チック症、トゥレット症候群とは?
チック症とは、自分の意思とは関係なく声を出してしまったり、体を動かしてしまったりする症状のことです。チック障がいとも言います。チック症は、小学校就学前(4歳~6歳)から症状が現れ始め、小学校高学年頃(10歳~11歳)に症状がよく出るようになります。その後は歳を重ねるごとに徐々に症状が軽くなり18歳頃にはほとんど症状が見られなくなりますが、100人に1人程度は成人になっても症状が残ると言われています。
トゥレット症候群とは、チック症の症状の1つで、声を出したり体を動かしたりする症状が1年以上継続して見られる症状のことです。チック症やトゥレット症候群の特徴や治療方法を見ていきましょう。
チック症の種類
チック症の特徴は、自分の意思とは関係なく、突発的に、無目的に声を出したり体を動かしたりすることです。チック症には、音声チックと運動チックがあり、自分の意思とは関係なく、突発的に、無目的に発声してしまう症状を音声チック、体を動かしてしまう症状を運動チックといいます。
音声チックと運動チックは、さらに単純性と複雑性に分かれます。単純性音声チックはせき払いや舌打ちなどの行為、複雑性音声チックは汚い言葉をはいたり独り言を話したりする行為が挙げられます。単純性運動チックはまばたきや首を振ったりかしげたりする行為、複雑性運動チックは近くにある物を触ったり、他人の動きを真似たりする行為などが挙げられます。
単純性音声チックの主な症状
- せき払いする
- 舌打ちをする
- 鼻を鳴らす
- ぶつぶつ言う
複雑性音声チックの主な症状
- 卑猥な言葉や人種差別につながる言葉を口にする
- 独り言をいう
- 他人の発した言葉を繰り返す
単純性運動チックの主な症状
- 不自然にまばたきする
- 首を振ったりかしげたりする
- 顔をしかめる
複雑性運動チックの主な症状
- 近くにある物を触れる、叩く、蹴る
- 他人の動きを真似る
- 卑猥な身振りをする
チック症とトゥレット症候群との違い
チック症は、症状の期間や種類などによって分類されます。音声チック、あるいは運動チックの症状の持続が1年未満の場合、一過性チック症、あるいは暫定的チック症といいます。音声チックのみが1年以上持続する場合は、慢性音声チック症、あるいは持続性音声チック症といいます。また、運動チックのみが1年以上持続する場合は、慢性運動チック症、あるいは持続性運動チック症といいます。
音声チックと運動チックの両方が1年以上持続する場合は、トゥレット症候群といいます。
チック症、あるいはトゥレット症候群と診断された子どもは、自閉症やADHD(注意欠陥・多動性障がい)、LD(学習障がい)、アスペルガー症候群といった発達障がいを併存していることがあります。もし子どもがチック症、トゥレット症候群と診断されたら、発達障がいがないかチェックするとよいでしょう。
チック症、トゥレット症候群の治療法
チック症の症状が軽ければ、症状が自然に消えるまで治療を行わないケースがほとんどです。子どもには、「あまり心配する必要はない」「大人になればなくなる」と言って安心させることが大切です。チックの症状が出ても制止したり怒ったりしてはいけません。
学校生活においては、先生や周りの生徒の理解が必要です。しかし、症状によっては学校生活に支障をきたす場合も出てくるでしょう。そのような時は、チックの症状を抑えるための薬(主に抗精神病薬)の服用がすすめられます。学校の担任、専門医と連携しながら子供をサポートしていきましょう。
関連サイト
トゥレット症候群ってなんだ – NHK
チック – 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
チックの症状について教えてください – 一般社団法人日本小児神経学会
発達障害と二次障害 – 新潟大学教職大学院・長澤研究室ホームページ
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