日本とアメリカの「IT教育」の取り組み方・充実度の違い
目次
日本における教育×ITの取り組み
日本の教育現場では、久しく「読み・書き・そろばん」に基づいた教育が行われてきました。文章を読む力、書く力、そして計算する力は、特に初等教育においては重要視されていました。
しかし、ITの普及やグローバル化が進む中、教育現場は大きく様変わりしようとしています。教室には黒板の替わりに電子黒板や大型スクリーンが設置され、児童生徒はタブレット端末に向かってドリルやテストを行っています。ガリ版刷りのテストも、プリントを席の後ろに回す配り方も、先生のチョーク投げも、今や昔の話です。
日本政府は、21世紀にふさわしい教育現場の実現に向けてさまざまな施策を講じています。2013年に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」では、「教育環境自体のIT化」と「教員によるIT教育の実施」に重点を置いて取り組んでいくことが発表されました。
資料「世界最先端IT国家創造宣言」より抜粋
教育環境自体のIT化⇒児童生徒等の学力の向上と情報の利活用力の向上
- 学校の高速ブロードバンド接続
- 1人1台の情報端末配備
- 電子黒板や無線LAN環境の整備
- デジタル教科書・教材の活用
教員によるIT教育の実施⇒IT活用指導モデルの構築やIT活用指導力の向上
- 指導案や教材など教員が積極的に活用可能なデータベースを構築
- 府省の既存の子供向けページを教材として整理
- 教育用のデジタル教材の充実
進んでいるアメリカの教育×IT
IT先進国のアメリカ合衆国では、産学官民こぞっての教育イノベーションが巻き起こっています。その拍車をかけたのが、オバマ政権による「Computer Science For All」(2015年)です。
「Computer Science For All」は、コンピュータサイエンスの重要さを説いた政策で、コンピュータサイエンスを義務教育(*)の必須科目に指定するといった内容も織り込まれています。教育現場では、MOOCs(大規模な公開オンライン講座)をはじめ、LMS(学習管理システム)、学習コンテンツのマーケットプレイスなどの最新の技術、サービスが積極的に導入されています。
日本の総務省がまとめたITに関する資料によれば、教育分野におけるITの利用率、認知率はアメリカ合衆国をはじめとする諸外国よりも低いという結果でした。特に利用率は大きく離されており、今後の日本政府の政策が期待されるところです。
*アメリカ合衆国の義務教育は小学校、中学校、高校の12年間。
資料1:「ICT関連動向の国際比較及び国内外のICT利活用先進事例調査報告書」(総務省)をもとにweblioが再編加工
IT化が進めば学力もアップする
ITの利用率と児童生徒の学力には相関関係があります。下の図は、各国におけるITの利用率と学力(*)との比較をグラフに表したものです。
これを見ると、ITの利用率の高い国ほど学力の高い傾向にあることがわかります。唯一の例外が日本です。学力は高い水準を維持していますが、教育現場でのIT化の遅れを表しています。IT化が一層推進されていけば学力はさらに上昇すると思われます。
*OECDの国際的な学習到達度に関する調査(PISA、Programme for International Student Assessment)より。
資料2:「ICT関連動向の国際比較及び国内外のICT利活用先進事例調査報告書」(総務省)、および、「PISA」(OECD)をもとにweblioが再編加工
教育×ITの活用例
日本では、教師がさまざまな形で教育×ITへアプローチしています。ここでは教師の権限で比較的取り組みやすい内容をご紹介します。
■Excel
- 表計算ソフトのExcelを使った計算ドリルの作成。Excelの乱数を発生させる機能を使って、さまざまなパターンの計算問題を作成することもできます。
- テストの成績管理。出題内容から苦手分野を発見するといった分析も可能です。
■Word
- テストやドリルの作成。
- 要点を整理した資料の作成。
- 指導内容をまとめた資料の作成。
■PowerPoint
- 歴史上の人物や遺跡、生物などの資料画像の作成。大型スクリーンに映し出すこともできます。
■スマートフォンやタブレット端末の録音、録画機能
- 陸上競技や体操などの運動シーンの録画。再生してチェック、指導に用います。
- 歌唱や演奏の録音、録画。再生してチェック、指導に用います。
■スマートフォンやタブレット端末のカメラ機能
- 教科書の図表や写真を撮影して、大拡大表示
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