どもには、落ち着いて勉強できるように間仕切りで遮断をしたり、読むことが苦手な子どもには、文字が読みやすいように拡大コピーのプリントを使ったりします。
特別支援学級に在籍している児童は、1日中特別支援学級で過ごすわけではありません。朝の会や帰りの会、給食の時間などは通常学級へ移って、他の児童と同じ時間を過ごします。また、体育や音楽、図工などの授業も通常学級で受けることがあります。
 
特別支援学級のある学校には、「特別支援教育コーディネーター」と呼ばれる人がいます。特別支援教育コーディネーターは、保護者と学校との窓口となる人で、学校内の関係者や福祉、医療等の関係機関との連絡調整などを行います。お子さんが就学する前に、一度小学校へ出向き、特別支援教育コーディネーターに相談してみるとよいでしょう。
(参照:公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律 – e-Gov

発達障がいの子どもたちも通常学級に入ることができる

発達障がいがあるからといって、特別支援学級に入らなければならないということはありません。
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)が2016年に施行されました。障害者差別解消法では、児童一人ひとりの困りごとに合わせた「合理的配慮」を行うことが義務付けられています。この法律が担保になり、発達障がいを抱える子どもでも安心して通常学級に入ることができるようになりました。

(参照:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 – 内閣府

 
通常学級と特別支援学級のどちらに入れるかは、就学相談を経て最終的に保護者が判断することになりますが、同じ障がいを抱える子どもの保護者や、特別支援教育コーディネーターなどとよく相談した上で決めるとよいでしょう。
子どもの特性も判断材料の1つです。チェックしておきたい大切なポイントがいくつかありますので、お子さんの状況と照らし合わせてみてください。
 
通常学級で生活するための大切なポイント

・45分間座ったまま静かに授業が受けられる
・困った時に意思表示ができる
・順番を待つなどのルールを理解して守れる
・集団活動に参加できる
・一斉指示が通る

発達障害の子どもたちが小学校へ入学する前の準備と支援

子どもが安心して楽しい学校生活を送るためには、家庭と学校が連携して支援していくことが大切です。子どもが就学する前のなるべく早い時期に、学校と連絡を取り合い、情報交換をするとよいでしょう。
 
子どもが困っている時の対応方法を伝える
何はともあれ、子どもの特性や遅れを理解してもらうことが大切です。子どもが困っている時にどのように声かけをすればよいのか、クールダウンするにはどこに連れて行くとよいかなどを伝えるとよいでしょう。
 
先生と面談をする
入学前に、担任をはじめとして校長や教頭、学年主任、特別支援教育コーディネーターなどと面談をして、子どもへの理解を深めてもらいましょう。発達障がいを抱える子どもは、クラスの友だちから「変わった子」と見られがちです。同級生とトラブルになることもあるかもしれません。そのような時に、学校側はどのように対応してくれるのかを聞いておくとよいでしょう。
 
サポートブックを作る
サポートブックとは、子どもが小学校でどのように過ごしていたか、家庭でどのようなことがあったかなど、子どもの状況を共有するための連絡帳のことです。入学前に担任に渡しておくとよいでしょう。サポートブックのあるなしにかかわらず、子どもには、学校での出来事を毎日聞くようにしましょう。
 
入学前に親子で小学校を見学する
子どもは、新しく行くことになる小学校に不安を抱いています。入学前に子どもを連れて学校を見学して、教室やトイレ、体育館、職員室、保健室などの場所を確認しておくとよいでしょう。

通常学級と通級教室は併用して支援を受けられる

普通級に在籍しながら、通級教室で支援を受けることもできます。通級教室とは、通常学級に在籍している軽度の障がいのある児童に対して、主として各教科等の指導を普通学級で行いながら、障がいに応じた特別の指導を、特別の指導の場で行う指導形態のことです。通級教室へ通うための手続きは自治体で異なるので、早めに学校に確認するとよいでしょう。
なお、通常学級での生活に困難を示した時は、進級する時に特別支援学級に転学することもできます。

学校が終わったら、放課後等デイサービスの利用がお薦め

放課後を自宅で一人で留守番をすることが難しい子どもは、学童保育か放課後等デイサービスを利用するとよいでしょう。
放課後等デイサービスとは、2012年に児童福祉法に基づいて創設された、学齢期の障がい児をサポートするための施設です。学校教育と併用して、生活能力向上のための訓練や発達障がい児の自立促進、放課後の居場所づくりなどに利用されています。放課後等デイサービスでは、特別支援の知識や経験のあるスタッフと安心して過ごすことができます。例えば、宿題を見てもらったり、英会話を習ったりすることができます。小学校以外の友達とも出会うことができ、居場所を作ることにもつながります。指導員から療育を受けることもでき、保護者の悩みの窓口としても期待できます。放課後等デイサービスを上手く利用すれば、お子さんはもとより、保護者の方も充実した時間を送ることができるでしょう。

まとめ

子どもたちが元気な姿で学校に通うためには、周囲の理解と適切な支援が必要です。学校や支援機関、医療機関などと連携して、お子さんを支援していきましょう。

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