日本の小学校の英語教育は10年遅れている
TOEICプログラムを実施・運営する国際ビジネスコミュニケーション協会によれば、日本人のTOEIC平均スコアは512点で、中国は716点、韓国は632点、台湾は569点という結果が出ています。日本がこれらの国々よりもスコアが劣っている要因の1つに、小学校の英語教育への取り組みが遅れている点を挙げることができます。小学校には、Skypeを使った英会話やALTの採用など、児童の英語に慣れ親しめる環境作りが求められています。
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日本の小学校の英語導入時期は中国、韓国、台湾よりも遅れている
下の表は、日本や中国、韓国、台湾の小学校における、英語を必修科目として導入した時期や授業の開始学年、授業時数を示したものです。日本は2011年に必修科目として導入されましたが、韓国では1997年、中国や台湾では2001年と、日本よりも10年以上早く英語が必修科目になっています。また、開始学年については、日本は高学年からの開始ですが、他の国では低学年から開始しています。授業時数については、日本は他国よりも少ない時間数です。導入時期、開始学年、授業時数とも中国、韓国、台湾よりも劣っています。
※教育再生懇談会は2008年に内閣の諮問機関として発足し、2009年に廃止されました。
大学までに習う英語の語彙数は中国、韓国、台湾と比べて少ない
下の表は、日本や中国、韓国、台湾の小学校、中学校、高等学校、大学で習う英語の語彙数を比較したものです。
日本の中学校の英語教科書に出てくる語彙数は、教科書によって異なりますがおよそ1,000語程度です。中国や韓国、台湾ではおよそ1,000の英単語を小学校の段階で習っています。また、日本の高等学校で習う3,000の語彙は、中国や韓国、台湾では中学校で習っており、日本の大学で習う語彙は、中国や韓国、台湾ではすでに高等学校で習っています。
日本の大学生は、大学卒業段階でCEFR B2レベルの語彙力がありますが、中国や韓国、台湾ではCEFR C1レベル、あるいはCEFR C2レベルの語彙力があります。TOEIC L&Rにおいては、日本は785点、中国、韓国、台湾では945点以上と大きな差が出ています。
日本の小学校での英語授業の変遷
文部科学省の「小学校学習指導要領解説 外国語活動編」によれば、日本の小学校における英語教育は、1992年に一部の小学校で実験的に導入されたのが始まりとされています。その後、1996年の中央教育審議会答申で、「英語を教科として一律に実施する方法は採らないが、子供たちに英会話等に触れる機会や外国の生活・文化などに慣れ親しむ機会を持たせることができるようにすることが適当である」旨が報告されました。この答申を受けて、1998年に改定された学習指導要領により「総合的な学習の時間」が設けられ、国際理解に関する学習の一環として英会話などを用いた授業が実施されるようになりました。その後、2008年に英語の授業が開始され、2011年には必修科目に指定されました。
英語の授業は、2020年には3年生と4年生で必修科目になり、5年生と6年生では教科になる予定です。教科になると、中学受験時の内申書などにも記載されるようになります。
関連サイト
現行学習指導要領・生きる力 第4章 外国語活動 – 文部科学省
中国における小学校英語教育の現状と課題 – 文部科学省
韓国における小学校英語教育の現状と課題 – 文部科学省
台湾における小学校英語教育の現状と課題 – 文部科学省
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