発達障がいの児童を支える「発達障がい者支援法」とは
発達障がい者支援法は、自閉症やADHD(注意欠陥・多動性障がい)、LD(学習障がい)、アスペルガー症候群など発達障がいの児童が自立や社会参加できるように、支援充実を図ることを目的とした法律です。
発達障がいの子どものいる親御さんをはじめ、子どもと接する機会のある人は、発達障がい支援法への理解を深めて、子どもたちへの一層の支援、指導を図っていきましょいう。
2005年に発達障がい者支援法が施行
発達障がい者支援法は、2005年に施行されました。それまでは、発達障がいの人のための法律はなく、知的障がいや身体障がいを伴う人のための法律しかありませんでした。当時は、発達障がいという言葉も使われておらず、発達障がいを抱えている人を障がい者と呼ぶこともありませんでした。国や自治体などからの支援なども行われていませんでした。
発達障がい者支援法のねらいには次の点を挙げることができます。
- 発達障害の定義と法的な位置づけの確立
- 乳幼児期から成人期までの地域における一貫した支援の促進
- 専門家の確保と関係者の緊密な連携の確保
- 子育てに対する国民の不安の軽減
発達障がいの定義
発達障がい者支援法では、発達障がいを次のように定義しています。
自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの
「その他の広汎性発達障害」には、レット障がいや小児期崩壊性障がい、特定不能の広汎性発達障がいなどが挙げられます。
発達障がい者支援法は乳幼児から成人まで幅広くサポートしている
発達障がい者支援法では、乳幼児健診等による早期発見、就学時健診における発見について言及しています。早い時期に発見して、適正な対応をすることが求められています。
幼少期では、就学前の早期発達支援や専門的発達支援、就学後の特別支援教育体制の推進、放課後児童健全育成事業の利用などについて規定しています。また、成人期では、発達障がいの特性に応じた適正な就労機会の確保や地域における自立した生活の支援、権利擁護などにも言及しています。
発達障がいを抱える人への支援体制
発達障がいを抱える人への支援については、次のように定めています。
この法律において「発達支援」とは、発達障害者に対し、その心理機能の適正な発達を支援し、及び円滑な社会生活を促進するため行う個々の発達障害者の特性に対応した医療的、福祉的及び教育的援助をいう。
発達障害者の支援は、全ての発達障害者が社会参加の機会が確保されること及びどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないことを旨として、行われなければならない。
2 発達障害者の支援は、社会的障壁の除去に資することを旨として、行われなければならない。
3 発達障害者の支援は、個々の発達障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、かつ、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体相互の緊密な連携の下に、その意思決定の支援に配慮しつつ、切れ目なく行われなければならない。
出典:発達障害者支援法第2条4項、および第2条二号(e-Gov)
発達障がいを抱えていても、他の人と同じように生活する権利を持ち、困難があっても手厚い支援でカバーすることが約束されています。
その他に知っておきたい法律
発達障がいへの支援体制を知る上で、発達障がい者支援法の他にも知っておきたい法律がいくつかあります。
他には、身体障がい者福祉法や知的障がい者福祉法、精神保健及び精神障がい者福祉に関する法律などが設けられています。
関連サイト
発達障害者を支える、さまざまな制度、施策 – 国立障害者リハビリテーションセンター
発達障害者支援法の施行について – 厚生労働省
発達障害者支援法とQ&A – 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
発達障害者支援法の一部を改正する法律案新旧対照表 – 国立障害者リハビリテーションセンター