学習障がいを抱える児童、生徒のための音読克服法
学習障がい(LD)とは、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった能力のうち、1つ以上に著しい困難を示す障がいのことです。知的発達には遅れは見られません。
読むことが困難な子どもは音読を苦手とするケースが多く、授業では、周りから「何を言っているのかわからない」「漢字を間違えて読んでいる」などと指摘されることがしばしばあります。音読が原因で授業が嫌いになったり学力が落ちたりする前に、音読克服にチャレンジしてみましょう。
音読が苦手な要因を理解する
音読が苦手な子どもは、例えば、「きょうは月よう日です」と書かれている文を、「きょ・う・は・に・ち・よ・う・び・で・す」と途切れで発音したり、「月」を「日」に読み間違えたりします。これらの要因としては、一度に多くの文字が処理できないこと、文字を音に変換することが困難なこと、文字の形を正しく捉えられないことなどが考えられます。
文章を視覚的に区切る
学習障がいで音読が苦手な児童、生徒は、文章を区切る場所がわかりません。区切る所に空白を設けたり、線を入れたりします。子どもには、句読点や空白、線のところで一呼吸置くことを教えます。
(例)
ひろしくんと、こうえんで サッカーを して あそびました。
ひろしくんと、こうえんで|サッカーを|して|あそびました。
漢字にはふりながを付ける
読み間違いの多い漢字にはふりがなを付けて、スラスラと読み進められるようにします。「月」と「日」、「林」と「森」のように、形の似ている漢字や、「読」、「園」のような画数の多い漢字、新しく習った漢字などにふりがなを付けるとよいでしょう。
音読する文字を大きくする
小さな字だと漢字などが読みづらいことがあったり、どこを読んでいるのか途中でわからなくなったりしますので、拡大コピーを使って文字を大きく表示させるとよいでしょう。教科書の文字を大きくする場合には、あらかじめ先生に相談しておきましょう。また、文字の大きさは大きければよいというわけではなく、子どもが読みやすい大きさにします。
予習、復習で克服する
家庭では、あらかじめ音読するところを練習しておくとよいでしょう。予習をすれば授業の理解度が高まって学力向上にもつながります。また、復習をすることで音読の上達度を測ることもできます。予習、復習を習慣づけるとよいでしょう。
音読が苦手の場合、読むことに関心が行ってしまいがちですが、聞くことや話すこと、書くことの能力についても把握しておく必要があります。
関連サイト
LDのある子どもの合理的配慮 – 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
学習障害 – 文部科学省
学習障害児に対する指導について(報告) – 文部科学省
特別支援教育について・第5部 保護者・本人用 – 文部科学省