自閉症を抱える子どもへの対応・支援の仕方まとめ
自閉症は、人との関わりやコミュニケーションを苦手としたり、ある事に対して強いこだわりを持ったりするという特徴をもつ障がいです。自閉症の原因はまだ解明されていませんが、遺伝的なものであるという考えが多くを占めています。
お子さんが自閉症と診断されたら、あるいは自閉症を抱える子どもと接することがあったら、どのような対応や支援をすればよいでしょうか?
一人ひとりの特徴に応じた対応が大切
自閉症は、症状の程度や性格によってさまざまな現れ方をしますので、その子どもに見合う対応が求められます。いくつかのケースに分けて対応方法をご紹介します。
言葉よりもイラストや写真を見せて説明する
自閉症を抱える子どもは、聴覚に対する認知能力が低い傾向にあります。言葉で説明してもなかなか理解してもらえないことがあります。そのため、イラストや写真を多用して説明するとよいでしょう。視覚に対する認知能力は、発達障がいのない子どもよりもやや劣るものの困難なほどではありません。例えば、「お風呂に入りなさい」と声を掛けるよりも、浴槽の描かれたイラストを見せたほうが理解度は高まります。
話す時は短く具体的に
言葉で説明する時は、なるべく短い文を用いるように心掛けます。また、具体的に話すことも大切です。学校から帰ってきて部屋でボーっとしていたら「何かやることあるでしょう」と注意することがありますが、「服を着替えなさい。宿題をしなさい。」というように具体的に話し掛けてあげます。
できたことをほめる
自閉症をはじめ発達障がいのある子どもは、何かにつけて失敗を繰り返してしまいます。特に学校では失敗する度に怒られて、自分はだめな人間だと思い込んで自信喪失してしまうことがあります。もし失敗したとしても怒らずに、よく話し合ってどうすればうまくいくのか教えてあげることが大切です。もし、うまくできたら精いっぱいほめてあげましょう。
社会のルールはその場で教える
知っている人と会ったら挨拶をするのは当たり前のことですが、自閉症を抱える子どもの場合、挨拶をしないことがあります。「何で挨拶しないの?」という注意、問い掛けはNGです。「知っている人と会ったら挨拶するんだよ」と都度、その場で教えてあげることが大切です。
静かな環境を提供する
自閉症を抱える子どもは、雑音や刺激の強い光を苦手としています。日常生活においては、刺激を与えないように静かな環境のもとで過ごせるようにしましょう。話している時も大きな声を上げないように心掛けましょう。
自閉症について
自閉症には、「低機能自閉症」と「高機能自閉症」があります。低機能自閉症は、知的障がいを伴う知能指数70以下のケースを指します。一般的に「自閉症」という場合には低機能自閉症のことを指します。高機能自閉症は、知的障がいを伴わない知能指数70位以上のケースを指します。
自閉症(低機能自閉症)と高機能自閉症について、文部科学省では次のように定義しています。
自閉症の定義
自閉症とは、3歳位までに現れ、(1)他人との社会的関係の形成の困難さ、(2)言葉の発達の遅れ、(3)興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害であり、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。
高機能自閉症の定義
高機能自閉症とは、3歳位までに現れ、(1)他人との社会的関係の形成の困難さ、(2)言葉の発達の遅れ、(3)興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害である自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないものをいう。また、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。
なお、高機能自閉症と似たような症状にアスペルガー症候群があります。違いは、発達期において言葉の遅れが見られた場合を高機能自閉症、言葉の遅れが見られなかった場合をアスペルガー症候群と呼んでいます。近年では、高機能自閉症とアスペルガー症候群を区別せずに「自閉症スペクトラム障がい」「自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群(ASD)」と呼ぶこともあります。また、低機能自閉症や高機能自閉症、アスペルガー症候群を合わせて広汎性発達障がいといいます。
関連サイト
主な発達障害の定義について – 文部科学省
自閉症について – e-ヘルスネット
世界自閉症啓発デー – 世界自閉症啓発デー・日本実行委員会
発達障害を理解しよう – 東京都福祉保健局