中学生の英作文が上達する練習方法まとめ
英作文では、正しい文法や語彙を用いて、求められている課題に対してわかりやすく、流れるような構成で書くことが求められています。文部科学省の調査によれば、中学3年生の英作文は、文を作ることはできても、まとまりのある文章を書くことに課題があるという評価を出しています。
英作文の能力を上達させるためには、日ごろからの練習が大切です。生徒にはどのようにして英作文の練習をさせればよいでしょうか。
目次
話の流れや内容の明瞭さを意識して英作文させる
英作文の指導の際には、話の流れや内容の明瞭さを意識させます。話の流れは、「意見または考え、理由1、理由2、結び」または「意見または考え、理由、理由の補足説明、結び」の順番で記述するように指導します。
例えば、「これから努力しようと思うことは何ですか」という設問に対して、「考え、理由、補足、結び」の順番で記述すると以下のような構成になります。
I would like to study English more in the future because I would like to work abroad.
私は海外で働きたいので、英語をもっと勉強していきたいです。
My father worked in America before.
父は以前アメリカで働いていました。
He still works with many foreign people.
彼は今も多くの外国人と仕事をしています。
I think he is very cool, and I would like to be like him.
私は父がかっこいいと思います。そして、彼のようになりたいです。
That’s because I will study English hard in the future.
だから、これから英語の勉強を一生懸命しようと思います。
まず1文目で考えと理由を述べます。そして、2文目~4文目で理由を補足する内容を述べ、5文目で結びます。
生徒が分かる表現の範囲で書くようにアドバイスすることも大切です。例えば、「これから」の語を英語で表現できない生徒がいる場合、「高校に入ったら」「大人になったら」と表現を換えるようにアドバイスします。in the futureの代わりにwhen I enter high schoolを用いればよいことを教えてあげましょう。中学生の学習する語彙数はそれほど多くないため、英作文で書ける内容も制限されます。書きたいトピックがあっても、英語で書けない単語が出てきてしまい英作文できない、ということもあるかもしれません。そのような場合は、知っている単語だけで表現できるように練習をさせるとよいでしょう。
同じ内容、表現の繰り返しを避ける練習をさせる
書く内容が思いつかない、語彙力が不足しているという生徒は、英作文で同じ内容や表現を繰り返して書いてしまうことがあります。
以下は、「学校生活の中で私が好きなこと」について記述する場合の悪い例と良い例です。
悪い例
I like lunch time.
昼食の時間が好きです。
I like eating very much.
私は食べることが大好きです。
Lunch makes me happy.
昼食は私を幸せにします。
So, I like lunch time.
だから、私は昼食の時間が好きです。
この英作文では多くの語彙が使われていなく、内容が薄くなっています。語彙力アップのためのカリキュラムを授業に取り入れて解決を図るとよいでしょう。内容を濃くするには、以下の例文のように接続詞を使ってみるのもよいでしょう。
良い例
I like lunch time because I like eating very much.
私は食べることが大好きなので、昼食の時間が好きです。
I like talking with my friends too.
私は友達と話をすることも好きです。
When we have lunch, I talk a lot with my friends
昼食を食べるとき、私たちはたくさん友達とおしゃべりします。
Talking makes lunch more delicious.
おしゃべりは昼食をもっと美味しく感じさせてくれます。
That’s why I like lunch time.
なので、私は昼食の時間が好きなのです。
関係代名詞や分詞を使って、文にボリューム感を出す方法も効果的です。例えば、「an interesting book(面白い本)」を「an interesting book which gave me much new information(新しい情報を沢山提供してくれた面白い本)」と表現することもできます。
ストーリー仕立てで英作文させる
「将来なりたい職業について書きなさい」という設問があるとします。なりたい職業があっても、その職業に関連する語彙が思い浮かばないことがあるかもしれません。このような時は、英語でストーリーを作ってしまうとよいでしょう。あまりにも現実離れしていなければ問題はないでしょう。
I would like to be a doctor in the future.
私は将来医者になりたいです。
When I was a child, I had a bad cold, and I was saved by a doctor.
私は子供の頃にひどい風邪を引いて医者に助けてもらいました。
He was so kind and he was loved by every patient.
彼はとても親切で、どんな患者にも好かれていました。
I would like to save people like him.
私は彼のように人々を救いたいと思います。
That’s why I would like to be a doctor.
なので、私は医者になりたいのです。
等位接続詞と従位接続詞を正しく理解させる
1つの文にボリュームを持たせるには等位接続詞や従位接続詞などの接続詞を用いさせるとよいでしょう。ただし、用法については生徒に理解させる必要があります。
悪い例
I like playing baseball. And I like playing tennis.
私は野球をすることが好きです。そしてテニスをすることが好きです。
I couldn’t win that game. Because I didn’t practice so much.
私はその試合に勝てませんでした。なぜなら練習をあまりしていなかったからです。
上の例文では、等位接続詞や従位接続詞を用いています。これらは、2つの文にしないで、以下のように1つの文にした方がよいでしょう。
良い例
I like playing baseball and tennis.
私は野球とテニスをすることが好きです。
I couldn’t win that game because I didn’t practice so much.
私はあまり練習をしなかったので、その試合に勝てませんでした。
生徒には、文頭が接続詞で始まらないように、また、単文で終わらないようにとアドバイスしましょう。
多くの文章を書かせて練習させる
英作文の練習では量をこなすことが大切です。英作文の問題をたくさん解いて表現の幅を広げ、スラスラと書けるようになるまで練習をさせるとよいでしょう。英語で日記を書かせてみるのもよいかもしれません。
関連サイト
平成29年度都立高等学校入学者選抜 学力検査問題及び正答表 – 東京都教育委員会
外国語教育 – 文部科学省
平成28年度「英語教育実施状況調査」の結果について – 文部科学省
学習指導要領「生きる力」 – 文部科学省