ダウン症の子どもへの英会話教育の意義、その影響と必要性
文部科学省では、小学校の英語の教科化や大学入試における「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能導入など英語教育の改革を進めています。ダウン症を抱える児童や生徒は英語4技能のうち「聞く」「話す」ことが苦手なことが多いため、養護学校や支援学級を持つ学校、また、放課後等デイサービスは、オンライン英会話サービスなどを活用して「聞く」「話す」の機会を十分に与え、相応の学力取得、維持を図るとよいでしょう。
目次
ダウン症は英語の「聞く」「話す」「書く」に影響
下の表は、ダウン症を抱える人が、英語の「聞く」「読む」「話す」「書く」の各技能に及ぼす影響を示したものです。
ダウン症を抱えている人は、聴覚に障がいを持っていたり、中耳炎で難聴になったりすることがあります。その影響で、英語を「聞く」ことが困難になるケースがあります。「話す」ことについては、耳の疾患が原因で言葉が不明瞭になったり、吃音(どもり)が出たりすることがあるので、そのような症状のある人には「話す」ことは困難になるでしょう。「書く」ことについては、手の筋力が弱い人は書くことが遅くなりがちです。
なお、ダウン症にはさまざまな症状があります。「聞くことや話すことが苦手」と決めつけることなく、一人ひとりの症状を見て得意、苦手なジャンルを把握して療育することが大切です。
ダウン症の子どもは年々増加の傾向にある
下のグラフは、出産児1万人あたりの、ダウン症と診断された出産時数の推移を表したものです。2001年から2014年にかけて、増減を繰り返しながらも右肩上がりで増加していることがわかります。2014年の数はおよそ18.7人で、2001年と比較すると2.27倍も増加しています。
出典:先天異常データベース(横浜市立大学先天異常モニタリングセンター)
※上記データは、出典元の発表する出産児総数とダウン症候群と診断された出産児数をもとに算出したものです。計算式:(ダウン症候群と診断された出産児の数)÷(出産児総数)×10,000
なぜ、ダウン症と診断される子が増えているのでしょうか? 多くの研究者たちがさまざまな観点から分析を行っていますが、内閣府の「新たな少子化社会対策大綱策定のための検討会」で示された資料によれば、ダウン症の子が生まれる頻度は女性が年を重ねるごとに高くなる傾向にあること、また、男性の年齢が高齢化すると出産した児の先天異常率が上昇することなどが報告されています。
下のグラフは、40歳以上の女性による子の出生数の推移を表したものです。年々、40歳以上女性の子の出生数が増えていることが分かります。
出典:平成27年 人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省)
ダウン症の子が生まれる頻度は、30歳の女性では1,000人あたり1人程度ですが、40歳の女性では9.4人、45歳の女性では33.3人、49歳の女性では90.9人と年を重ねるごとに増えています。
出典:「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」(厚生労働省)
一方、男性が25~29歳の時に生まれてくる子の先天異常リスクを1.00とした場合の年齢層別のリスクを表したものが下のグラフです。35~39歳の男性では1.04、40~49歳の男性では1.08、50歳以上の男性では1.15と、年齢を重ねるごとにリスクが高くなっていることが分かります。
関連サイト
これだけは知っておきたい障がいの基礎 – 大阪府立寝屋川支援学校
平成28年版 厚生労働白書 – 厚生労働省
障害者福祉 – 厚生労働省
障害者総合支援法が施行されました – 厚生労働省
障害児施設の一元化に向けた職員養成に関する調査研究 研究報告書 – 厚生労働省
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