企業が海外進出するとき新たに直面する「11の課題」
企業が国内需要から海外需要へシフトするメリット
日本は近年、人口減少や少子高齢化などにより国内需要が減少しています。そのため企業は、自社製品の需要が多く今後の拡大も見込まれる他国の市場へシフトする傾向にあります。海外進出は、より良質で安価な労働力が得られるというメリットもあります。
外務省の「海外在留邦人数調査統計」によれば、2015年の企業の海外拠点数は10年前の3万5000から7万1000と倍増しており、今後も増加していくことが予想されます。
海外進出企業の課題
企業が海外進出するにあたって、これまで培ってきたノウハウや経験を最大限に活かすことが求められますが、商習慣の違いや言葉の壁など新たな課題も出てきます。すでに海外進出を果たした企業が直面している課題にはどのようなものがあるのでしょうか。中小企業庁の「広がる海外展開とそれに伴う課題」の調査から課題をうかがい知ることができます。
出典:
直接投資企業が直面している課題・リスク – 中小企業庁
輸出企業が直面している課題・リスク – 中小企業庁
上のグラフは、海外に工場などの生産拠点のある「生産機能の直接投資先を持つ企業」と、物流や営業マン、店舗といった販売拠点のある「販売機能の直接投資先を持つ企業」、海外に拠点を持たずに日本から商品やサービスなどを輸出する「輸出企業」の3つの形態において、企業の直面している課題をまとめたものです。
生産機能の直接投資先を持つ企業の課題
生産機能の直接投資先を持つ企業の課題のトップ3は、「現地人材の確保・育成・管理」、「採算性の維持・管理」、「販売先の確保」です。これらは、海外にまだ進出していない企業にとっても大きな課題であるといえます。
販売機能の直接投資先を持つ企業の課題
販売機能の直接投資先を持つ企業の課題のトップ3は、「販売先の確保」、「現地人材の確保・育成・管理」、「採算性の維持・管理」です。TOP 3の内容は生産機能の直接投資先を持つ企業と同じですが、1位の「販売先の確保」がが販売機能の直接投資先を持つ企業の特徴であるといえます。
輸出企業の課題
輸出企業の課題のトップ3は、「販売先の確保」、「 現地の市場動向・ニーズの把握」、「 採算性の維持・管理 」です。「販売先の確保」と「 採算性の維持・管理 」は直接投資先を持つ企業と同じですが、「 現地の市場動向・ニーズの把握」が2位となっています。海外に拠点を持っていない輸出企業にとっては大きな課題であるといえるでしょう。また、輸出企業でありながら「 外国語や貿易関連事務ができる人材の確保 」を課題として挙げている企業が3割近くある点が特徴的であるといえます。
参考サイト
- 少子化対策の現状と課題 – 内閣府
- 物価の動向とマクロ経済(PDF) – 厚生労働省
- 海外進出支援 – 日本貿易振興機構(JETRO)