学習障がいで話すことが苦手な子どもへの支援方法
学習障がい(LD)とは、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」などの能力のうち、1つ以上に著しい困難を示す障がいのことです。
話すことが困難な子どもは、「さかな」を「しゃかな」と発言したり、「だいこん」を「らいこん」と発音したりするなど、うまく発音することができません。話すことが苦手な子どもは、書くことも苦手な場合があります。例えば、「でんわ」を「れんわ」と発音する子どもは、文字を書く時も「れんわ」と書いてしまうことがあります。話すことが苦手な子どもにはどのような支援をすればよいでしょうか。
発音を間違えたらその場で指摘する
子どもが間違った発音をしたら、その場で指摘してあげるとよいでしょう。「いま、『だくだ』って言ったけど、正しくは『らくだ』だよ。『らくだ』って言ってごらん。」のように言います。「だくだ」「らくだ」の語は、なるべくゆっくり、はっきりと丁寧に言ってあげるとよいでしょう。子どもが正しく言えたら褒めてあげましょう。
読み聞かせの時に発音の練習をする
読み聞かせの時に、子どもと一緒に読み進めていくのもよいでしょう。
「むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました」
例えば、「ろ」を「ど」と発音したり、「さ」を「しゃ」と発音したりする子どもの場合には、「ところ」「おじいさん」「おばあさん」の語をゆっくり、はっきりと発音します。次に、子どもと一緒に文を読みます。正しく発音できるまで何度か繰り返して読むとよいでしょう。
読み聞かせに用いる本は、文章量が少ない絵本などがお薦めです。
書き間違いにも注意を払う
発音を間違って覚えている子どもは、文字も間違って書いてしまうことがあります。「そら」を「しょら」と発音する子どもは、書く時も「しょら」と書いてしまいます。うまく発音できるようになった言葉でも、書くと間違えてしまうこともあります。発音の練習をする時は、書く練習も一緒にするとよいでしょう。
読み間違えや書き間違えの多い言葉は一覧表にするなどして書き留めておき、読む練習や書く練習の時に活用しましょう。
「さ行」や「だ行」の言葉が読み間違いやすい
話すことが困難な子どもは、「さ行」や「だ行」の言葉を読み間違えます。例えば、「さ」のつく言葉を「しゃ」と発音したり、逆に「しゃ」のつく言葉を「さ」と発音したりします。
「さ」と「しゃ」の言い間違いの例
- かさ→かしゃ
- さかな→しゃかな
- さら→しゃら
- サラダ→シャラダ
- さる→しゃる
- サンダル→シャンダル
- きしゃ→きさ
- しゃしん→さしん
- シャツ→サツ
- しょうぼうしゃ→そうぼうしゃ、そうぼうさ、しょうぼうさ
- じどうしゃ→じどうさ
「ら」と「だ」を間違えて発音することもあります。「らくだ」のように「ら」と「だ」のある言葉では、「らくら」「だくだ」「だくら」といった間違った発音をします。
「ら」と「だ」の言い間違いの例
- さくら→さくだ
- だいこん→らいこん
- まくら→まくだ
その他には「す」を「しゅ」と発音したり、「そ」を「しょ」、しゃ」と発音することがあります。子どもには、日頃から大きな声ではっきりと発音するように促しましょう。一緒に本を読んだり歌を歌ったりして、発話する機会を増やすのもよいでしょう。
その他の言い間違いの例
- くすり→くしゅり、くつり
- すいか→しゅいか、ついか
- すべりだい→しゅべりだい、つべりだい
- ナス→ナシュ、ナツ
- リス→リシュ、リツ
- マスク→マシュク、マツク
- そうじ→しょうじ
- ろうそく→ろうしょく、どうそく、どうしょく
- みず→みじゅ
- ジュース→ジューシュ、ジューツ
- クレヨン→クデヨン
- テレビ→テデビ
- れいぞうこ→でいろうこ
- おでん→おれん
- ストロー→シュトロー、シュトドー、ストドー
- うどん→うろん
関連サイト
学習障害 – e-ヘルスネット
読み書きのみの学習困難 (ディスレキシア)への対応策 – 科学技術・学術政策研究所
学習障害児に対する指導について(報告) – 文部科学省
通常の学級で学習する障害のある子どもの日本語の音韻・音節の認識に関する研究 – 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
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