学習障がいにおける、読み書きの困難な症状「ディスレクシア」とは
学習障がい(LD)とは、知的な発達には遅れが見られないものの、聞くことや話すこと、読むこと、書くこと、計算すること、推論することなどの能力のうち、1つ以上に著しい遅れが見られる障がいのことです。
学習障がいのうち、読むことと書くことが困難な症状を「ディスレクシア」といいます。英語では「dyslexia」と表記します。「発達性読み書き障がい」と表現することもあります。ディスレクシアとはどのような症状なのか詳しく見ていきましょう。
ディスレクシアは小学校入学後に見つかることが多い
ディスレクシアの症状に「文字に興味がなく、覚えようとしない」「文字を1つ1つ拾って読んでしまう」などがあります。このような症状を就学前に見つけることは難しいでしょう。症状があったとしても、親御さんの多くは、小学校に上がれば解消されるだろうと思うことでしょう。
ディスレクシアは、子どもが小学校へ入学した後に、授業などを通じて学校の先生が見つけるケースがほとんどです。親御さんが、家庭で勉強を教えている時に見つけることもよくあります。
小学校低学年では、比較的画数の少ない漢字を習いますが、小学校3年生になると少し画数の多い漢字も習うようになります。画数の多い漢字がうまく書けない場合もディスレクシアです。ディスレクシアは、小学校1年生で見つかることもあれば、小学校3年生になって見つかることもあります。
ディスレクシアと英語学習
ディスクレシアは、あくまでも識字能力に関する症候であって、英語が使える・使えないという言語能力そのものに影響するものではありません。
ディスクレシアは、英語学習より先に日本語学習の段階で向き合うことになるので英語学習に特化した対応が話題に上ることは少ないでしょう。
ディスレクシアの子どもにとって、字に頼らない言語学習という意味では、オンライン英会話レッスンが効果的です。
ディスレクシアの初期症状の特徴
ディスレクシアの初期症状には次のようなものがあります。
読字障がいの初期症状
- 幼児期には文字に興味がないし、覚えようとしない
- 文字を一つ一つ拾って読む(逐次読み)
- 語あるいは文節の途中で区切ってしまう
- 読んでいるところを確認するように指で押さえながら読む
- 文字間や行間を狭くするとさらに読みにくくなる
- 初期には音読よりも黙読が苦手である
- 一度、音読して内容理解ができると二回目の読みは比較的スムーズになる
- 文末などは適当に自分で変えて読んでしまう
- 本を読んでいるとすぐに疲れる(易疲労性)
書字障がいの初期症状
- 促音(「がっこう」の「っ」)、撥音(「とんでもない」の「ん」)、二重母音(「おかあさん」の「かあ」)など特殊音節の誤りが多い
- 「わ」と「は」、「お」と「を」のように耳で聞くと同じ音(オン)の表記に誤りが多い
- 「め」と「ぬ」、「わ」と「ね」、「雷」と「雪」のように形態的に似ている文字の誤りが多い
- 画数の多い漢字に誤りが多い
出典:ディスレクシアの初期症状(国立成育医療研究センター)
ディスレクシアの治療方法
ディスレクシアの子どもは、文章を読むのに時間がかかるため、意味を理解することが困難です。そのため、思うような成績を残すことができず、勉強に身が入らなくなってしまいます。不登校や心身症といった問題を招く恐れもあるので、早期に治療することが大切です。
ディスレクシアを治療するには、ディスレクシアの子どもを受け付けている専門の病院がお薦めです。病院では、支援グッズを使って音読練習をしたり、書字練習をしたりして治療が行われます。
自分の子どもがディスレクシアかもしれないと思ったら、まずは学校の担任の先生に相談しましょう。市役所の福祉課や福祉施設も相談に乗ってくれます。
ディスクレシアは、まだまだ研究が進んでいない症候であり、決定的な対応法は今のところ確立されているとは言い難く、根気よく対応していく意識も持っておくとよいでしょう。
関連サイト
ディスレクシア – 国立成育医療研究センター
学習障害 – 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター
「読み書き障害児」の脳活動の異常を発見~発達性読み書き障害(ディスレクシア)の神経学的な病態を解明~ – 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター
ディスレクシアの児童・⽣徒達のための⼿書き⽂字・数式⼊⼒インタフェースの研究開発 – 総務省
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