学習障がいにおける、書くことが困難な「ディスグラフィア」とは
学習障がい(LD)とは、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった能力のうち、1つ以上に著しい困難を示す障がいのことです。学習障がいの中で、文字を書くことに著しい困難を抱える症状のことを「ディスグラフィア」(dysgraphia)といいます。日本語では書字障がい、書き取り障がいなどと表現します。
ディスグラフィアの子どもは、書くのが遅い、文字が上手く書けない、文を真っすぐに書けないなど、書くことにさまざまな障がいを抱えています。ディスグラフィアの特徴や療育方法を見ていきましょう。
ディスグラフィアは学齢期に発見されることが多い
ディスグラフィアをはじめとする学習障がいは、学齢期になって、他の児童と集団で勉強する頃に発見されることが多いといわれています。担任の先生から「字を書くのが遅い」「字が上手く書けない」といった報告を受けて、初めてディスグラフィアに気付くことも多いようです。しかし、書字が遅いからといって、すぐにディスグラフィアだと決めつけることはできません。もし、半年、あるいは1年経っても改善が見られない場合は、一度担任の先生に相談してみましょう。役所の福祉課や福祉施設でも相談に乗ってくれます。学校の勉強に支障をきたさないように、早期発見、早期療養を心掛けましょう。
ディスグラフィアの主な症状
ディスグラフィアの症状の現れ方は人それぞれです。「うちの子どもディスグラフィアかな?」と思ったら、まずは次に挙げた症状に当てはまるかどうかチェックしてみましょう。
文字の書き方に現れるディスグラフィア
書字が遅い
先生の言ったことをノートに書いたり、テストの解答を書いたりする時間が長いことがあります。答えはわかっているのに、書く時間が遅いために点数が取れなかったということもあります。
正しい書き順で書けない
漢字の「一」を右から書いたり、「上」を横、横、縦の順に書いてしまったりします。漢字の練習をする時は、書き方を矢印や数字で示してあげるとよいでしょう。
文字の点や線の付け忘れ、付け加え
例えば、「犬」の時を書く時に点を書き忘れたり、誤った所に点を書いたりすることがあります。習ったばかりの漢字や、よく書き間違える漢字などは、手本をなぞって書く練習から始めるとよいでしょう。
形の似た文字を書き間違える
「わ」と「れ」、「止」と「正」のように、形の似た文字を書き間違えます。2020年度からは、小学校3年生で英語の授業が始まります。アルファベット文字の「b」と「d」や「E」と「F」といった字を書き間違えないように今のうちから練習しておくとよいでしょう。
「へん」と「つくり」の位置を逆にして書く
小学校2年生になると、「海」や「絵」のような「へん」(偏)と「つくり」(旁)による漢字を習います。ディスグラフィアの子どもは、「へん」を右側、「つくり」を左側に書いてしまうことがあります。
鏡文字を書く
鏡文字とは、左右を反転した文字のことです。鏡文字を鏡に映すと正しい文字になります。鏡文字を書く子どもには、手本となる文字を見ながら書く練習をさせるとよいでしょう。
文の書き方に現れるディスグラフィア
文字を大きく書いたり小さく書いたりする
マスをはみ出して書いたり、マスの中に小さな字を書いたりします。手本を見せて写し書きをさせ、改善を図っていくとよいでしょう。
文を真っすぐに書けない
横書きで書くと、文が右肩上がり、あるいは右肩下がりになります。また、縦書きでは、文が右、あるいは左に寄ってしまうことがあります。白紙に文を書く時は、行間に線を引くと書きやすくなります。
上記の他に、ディスグラフィアの子どもは、句読点を忘れる、句読点を正しい場所に打てない、助詞や助動詞が上手く使えないといった症状が見られます。
関連サイト
学習障害 – 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター
読み障害を伴わず,書字の習得障害を示した小児の1例 – 国立研究開発法人科学技術振興機構
学習障害児に対する指導について(報告) – 文部科学省
LD(学習障害)とは – 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
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