TOEIC280点、中学校英語教師の英語力の低さが浮き彫りに
京都府教育委員会によれば、京都市を除く京都府の英検準1級以上を取得していない中学校英語教員74人を対象にTOEICテストを実施したところ、英検準1級に相当する730点以上を取得した教員は16人で、500点に満たなかった教員は14人、最低点は280点だったとのことです。※参照:京都府中学英語教員、TOEIC目標遠く 「資質」はOK?(京都新聞)
このような結果は、京都府以外の都道府県でも同じである可能性が高いといえます。中学校の英語教員には、一層の英語力が求められています。
目次
TOEIC280点は英検準2級程度
下の表は、京都府教育委員会の発表を元に、中学校英語教員のTOEICスコアの取得状況を示したものです。文部科学省では、「英検準1級以上等を達成した中学校の英語教員の割合50%」を目標としていますので、受験者の5人に1人が目標を達成したことになります。
一方、5人のうち4人は、TOEIC730点未満(英検準1級相当)で目標未達成という結果になりました。未達成だった教員の英語力は英検2級程度であることが予測できます。文部科学省では、中学校生徒に対して「英検3級程度以上を達成した中学生の割合50%」を目標に掲げています。英検2級レベルの先生が、英検3級合格を目指す生徒に何が教えられるのか議論の余地が残ります。今回の京都府教育委員会の調査では、最低点は280点で英検準2級に相当する英語力です。また、CEFRではA2レベル(基礎段階の言語使用者)に相当します。
出典:京都府中学英語教員、TOEIC目標遠く 「資質」はOK?(京都新聞)をもとに英検レベル、CEFRレベルを追加。
下のグラフは、文部科学省が設定した中学校、および高等学校の教員、生徒の英語力の達成度を表したものです。中学校生徒には「英検3級程度以上を達成した中学生の割合50%」、中学校教員には「英検準1級以上等を達成した中学校の英語教員の割合50%」、高等学校生徒には「英検準2級程度以上を達成した高校生の割合50%」、高等学校教員には「英検準1級以上等を達成した高等学校の英語教員の割合75%」がそれぞれ目標として掲げられています。年々、達成度は上昇していますが、目標値にはまだ届いていません。
出典:
平成27年度 英語教育実施状況調査(中学校)の結果概要(文部科学省)
平成27年度 英語教育実施状況調査(高等学校)の結果概要(文部科学省)
教育職、教育・教養系大学生のTOEICスコアは平均以上
下のグラフは、社会人の教育職に就く人のTOEIC IPテストの平均点を示したものです。ListeningやReading、Speaking、Writingの4技能とも企業・団体の全体の平均よりも高い結果です。教育所には、塾・予備校の講師なども含まれるため、「教育職=中学校・高等学校教員」ではありませんが、中学校や高等学校の教員は、他の職業の人よりも英語力が高い傾向にあるといってよいでしょう。
出典:TOEIC Program DATA&ANALYSIS 2016(一般社団法人国際ビジネスコミュニケーション協会)
また、教員になるために教育・教養系を専攻している大学生は、大学生平均よりもListeningとReadingについては高く、SpeakingとWritingについては低いという結果で、大きな差は見られませんでした。英語教員を目標としている大学生は、大学在学中に英語力を上げておくとよいでしょう。
出典:TOEIC Program DATA&ANALYSIS 2016(一般社団法人国際ビジネスコミュニケーション協会)
関連サイト
英語教育に関する目標設定の在り方(教員)等についての意見の概要 – 文部科学省
平成27年度英語教員の英語力・指導力強化のための調査研究 – 文部科学省
生徒の英語力向上推進プラン – 文部科学省
スコアの目安 – 一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会
京都府教育委員会
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