発達障がいの子どもを支援するサポートシートの書き方
発達障がいとは、生まれつき脳の一部の機能に障がいがあり、対人関係やコミュニケーションを苦手としたり、行動や注意力などに著しい困難を示したりする障がいのことです。
発達障がいの子どもが安心して学校生活を送るには、家庭と学校との連携が大切です。学校の先生に、子どもの状況や特性を知ってもらうために提出するのがサポートシートです。サポートシートは、担任の先生や関係する先生たちの間で情報共有され、子どもへの支援活動に活用されます。
サポートシートにはどのようなことを書けばよいのでしょうか。
サポートシートには子どもの特性と支援方法を書く
サポートシートには、子どもの特性を具体的に書くことが大切です。また、どのような対処、支援をしてもらいたいかも書いておくとよいでしょう。
例えば、「独り言を言うことがあります」と書いただけでは、先生はどのように対応してよいかわかりません。「独り言を言うことがあります。人差し指を口に当てて静かにしなさいという合図を送れば独り言をやめます」のように書くとよいでしょう。
また、「大勢の中では聞き取ることが難しい」という気づきがある場合には、「周りの人が静かにしてくれれば聞き取ることができます」と書いておきます。クラスメートの協力も必要であることをサポートシートを通じてアピールしておくとよいでしょう。
対人関係における気づきをサポートシートに記入する
自閉症やアスペルガー症候群の子どもは対人関係が苦手です。クラスメートとの交流でトラブルを起こしたり、変わった行動をしたりします。サポートシートに記入する際は、次の項目をチェックしましょう。
- 友だちと会話する時間がなく、ほとんど1人でいることが多い
- グループで活動をする時、友だちと協力して活動できない
- 友だちの考えや気持ちを共感することが困難である
- 相手を傷つけるような言葉を平気で行ってしまう
- 友だちとよく口喧嘩をする
コミュニケーションにおける気づき
コミュニケーションが苦手なのは、主に自閉症やアスペルガー症候群を抱えている子どもです。友だちの言った冗談を言葉通りに受け止めてしまい、喧嘩してしまうことがあります。学校でのトラブルを少なくするためにも、サポートシートには具体的な特性を書くことをお薦めします。
- 冗談が理解できずに言葉通りに受け止めてしまうことがある
- 言葉遣いを使い分けることができない
- 独り言を言うことがある
- 一方的に話し込んでしまうことがある
- 場所をわきまえずに大声で話をしてしまう
- 抑揚のない声で話す
パターン化した行動やこだわりにおける気づき
自閉症やアスペルガー症候群を抱える子どもは、パターン化した行動を好んだり、強いこだわりを示したりします。パターン化した行動を好む子どもは、予定外の出来事に対応することが困難です。雨が降って体育の授業が中止になったりすると、ごねたり騒いだりすることがあります。パニック状態になることもあるので、サポートシートにはしっかりと対処法を書いておきましょう。
- 予定の変更を嫌がる
- 得意なことがある一方で、極端に不得手なものがある
- 自分の非を認めようとしない
- ものごとを進める手順を自分で決めて、それ以外の手順を嫌がる
- 特定のことだけに興味を示し、それ以外は全く興味を示さない
- 反復的な行動が多い
不注意や多動性、衝動性における気づきをサポートシートにまとめる
ADHD(注意欠陥・多動性障がい)の子どもは、身の回りのことに注意を払うことが苦手だったり、じっとしていることが苦手だったりします。学校生活では、他のクラスメートに迷惑をかける場合もあるので、子どものもつ特性をや対処法をしっかりサポートシートに書くようにしましょう。
- 一度に複数の指示を受けると、どちらか一方の指示を忘れてしまう
- 気が散りやすく、課題を最後までやり遂げることができない
- 整理整頓ができずに、机の周りが散らかっている
- すぐに席を離れてしまう
- 順番を待つことができない
- 席に座っていても、そわそわしたり、もじもじしたりする
- 人の話をさえぎって話してしまう
- 行事等に落ち着いて参加することができない
学習障がい(LD)の子どもによくある気づき
学習障がい(LD)の子どもは、読む、書く、聞く、話す、計算する、推論するといったことが苦手です。そのため、学校での勉強に支障をきたすことがあります。家庭で勉強を教える際に、子どもがどのような点を苦手にしているか把握し、サポートシートに記入しましょう。
読むこと
- 文中の語句や行を抜かしたり、繰り返し読んだりする
- 形の似ている文字を読み間違える
- 文を読むのが遅い
- 文を間違えて読む
書くこと
- 書き順を間違える
- 読みづらい字を書く
- 句読点を正しく打つことができない
聞くこと
- 聞きもらしをする
- 聞き間違いをする
- 大勢の中では聞き取ることが難しい
話すこと
- 話す速度が遅い
- 言葉につまることがある
- 「てにをは」を使わないで単語を断片的に並べて話す
- 筋道を立てて話をすることができない
計算すること
- 暗算が苦手、あるいはできない
- 計算するのに時間がかかる
- 繰り上がり、繰り下がりが理解できない
推論すること
- 量を表す単位が理解できない
- 図形やグラフの問題が解けない
- 文章問題を順序立てて考えることができない
関連サイト
発達障害って、なんだろう? – 政府広報オンライン
小学校生活を円滑にスタートさせるための幼稚園における取り組み – 兵庫教育大学
サポートファイルさっぽろ – 札幌市