大学入試改革で、英語は英検準2級程度の「話す」能力も必要に
大学入試センター試験の英語では、「読む」と「聞く」の2技能で評価を行っています。2020年度から始まる大学入学共通テストでは、「話す」と「書く」を加えた4技能をバランスよく評価することが予定されています。
文部科学省の「平成27年度英語教育改善のための英語力調査事業報告」によれば、高等学校の英語の授業では「読む」「聞く」活動に重点が置かれており、「話す」活動はあまり行われていないことがわかりました。大学入学共通テストを控えて、受験生にはどの程度の「話す」能力が求められるのでしょうか。
※2019年7月2日、IIBCより「「大学入試英語成績提供システム」へのTOEIC® Tests参加申込取り下げのお知らせ」が発表されました。本記事は、上記お知らせ発表前に作成したものです。内容のお取り扱いにはご注意ください。
目次
大学入試に必要な「話す」技能は英検準2級程度
大学では、受験生に対して大学教育を受けるにふさわしい英語力を求めています。文部科学省が、高校卒業段階で英検準2級以上の英語力習得者50%以上を目標に掲げていることや、英検を運営、開催している公益財団法人日本英語検定協会が、英検準2級は高校卒業程度のレベルに相当するとしていることから、大学入試では英検準2級程度の問題が出題されています。英検準2級では、2次試験で面接形式のスピーキングテストが行われます。
公益財団法人日本英語検定協会のWebサイト「英検の資格を出願条件」に、英検の資格を取得することで出願できる大学や得点加算、試験免除など優遇のある大学の一覧が掲載されています。その中で、出願条件や優遇措置の多かった級位は英検準2級でした。法政大学や日本大学、帝京大学の一部の学部などで英検準2級以上取得を出願条件としています。中には、英検3級取得を出願条件とする大学や、首都大学東京や順天堂大学、大阪大学の一部の学部のように英検準1級以上取得を出願条件とする大学もあります。大学の選択肢を広げたいのであれば、英検2級を取得しておくとよいかもしれません。
英検準2級の「話す」技能のCan-doリスト
英検準2級と英検2級の「話す」技能のCan-doリストは以下の通りです。質問に対して「はい」や「いいえ」で答えるだけではなく、適切な理由を述べたり、順序立てて話を進めたり、知りたいことを明確に問うたりする能力が求められています。生徒の話す能力をチェックするとよいでしょう。
英検準2級
- 日常生活で簡単な用を足したり、興味・関心のあることについて自分の考えを述べることができる。
- 興味・関心のあることについて、自分の考えを述べることができる。(好きなスポーツ、趣味に関することなど)
- 自分の将来の夢や希望について、話すことができる。(訪れたい国、やりたい仕事など)
- 自分の気持ちを表現することができる。(うれしい、悲しい、さびしいなど)
- 簡単な約束をすることができる。(会う場所や時間など)
- ファーストフード・レストランでメニューを⾒ながら注⽂をすることができる。(⾷べ物、飲み物、サイズなど)
- 電話で簡単な表現や決まり⽂句を使って応答をすることができる。(例:Please wait a moment. / Hold on. /Speaking.)
出典:準2級 Can-doリスト(公益財団法人日本英語検定協会)
英検2級
- 日常生活での出来事について説明したり、用件を伝えたりすることができる。
- ⽇常⽣活の⾝近な状況を説明することができる。(遅刻や⽋席の理由など)
- 印象に残った出来事について、話すことができる。(旅⾏、イベントなど)
- 自分の学校(会社)について、簡単な紹介をすることができる。(場所、人数、特徴など)
- 簡単な道案内をすることができる。(例:Go straight and turn left at the next corner.)
- 買い物で店員に欲しいものや好みを伝えたり、簡単な質問をすることができる。(色、サイズ、値段など)
- 簡単な伝⾔をすることができる。(例:Tell Jane to call me back. / Tell John I can’t go to the meeting today.)
出典:2級 Can-doリスト(公益財団法人日本英語検定協会)
「話す」能力を測る試験一覧
大学の中には、英検以外の外部民間試験を出願条件や優遇措置の対象としているところもあります。主な外部民間試験は以下の通りです。
TOEIC Speaking & Writing Test
「話す」「書く」の2技能を測る試験です。試験会場に設置されているパソコンを使い受験します。試験は、スピーキングテスト(計11問、20分間)を行った後に、ライティングテスト(計8問、60分間)を行います。試験の結果は合否ではなくスコアで出されます。TOEICの試験は、高校生にはあまり馴染みのないビジネスシーンの問題がよく出題されるという特徴があります。
TOEFL iBT
TOEFLは、英語を母語としない人向けの試験です。日常生活や学校をテーマとした試験が出題されます。試験は、リーディング(12~14問)、リスニング(11問)、スピーキング(2問)、ライティング(1問)の順で行われます。結果はスコアで出されます。
GTEC CBT
試験会場のパソコンで受験します。スピーキング(20分で7問)、ライティング(65分で6問)、リスニング(35分で40問)、リーディング(55分で40問)の順で試験を行います。
IELTS
IELTSは、主に海外留学や海外研修をする人向けの試験です。オーストラリアやカナダなどでは移住申請にも用いられています。試験は、リスニング(40問)、リーディング(40問)、ライティング(2問)の試験を同日に行い、別の日にスピーキングの試験が行われます。
英語外部試験ごとのレベルの比較
出典:英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用について(文部科学省)
外部民間試験導入による受験生のメリット、デメリット
大学の外部民間試験の導入で、受験生は、例えば英検2級に合格さえしておけば、英語の受験勉強をする必要がなくなるというメリットがあります。英語の勉強に費やす分を他の科目の勉強に充てられます。一方、英語の受験勉強をする範囲が、これまでの「読む」「聞く」から「話す」「書く」に広がり、その分の勉強時間が増えるというデメリットが生じます。4技能は、バランスよく習得する必要があるため、弱点の「話す」能力を得意の「読む」能力で点数をカバーするといったことはできません。また、外部民間試験に合格できないと出願すらできなくなってしまうので、合格するまでは英語の勉強に時間を費やす可能性があります。話す能力を伸ばすには、オンライン英会話などを利用すると効果的です。
関連サイト
大学入学共通テスト(新テスト)について – 独立行政法人大学入試センター
英語の資格・検定試験の活用促進に関する行動方針(案)別添参考 – 文部科学省
実用英語技能検定試験(英検) – 文部科学省
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