五感に敏感なアスペルガー症候群の子どもへの支援、対応方法
アスペルガー症候群とは、対人関係やコミュニケーションが苦手で、パターン化した行動に強いこだわりを見せるという特性をもつ発達障がいのことです。
アスペルガー症候群を抱える子どもの多くは、視覚や聴覚、触覚、味覚、臭覚といった五感に問題を抱えています。ちょっとした物音に敏感に反応したり、肩をたたいたら急に怒りだしたりすることもあります。
五感に敏感なアスペルガー症候群の子どもが、家庭で安心して暮らしていくには、どのような支援方法があるでしょうか。
視覚過敏の子どもには間接照明を使う
視覚が過敏な子どもは、部屋が急に明るくなったり、テレビのスクリーンからまぶしい映像が映ったりすると、パニック症状になることがあります。子どもには、「部屋を明るくするよ」と一声かけてから部屋を明るくするとよいでしょう。テレビを観る時は、部屋を明るくすることで視覚過敏を軽減することができます。
部屋の照明は、蛍光灯を使うよりも白熱灯やLED電球を使ったほうが刺激が軽くなります。それでも気になる時は、間接照明にするとよいでしょう。
家の外では、太陽光がまぶしいと感じることがあります。このような時は、サングラスを使うとよいでしょう。サングラスにはさまざまな種類がありますので、子どもに合ったサングラスを見つけてください。写真を撮る時は、なるべくフラッシュを使わないようにすることも頭の片隅に入れておいてください。
聴覚に敏感な子どもには静かな環境を保つことが大切
聴覚が敏感な子どもは、掃除機の音や椅子の移動音にも強い不快感を示します。親御さんにとっては何でもないような音でも、アスペルガー症候群の子どもにはとても耐えられない音なのです。なるべく静かな環境を保つように心掛けましょう。
掃除をする時は、子どもがいない時にするのが望ましいでしょう。子どもがいる場合は、掃除をする部屋からなるべく遠くの部屋に連れていって、音に対する刺激を軽減します。椅子の移動する音が気になる場合は、音がしないようにクッションをあてがうとよいでしょう。ドアを開閉する時の音やトイレの音、スマートフォンから出る音などにも注意を払いましょう。
触覚過敏の子どもには触れる前に一声かける
触覚過敏の子どもは、頭をなでられたり肩をたたかれたりすることが嫌いです。あらかじめ声を掛けてから触れるようにしましょう。触覚が敏感な子どもは、ざらざらした素材の衣服にも不快感を示すことがあります。子どもが嫌がる衣服は無理に身に付けさせないようにしましょう。
触覚過敏は、「圧迫刺激」で改善できることがあります。圧迫刺激とは、ぎゅっと抱きしめたり、クッションに押し付けたりして、体の一部に刺激を与えることです。
味覚に敏感な子どもには味付けを工夫する
甘味や酸味、塩味、苦味、うま味などの味覚に敏感な子どもには、味付けを工夫してあげましょう。ニンジンやピーマンが嫌いな子どもには、食材をすりおろしてシチューやカレー、ハンバーグに入れるとよいでしょう。
食べ物では、硬いものが食べられない、柔らかいものが食べられないという子どももいます。硬いものが食べられない子どもには、ペースト状にして与えてみるのもよいでしょう。また、柔らかいものが食べられない子どもには、フライにしたり焼いたりするとよいでしょう。
臭覚過敏の子どもには空気清浄機で対応する
臭覚が敏感な子どもは、芳香剤やヘアスプレーにも不快感を示します。家庭では、無臭タイプのものを使うようにしましょう。トイレや浴室など、臭いの発生する部屋には、空気清浄機や無臭の消臭剤を使って臭いを消しましょう。
外出する時はマスクを持参して、いざという時のために備えておきましょう。
関連サイト
アスペルガー症候群について – e-ヘルスネット
高機能自閉症・アスペルガー症候群への理解を広げるために – 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
発達障害の理解と支援 – 内閣府
発達障害児に対する有効な家族支援サービスの開発と普及の研究 – 国立障害者リハビリテーションセンター
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