中学生の半数以上は英語が好き、高校生は半数以上が嫌い
文部科学省が実施した「児童生徒の英語に対する意識調査」によれば、小学5年生・6年生の10人に7人が「英語が好き」、あるいは「どちらかといえば好き」と回答しています。中学1年生では10人のうち6人、中学2年生では10人のうち5人、高校3年生では10人のうち4人が「好き」と回答しており、年齢を重ねるにつれて「好き」と回答する割合が減少傾向にあります。
英語の授業が「聞く」「読む」から「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能に移りゆくなか、生徒たちは英語の授業をどのように捉えているのでしょうか?
目次
「英語が好き」は年齢を重ねるにつれて減少
下のグラフは、小学生と中学生、高校生を対象にした「英語は好きかきらいか?」のアンケート調査の結果を表したものです。この中で特徴的だったことは、英語を習い始めた小学5・6年生の児童の10人に1人が、すでに「英語がきらい」と回答していることです。「きらい」と回答する割合は中学、高校へと進むにつれて大きくなり、高校3年生の6割が「英語がきらい」と回答しています。
出典:児童生徒の英語に対する意識(文部科学省)
中2では5人に1人しか英語の授業を理解していない
下のグラフは、小学5年生と6年生、および中学1年生と2年生の英語授業の理解度を表したものです。小学生は、ほとんどの児童が「理解している」「どちらかといえば理解している」「半分くらい理解している」と回答しています。しかし、中学生になると、「どちらかといえば理解していない」「理解していない」生徒の割合が増え、中学2年生では「理解している」と回答した生徒は5人に1人しかいませんでした。
出典:児童生徒の英語に対する意識(文部科学省)
英語が大切な理由は高校受験で必要だから
下のグラフは、中学2年生を対象に「英語の勉強は大切だと思うか?」の質問に対する回答を表したものです。4人に3人は英語の勉強は大切だと思っています。一方で10人に1人は大切だと思っていない生徒もいるという結果が出ています。
出典:児童生徒の英語に対する意識(文部科学省)
「英語の授業で学習したことが社会人になって役に立つか?」という質問に対しては、ほとんどの生徒が「役に立つと思う」と回答しています。中学校の生徒のほとんどが、英語の勉強が大切であるということを認識していることがわかります。
出典:児童生徒の英語に対する意識(文部科学省)
下のグラフは、「なぜ英語の勉強が大切か?」の理由を回答率の高い順に列挙したものです。最も多かった理由は「高校等の受験で必要だから」となり、「海外の人たちとコミュニケーションをとれるようになりたいから」「将来、仕事をするうえで英語が必要だから」と続く結果となりました。
出典:児童生徒の英語に対する意識(文部科学省)
4技能のうち「読む」ことの授業が最も多い
文部科学省の調査によれば、中学校の英語の授業において「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能のうち「読む」ことの授業に多くの時間を割いていることがわかりました。中学校の学習指導要領には「読む技能に重点を置く」といった内容は書かれていません。また、大学入試においては、4技能をバランスよく問うことが求められており「読む」技能が重要視されているわけでもありません。
下のグラフは、中学校の英語教師が授業において、どのような指導を行っているかを示したものです。最も多かったのは「英語を読む活動」で、81.6%がよく使うと回答しています。続いて「英語を聞く活動」が68.3%という結果でした。一方、「英語を話す活動」「英語を書く活動」をよく行うと回答した割合は低い結果となっています。
英語習得には「読む」技能の他に「聞く」「話す」「書く」の技能も欠かすことはできません。そのためには、中学校でオンライン英会話サービスを導入するなどして英語の授業で賄えなかった部分を補完するのも一手です。
出典:児童生徒の英語に対する意識(文部科学省)
関連サイト
今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~ – 文部科学省
新たな英語教育のための改革とその背景 – 英語4技能 資格・検定試験懇談会
外国語能力の向上に関する検討会(第8回) 議事録 – 文部科学省
現行学習指導要領・外国語 – 文部科学省
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