発達障がいの子どもを支援する絵カードの作り方
発達障がいの子どもの中には、「親から何を指示されたのか理解できない」「これから何をすればよいのかわからない」などの困難を抱えている子どもがいます。子どもを支援する手段の1つに、絵カードの活用が挙げられます。
絵カードとは、会話を補助するために用いるイラストや図、写真のことです。絵カードを子どもに見せることによって、子どもは何をすればよいのかを理解することができます。
絵カードを作成して、子どもとのコミュニケーションを増やしていきましょう。
絵カードの素材はイラストレーションボードがお薦め
絵カードの素材は、簡単に折れたり破れたりしないようなものを選びましょう。プラスチック製の板のように硬い素材は、指を傷つけてしまう恐れがあります。絵カードの素材としてお薦めするのは、発泡スチロールのボードの表と裏に上質紙が貼ってあるイラストレーションボードです。子どもが指でつまめる程度の厚さがよいでしょう。
発達障がいの子どもは、大きな物より小さな物のほうが焦点を合わせやすいという特性があります。絵カードの大きさは、3cmから5cm程度がよいでしょう。絵カードは、イラストレーションボードをハサミやカッターを使って適当な大きさに切り分けます。絵カードの角が指に当たって痛いと感じることもあるので、当たっても痛くないように角を丸く切っておきましょう。
絵カードにはイラストに文字を書き添える
絵カードの絵は、手書きでもよいですし、インターネットのWebサイトから素材をダウンロードし印刷したものを貼り付けてもよいでしょう。また、デジカメで撮影した写真を使ってもよいでしょう。
絵カードの絵の部分には、子どもが着目できるように、余分な物を書き込まないようにします。例えば、トイレに行くことを示す絵カードの場合は、便器だけのイラストを描きます。余白の部分に花の絵を描き入れたりすると、花の絵のほうに注意が行ってしまうことがあります。絵カードの絵の下部、あるいは上部に絵カードの意味を書き入れます。
子どもがトイレの絵カードを提示したら、「トイレに行きたいのね」と声を掛けてあげます。親御さんが子どもにトイレを促す時は、絵カードを提示して「トイレに行こうね」と言います。絵カードでのコミュニケーションがうまくいったら褒めてあげましょう。
イラストは、なるべく実物と同じ形で描きます。実物より簡素に書いてしまったり、豪華に書いてしまったりするとイラストを理解できないことがあります。
絵カードの絵には1つだけ意味を持たせる
絵カードの絵には、1つだけ意味を持たせるようにします。1枚の絵カードに2つ以上の指示があると、発達障がいの子どもは何をしたらよいのか迷ってしまいます。例えば、顔を洗って歯を磨くという一連の動作では、「顔を洗う」絵カードと、「歯を磨く」絵カードの2つの絵カードを用意して支援します。
「×」印の絵カードは多用しない
子どもを褒める時に使う「○」印の絵カードや、行動を禁止する時に使う「×」印の絵カードは、多くの場面で使うことになるでしょう。
親御さんが「×」印の絵カードを多用すると、子どもは、絵カードを叱られる道具と思ってしまいます。絵カードを提示しても、「また叱られるのかな」と思って絵カードを見ようとしなくなってしまいます。「×」印の絵カードよりも「○」印の絵カードを多く使って支援していきましょう。
関連サイト
発達障害の意思疎通工夫を 「絵カード」を広めた門医師が講演 – 独立行政法人福祉医療機構
発達障害のある児童生徒のための 教材・支援機器の活用 – 国立特別支援教育総合研究所
特別支援教育の現状と課題 – 文部科学省
自閉症のある子どもの理解と支援Q&A集 – 国立特別支援教育総合研究所
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