小学校の英語教育の現状と課題
文部科学省の「平成26年度小学校外国語活動実施状況調査」によると、小学校5年生と6年生の児童は、英語の授業を通じて、英語に対する意識や関心が向上してきているという結果が出ています。一方で、3人に2人の教員は、英語の指導に自信がないと回答しています。
小学校での英語教育の現状と、抱えている課題を見ていきましょう。
目次
小学校の英語教育の現状
小学校の英語授業について、学習指導要領では、「学校の実態等に応じ、児童が外国語に触れたり、外国の生活や文化などに慣れ親しんだりするなど小学校段階にふさわしい体験的な学習が行われるようにすること」と規定されています。主に、歌やゲーム、自己紹介などの簡単なスピーチなどを通じて英語に触れる活動が行われています。
文部科学省によれば、小学校の9割以上で英語の授業が行われています。そのうち、英語授業を受けている小学校5年生と6年生のおよそ7割が「英語が楽しい」と回答しており、英語の学習に良い印象を抱いていることが分かります。
出典:平成26年度小学校外国語活動実施状況調査(文部科学省)
小学校5年生と6年生が、英語に対して良好なイメージを持っていることは、英語授業による1つの成果と言えます。一方、小学校での英語授業を終えた中学生が、「小学校の外国語活動でもっと学習しておきたかったこと」という質問には、英単語や英文を読んだり書いたりすることと回答しています。
出典:平成26年度小学校外国語活動実施状況調査(文部科学省)
英語教育を早期化するメリット
文部科学省では、英語を活用できる人材を育成するために、2020年度から小学校3年生と4年生で英語授業を必修化する予定です。小学校5年生と6年生は英語が教科に位置付けられます。ちなみに、韓国では、1997年から初等学校第3学年(日本の小学校3年生)で英語授業が始まっています。文部科学省が発表している「韓国における小学校英語教育の現状と課題」によると、英語授業を取り入れてからは、韓国の児童に積極的な表現活動が見られるようになったといいます。英語教育の早期化により、「読む」「聞く」「書く」「話す」の英語4技能の能力が高まり、コミュニケーション能力の向上が期待できます。
文部科学省の「平成26年度小学校外国語活動実施状況調査」によれば、小学校5年生と6年生への「英語を使ってしてみたいことは何か」という質問に、84.4%が「海外旅行に行くこと」、77.1%が「外国の人と友達になること」、75.5%が「外国の人と話すこと」という結果が出ています。
英語教育の早期化による課題
英語教育の早期化による課題を見ていきましょう。
1.日本語がおろそかになる恐れ
小学生では、まだ、母国語である日本語がしっかりと使えていない段階です。日本語を学んでいる段階で英語の勉強を始めることで、どちらの言葉を使っても言いたいことが言えないダブルリミテッドになってしまう恐れがあります。
2.他の教科への影響
英語の必修化は、小学校3年生と4年生で年35時限、小学校5年生と6年生で年70時限が予定されています。その分、他の教科の授業時間は減ります。減った分をどのように補ていくか課題が残ります。
3.教員の英語力不足
文部科学省の調査によると、小学校教員のうち、「英語を指導することに自信がありますか」という質問に対して、「自信がない」と答えた教員が3人に2人いることがわかりました。小学校教員には、充分に指導できるだけの英語力が求められます。
出典:平成26年度小学校外国語活動実施状況調査(文部科学省)
文部科学省の調査によると、「英語が好きですか?」の質問に対して、小学校5年生と6年生では70%が「好き」と回答していますが、中学校1年生では50%まで減少していることがわかりました。小学生のうちから、楽しく英語を学ぶ環境を作り上げていくことが大きな課題といえるでしょう。
関連サイト
小学校英語活動実施状況調査(平成17年3月)の結果概要 – 文部科学省
平成26年度小学校外国語活動実施状況調査の結果 – 文部科学省
小学校における英語教育の現状と課題 – 文部科学省
韓国における小学校英語教育の現状と課題 – 文部科学省
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