英語の後置修飾に慣れるためのアウトプット練習の進め方
文部科学省の「中学校における英語調査の検討に関する中間まとめ(案)」によると、全国の中学生のうち、「後置修飾における語句整序の問題の通過率は約4割」という結果が出ました。中学生の半数以上が、英語の後置修飾についてあまり理解していないことがわかりました。
文部科学省では、英語の後置修飾を指導するにあたって、「日本語との対比の中で語の配列の違いにふれながら書かせ、後置修飾を使って身の回りのものを表現させる」といった改善案を示しています。実際にどのように指導していけばよいか、見ていきましょう。
目次
後置修飾に慣れるために「名詞+接触節」のアウトプット練習をする
中学生が、英語学習でつまずきやすい項目の含まれる英文例を挙げます。
(1)I know the man running in the street.
(2)I know the song sung by the singer.
(3)I have a lot of homework to do.
(4)I know the man who loved Mary.
上の英文の共通点は「後置修飾」です。現在分詞や過去分詞の限定用法、to 不定詞の形容詞的用法、関係代名詞を含む文です。前置修飾である日本語の話者が、後ろから修飾する表現に慣れ親しむには、単に後置修飾の表現を学習するだけでなく、後置修飾となる英語表現を自らアウトプットする練習を大量にこなすことが大切です。
授業では、後置修飾に慣れてもらうために、次のような「名詞+接触節」の例を示します。
(5)the book I bought
(6)the boy she knows
(7)the game he watched
(8)the coin you found
(9)the pet I have
(10)the computer my father uses
生徒には、さまざまな「名詞+接触節」をアウトプットさせて、後置修飾に慣れ親しんでもらいましょう。アウトプットの練習は、一般動詞の過去形を学んだ生徒であればできます。
語句整序によるアウトプット練習により後置修飾に慣れる
授業の導入として、フラッシュカードを用いて整序させるという手法をとります。繰り返し行うことで、徐々に正しい英語表現をアウトプットできるようになります。
関係代名詞の単元に入る授業の前には、次のようなフラッシュカードの組を生徒数分用意します。
Mary the man loved
生徒に3枚のカードを渡して、「メアリーが愛したその男」という意味になるように並べなさいと発問します。うまく正解できなかった場合には、次のようなヒントを示すとよいでしょう。
- 日本語は、前から説明 メアリーが愛した→その男
- 英語は、後ろから説明 その男←メアリーが愛した
次のようなフラッシュカードも使ってみるとよいでしょう。
the book I bought
the boy she knows
the game he watched
the coin you found
the pet I have
the computer my father uses
生徒の中には、 I bought the book、you found the coin のような答えを出してしまう生徒もいます。英文としては正しいので、どうして間違いなのかと疑問を持つ生徒もいることでしょう。そのような場合は、次のような文の下線部に入るようにしたいのだ、と説明しましょう。
This is .
(例)This is the computer my father uses.
これが私の父が使うコンピュータです
自然な英語表現のアウトプット練習をする
今度は、組ごとでなく全体の順番をばらしたものをボードに張り付け、英語を作ってもらいます。
you the book she the computer
have the boy he the game
I bought my father uses
the pet watched I the coin
knows found
the book I knows や the computer she have といった答えをした場合には、その場で直してあげます。
関係代名詞 that の位置を理解させる
生徒には、まず3枚のカードを渡します。
Mary the man loved
「メアリーを愛したその男」という意味になるように並べさせます。the man loved Mary と並べる生徒が多いことが予想されます。しかし、それでは The man loved Mary.(その男はメアリーを愛した)となります。
生徒には、「メアリーを愛したその男」という意味にするには、実はもう1語付け加える必要があることを伝えます。そして、 that の書かれたカードを見せて、どこに入れればよいか聞きます。正解は、the man と loved の間です。正解できなかった生徒がいたら、次のようなヒントを出してみましょう。
- 日本語 メアリーを愛した→その男
- 英語 その男←メアリーを愛した(矢印の場所に注目!)
次に、下のようなカードと that を組み合わせた文を作らせます。
knows the boy her mother → the boy that knows her mother
the American Tokyo lives in → the American that lives in Tokyo
a long tail has the dog → the dog that has a long tail
the station the bus goes to → the bus that goes to the station
接触節のアウトプット練習をこなすことで、「名詞(先行詞)+that+従属節」が身に付くようになります。生徒が理解したら、今度は that の代わりに who や which を用いた英語表現の学習をさせるとよいでしょう。
関連サイト
中学校における英語調査の検討に関する中間まとめ(案) – 文部科学省
中学校学指導要領解説外国語編 – 文部科学省
中学校等における英語教育の改善について – 文部科学省
いわゆる接触節について – 大阪教育大学
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