家庭でできる、発達障がい児の不器用さを改善する方法
発達障がいの子どもの中には、不器用な子が多くいます。発達障がい児の不器用さを改善するには、感覚統合療法がお勧めです。感覚統合療法とは、脳に入ってくるさまざまな刺激をうまく処理できるようにし、身体をうまく制御できるようにする療法のことです。家庭でもできる、感覚統合につながる運動遊びを紹介します。
発達障がいの子どもの不器用改善には感覚統合療法がお勧め
発達障がいの子どもの中には、特有の不器用さを持つ子が多くいます。発達障がいの子どもの不器用さはどこからくるのでしょうか。
私たちの身体には、よく知られている五感の他に、「前庭覚(ぜんていかく)」と「固有受容覚(こゆうじゅようかく)」という2つの感覚が備わっています。発達障がいを持たない人たちは無意識にこの二覚(にかく)を使うことで器用な動きをこなしているのですが、不器用な子の場合、この二覚がうまく働いていないことが多くあります。
例えば、はさみがうまく使えない場合、はさみの使い方自体を練習させるよりも、全身の感覚をバランスよく刺激するような運動をさせるのが近道です。脳に入ってくるさまざまな感覚を適切に処理できるようにして、感覚運動機能を向上する療法のことを「感覚統合療法」と言います。感覚統合療法は、発達障がい児向けの療育のひとつとして普及してきています。
家庭で遊びながらできる感覚統合療法の例
家庭で遊びながら実践できる感覚統合療法の例を知っておきましょう。
手先を上手に使うための基盤作り
前庭覚と固有受容覚の両方を刺激することで姿勢保持の感覚を強め、手先を上手に使うための基盤を作る遊びです。
- 押しあいっこ
カーペットやラグの上など、倒れても安全な場所で押しあいっこをする。背中かおなかが床についたら負け。 - 落とさないで運べるかな?
落としても危険でないもの(お手玉やクッションなど)を頭に載せ、落とさないように運ぶ。誰がより遠くまで運べるか競争する。 - ムカデ競争
腹ばいの姿勢から両手を使って上半身を持ち上げた姿勢になり、その状態で前進。誰がいちばん早く進めるか競争する。 - 転がりっこ
床の上のものをどけてぶつからないようにしたうえで床に寝転がり、バンザイした状態でコロコロと横に転がる。(目が回らないよう注意)
触覚を鍛える運動遊び
見えない対象物を指先の触覚だけで探し出すことで、細かい作業に必要な能力を鍛える運動遊びです。
- ビー玉をさがそう!
粘土の塊の中にビー玉を隠しておき、全部見つけられるか、どれだけ早く見つけられるかを競争する。 - 何かをさがそう!
適度な大きさの箱を不透明なプラスチックビーズや小さめの梱包材などで満たし、その中からキャラクターのフィギュアや、個包装に入れたお菓子などを探し出す。素材によっては、こすれ合う音を苦手とする子がいる場合もあるので注意が必要。
目と手の運動をうまくつなげる運動遊び
目で対象をしっかり見て、狙ったところに手を動かせるようにする力を養う運動遊びです。
- どこかな?
ぬいぐるみやパペット、キャラクターなどを上下左右あちこちにパッパッと動かし、「ここ!」「ここ!」と指さしをさせる。 - お手玉キャッチボール
お手玉でキャッチボールをする。 - ボールをつかまえよう
ビニールのボールなどを転がし、追いかけてつかまえさせる。
指先を上手に使えるようにする運動遊び
指先に力を入れたり、指先で細かい動きをしたりできる力を養う運動遊びです。
- 冷蔵庫を飾ろう
冷蔵庫などの磁石がくっつく面に、磁石を使ってカードなどを飾らせる。磁石自体をキャラクターものなどにして、磁石自体をディスプレイさせるのもよい。 - お洗濯を手伝おう
洗濯ばさみを使って洗濯物を干させる。適度な難易度の洗濯物がない場合は、本人が好きなキャラクターや食べ物などのカードを洗濯ばさみで留めて飾らせるなどする。 - ポンポンを作ろう
厚紙に毛糸をくるくると巻かせる。ある程度巻いたら保護者が厚紙から外して中央を結び、両端を切ってポンポンに仕上げる。本人がやりたがる場合は仕上げもやらせる。
感覚統合両方について相談できる専門機関
感覚統合について詳しく知りたい場合は、専門機関に相談してみましょう。自治体によって違いがありますが、基本的には以下のようなところで情報が手に入ります。
- 自治体に配置されている療育センター
(「自治体名 療育センター」で検索すると見つかります。 例:東京都 療育センター) - 医療機関内のリハビリセンター
- 小児科
関連サイト
感覚統合療法 – 奈良県総合リハビリテーションセンター
発達が気になる子どもの理解と対応 ~感覚統合の視点から~ – 埼玉県福祉協議会
感覚統合運動の実際 – 奈良県立教育研究所
発達障がいの子ども専用のオンライン英会話