自閉症の子ども向け療育プログラム「TEACCHプログラム」とは
TEACCH(ティーチ)プログラムとは、自閉症を抱える人やその家族を包括的にサポートする療育計画です。TEACCHは、Treatment and Education of Autistic and Related Communication Handicapped Childrenの略で、日本語では「自閉症、および自閉症に関連したコミュニケーションにハンディキャップのある子どもへの治療と教育」と訳します。TEACCHプログラムでは、幼児期から成人期に至るまでの長期的な療育計画が立てられ、親も治療者の1人として参加し、環境づくりや関わり方を学んで支援していくといった特徴があります。
TEACCHプログラムは、1960年代にアメリカ合衆国のノースカロライナ大学の研究者らによって開発されました。自閉症を抱える子どもたちにTEACCHプログラムを実施したところ、良好な効果が見られたことから全米に知れ渡りました。日本では、1980年代頃から医師や研究者の間で話題になり、徐々に導入されていきました。今では、TEACCHプログラムに関連する書籍が何冊も発売されるほど注目されている療育プログラムです。TEACCHプログラムではどのような療育を行うのでしょうか。
TEACCHプログラムは長期計画で行われる
TEACCHプログラムでは、自閉症を治すということよりも、その人らしく無理なく生活していけることを目標として個別に計画を立てていきます。TEACCHプログラムの特徴の1つに、自閉症を抱える子どもが成人して自立できるまでの長期の計画を立てることが挙げられます。小学校入学や就職といった区切りの時点で療育計画を1から作り直すようなことはありません。
親は、医師や専門家と同様に治療者として子どもを支援します。生活面、学習面においては、子どもが混乱しないように、より細かく配慮した環境を提供します。また、苦手な部分を克服していくというよりも、得意な部分を伸ばしていくことに重きが置かれます。
TEACCHプログラムでは親も治療者の1人
TEACCHプログラムでは、親も治療者の1人として子どもを支えていきます。家庭では、親は自閉症を抱える子どもが安心して暮らせるように援助します。子どもが学校に入学したら、親は教育支援プログラムに基づいた支援を行っていきます。学校では先生への研修や実地指導なども行います。
自閉症を始めとする発達障がいを抱える人は、社会から敬遠されることもあります。自治体や団体が開催する集会で自閉症に関する講演をするなどして、広く社会からの理解を求める活動も行います。
写真やイラストを多用した療育プログラム
TEACCHプログラムでは、子どもが安心して生活できるような環境を整えることに重点を置いています。例えば、今日1日のスケジュールを写真やイラストなどを用いて視覚的にわかりやすいように提示します。スケジュールが長くなって分かりづらいときは午前と午後に分けたり、イベントごとに分けたりして示します。スケジュールが確認できる場所もあらかじめ決めておきます。
子どもが勉強する環境にも配慮します。勉強する場所と遊ぶ場所を間仕切りで区切って勉強に集中できるような環境を作ります。勉強する時はこの場所、遊ぶ時はこの場所というようにして視覚的な混乱が起きないように配慮します。勉強については、机の右側にこれから勉強するドリルを置いておき、終わったら机の左側に置くといったルールを作るなどして進めていきます。
Tシャツやズボン、パンツなどの衣類はケースに振り分けて置く場所を決めておきます。ケースにシールを貼って一目でわかるようにします。タオルや歯磨き用ブラシなど1か所にまとまって置かれているものについては色分けするなどして、自分が使うものがすぐにわかるようにします。
関連サイト
TEACCHプログラムによる障害児者の地域ケアに関する実践的研究 – 北海道教育大学
自閉症等発達障害児・者を支援する施設・事業所におけるTEACCHプログラム導入方策の調査・研究 – 厚生労働省
自閉症療育 ―TEACCHモデルの世界的潮流― – 佐々木正美
TEACCHとは – 社会福祉法人はるにれの里
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