未就学児向けの福祉サービス「児童発達支援」とは?
児童発達支援は、2012年の児童福祉法の改正によって生まれた新しい福祉サービスで、障がいを抱える未就学の子ども向けのデイサービスです。子どもたちは、児童発達支援を通じて日常生活の中で必要な能力を身につけて療育を受けます。
児童発達支援を受けている子どもの数は年々増加の傾向にあり、2015年3月時点でおよそ7万5,000人が利用しています(国保連調べ)。また、児童発達支援事業を展開する団体や企業も増え続けており、全国に3,900余りの事業所があります。
これから児童発達支援を受けようと考えているご家庭のために、児童発達支援のことや事業所のことについてまとめてみました。
児童発達支援とは?
児童発達支援とは、着替えや歯みがき、トイレ(排せつ)など日常生活における基本的な動作の指導や知識、技能を身につけさせたり、集団生活に適応するための訓練を行ったりするサービスです。いわゆるデイサービス(通所支援)の1つで、週に1~2回程度、施設へ通って療育を受けます。
何らかの障がいを抱える未就学児への支援には、障がい者自立支援法に基づいて市区町村が実施する「児童デイサービス」、児童福祉法に基づいて都道府県が実施する「知的障がい児通園施設」や「難聴幼児通園施設」、「肢体不自由児通園施設」、そして都道府県が予算事業の1つとして実施する「重症心身障がい児(者)通園事業」などがありました。2012年に児童福祉法が改正されて、支援内容が「児童発達支援」、「医療型児童発達支援」、「放課後等デイサービス」、「保育所等訪問支援」の4つに再編成されました。それに伴って実施する自治体は市区町村に一本化されました。
児童発達支援には2種類のサービスがあります。児童発達支援事業と児童発達支援センターです。どちらも児童発達支援を行うことに変わりはありませんが、児童発達支援センターでは加えて保育所等訪問支援や相談支援なども行います。相談支援は、例えば障がい児支援利用計画の作成などを行うサービスです。
児童発達支援事業所は3年間で1.4倍に増加
下のグラフは、子ども向けの福祉サービスを展開する事業所の数の推移を表したものです。児童発達支援事業所は年々増加の傾向にあり、2015年の時点で全国に3,942の事業所があります。2012年からの3年間でおよそ1.4倍増加しています。また、表の中で最も増加率の高いのが放課後等デイサービスで、2012年から2015年までの3年間で事業所数が2倍以上に増えています。児童発達支援、および放課後等デイサービスの事業所数は今後も増え続けていくことが予想されます。
出典:社会福祉施設等調査の概況(厚生労働省)
児童発達支援事業の運営母体は3分の1が企業
下のグラフは、障がい福祉サービスの運営母体の割合を示したものです。児童発達支援事業の主な運営母体は企業で、次いで社会福祉法人、特定非営利活動法人の順となっています。近年は、企業の福祉サービスへの参入が増えています。
出典:社会福祉施設等調査の概況(厚生労働省)
児童発達支援の利用回数は月に5.4回程度
下のグラフは、児童発達支援や放課後等デイサービス、保育所等訪問支援などの1か月あたりの利用回数を示したものです。児童発達支援事業の利用回数は5.4回という結果でした。1週間に1回、多い週は2回利用するといったところです。児童発達支援の中で最も利用回数の多かったのは放課後等デイサービスでした。
出典:社会福祉施設等調査の概況(厚生労働省)
関連サイト
障害児支援について – 厚生労働省
児童発達支援センター – 独立行政法人福祉医療機構
児童福祉法 – e-Gov
平成24年4月から障害児の福祉制度が変わります – 糸満市