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コラム
英作文・ライティング

英検3級のライティングテスト対策・指導のポイント


文部科学省は、2020年度から大学入試センター試験(センター試験)に替わって大学入学共通テスト(共通テスト)を開始すると発表しました。共通テストの英語では、英検などの外部試験を活用して「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を評価することになります。

 

 

2技能試験から4技能試験へ移り変わる中、英検を運営、主催する日本英語検定協会では、2017年度から英検準2級英検3級でライティングテストを導入しました。英検3級の合格レベルは、中学校卒業段階の英語力です。英検3級の受検生を担当する講師は、どのような点に留意して指導すればよいでしょうか?

 

英検3級ライティングテストのポイント

英検3級のライティングテストでは、「論理性を重視した英文を書く」ことが求められています(参照:日本英語検定協会「ライティングテストの採点に関する観点および注意点」)。生徒の記述が論理的におかしくないか、矛盾する意見が書かれていないかをチェックします。

 

意見が作文にしっかりと盛り込まれているかも大事なポイントです。客観的な事実を述べるだけの英文になってしまい、意見が盛り込まれていなければ減点の対象になります。問題にしっかり答えていない場合には0点になることもあります。

 

【悪い解答例】
Question : Which subject do you like the best?

 

Answer : I like math because I can answer questions more quickly than other students. However, I think English is more important than math. So I like English the best.

 

悪い解答例では、最初に数学が好きだと言っていますが、最後には英語が最も好きだという結論に至っています。最初と最後で言っていることが違うため、減点対象になります。文章量を増やそうとするあまり、論理性を無視した文章を書いたり、矛盾した文章を書いたりすることがあります。

 

文章全体の流れ」を重視することも大切です。理由を書いたとしても正しい接続詞を使っていなければ減点対象になります。等位接続詞(andやbutなど)で文章を始めている、従位接続詞で文章を始めているのにカンマがない、などはミスしやすいのでよくチェックするとよいでしょう。

 

【等位接続詞を用いた悪い解答例】
I didn’t want to go there. But I had to.

 

【等位接続詞を用いた良い解答例】
I didn’t want to go there, but I had to.

 

【従位接続詞を用いた悪い解答例】
When I was a child I used to play with my brother.

 

従位接続詞のwhenで文章を始めている場合には、childとIの間にカンマを打たなければなりません。カンマを打つか、I used to play with my brother when I was a child.のように記述します。

 

ライティングの指導では、総合的な英語のインプットを増やしながら「書く」ことのアウトプットを進めていくとよいでしょう。また、「読む」「聞く」のインプットを増やして内容を理解させた上で、「書く」ことのアウトプットを進めていくと「読む」「聞く」「書く」の技能を伸ばすことができます。

英検3級ライティングテストの採点基準

英検3級におけるライティングテストの採点基準は日本英語検定協会のWebサイト「ライティングテストの採点に関する観点および注意点」に掲載されています。

 

採点基準の1つ目の観点は、課題で求められている内容がしっかり含まれているかどうかです。英検3級のライティングテストでは、ある課題に対して、自分の考えを1つと、なぜそう思うのかという理由を2つ書くことが求められます。「考え」と「理由」を書くというのは、平均的な中学生のライティングスキルならばこなせる課題ですが、考えと理由の結びつきが弱い文章にならないように注意する必要があります。

 

【問題例】
「以下の主張に対するあなたの考えを書きなさい」
We should study English.

 

【悪い解答例】
I agree with this idea because I like English.

 

【良い解答例】
I agree with this idea because if I study English, I can make friends with foreign people.

 

悪い解答例では、考えと理由の結び付きが弱い文章と捉えられてしまいます。良い解答例では「英語を勉強すれば外国人の友達をたくさん作ることができる」という明確な理由が記述されています。

 

2つ目の観点は、英文の構成や流れがわかりやすく論理的であるかどうかです。余計な情報をなるべく省いて、適切な接続詞を使って英文全体の構成を分かりやすくするのが良いでしょう。

 

【悪い解答例】
I like winter the best, but I also like summer. I went to swimming last summer.

 

悪い解答例では、最初に冬が最も好きだと述べたあと、夏も好きだと述べています。後ろの文で夏の話をしていますので(去年の夏は泳ぎに行った)、I like winter the bestは読み手を混乱させる不要な情報であることが分かります。

 

3つ目の観点は、場面に応じた適切な語彙が使えるかどうかです。無理に難しい語彙を使う必要はありませんが、さまざまな語彙を駆使して記述した方がよいでしょう。英語以外の言語(主に日本語)を使う場合は、しっかりと英語で補足説明することが求められます。

 

【悪い解答例】
Japanese people often do “Ohanami” in spring. “Ohanami” is very fun. When you come to Japan in spring, you should try “Ohanami”.

 

【良い解答例】
Japanese people often do “Ohanami” in spring. “Ohanami” is to see cherry blossoms while eating or drinking something.

 

悪い解答例では、「お花見」という日本語の説明がないまま文章が終わっているので、「お花見」とは何なのかが分からないままです。良い解答例では、2文目に「お花見」の説明が記述されています。

 

4つ目の観点は、文法的に正しい文章が書けるかどうかです。英検3級に合格するには中学校卒業段階の文法力が求められます。高等学校で習う文法までは求められません。中学校で習った文法をシンプルに記述してくようにしましょう。

 

【悪い解答例】
When I read the letter which my mother gave me, I felt happy.

 

【良い解答例】
My mother gave me a letter. The letter made me happy.

 

悪い解答例では、関係代名詞を用いてthe letterを修飾し、whenを用いた複文になっています。文法的には間違っていませんし、関係代名詞も複文も使ってよいのですが、しっかりと理解していないとミスする可能性が高くなります。良い例では、複文を2つの単文に分け、the letterを主語とした無生物主語の構文にして文章をすっきりさせています。

中学生のライティング能力は、多くの生徒が自分の「考え」と「理由」が書けるレベル

文部科学省が中学3年生を対象に行った英語力調査によると、中学生の多くは身近なテーマならば自分の「考え」と「その理由」が書けるレベルという結果が出ています。

 

一方、中学生は英語4技能のうち「書くこと」を最も苦手としていることがわかりました。平成28年度英語力調査によると、正答率平均は「読むこと」「話すこと」「聞くこと」がおよそ50%だったのに対して、「書くこと」は32.9%という結果でした。

出典:平成28年度英語力調査結果(文部科学省)

 

ライティングテストでは約半数がCEFR A1レベル以上の能力を持っています。その一方で、15.6%は無得点という結果が出ています。英文が書ける生徒と全く欠けない生徒の差が大きいということが言えます。詳しく見ると、「内容」「表現」「構成」の項目では、「構成」の得点が他の項目よりもやや低い結果になっています。平均的な中学生は、英文を作ることができても、まとまりのある文章を書くことが苦手な傾向にあるようです。

出典:平成28年度英語力調査結果(文部科学省)

関連サイト

英検 – 公益財団法人 日本英語検定協会
CEFRと日本の英語教育 – 大阪女学院大学の教員養成センター
グローバル化に対応した英語教育改革実施計画 – 文部科学省

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