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文部科学省の調査で判明・中学生はライティングが苦手

文部科学省が、全国の中学3年生約6万人を対象に実施した英語試験の結果が2017年3月に公表されました。試験は英語4技能についてそれぞれ行われ、正答率は「読むこと」「聞くこと」「話すこと」の3技能については50%程度で「書くこと」(ライティング)は32.9%という結果でした。

 

文部科学省では、中学校3年卒業段階で英検3級以上の取得者50%以上、また、4技能についてバランスよく習得するといった目標を掲げています。今回の調査で、多くの生徒が英検4級~5級に相当するCEFR A1下位の成績で、ライティングの能力がや低い結果となり目標達成とはいきませんでした。

中学生は「書くこと」が弱点

下の表は、「読むこと」「聞くこと」「書くこと」「話すこと」の4技能のそれぞれの学力を示したものです。2016年度の学力は、「話すこと」を除いて前年度よりもアップしていることがわかります。正答率では、「読むこと」「聞くこと」「話すこと」は半分程度の正答率で、「書くこと」の正答率は3分の1程度に留まっています。

 

中学生のライティング能力のアップが急がれているといってよいでしょう。

出典:平成28年度 英語力調査結果(文部科学省)

 

出典:平成28年度 英語力調査結果(文部科学省)

 

「読むこと」の正答率は50%をやや下回る

「読むこと」の点数分布を示したものが下のグラフです。170点満点中、平均点は83.4点で正答率は50%をやや下回りました。点数の分布を見てみると70点台が最も多く、CEFRではA1に相当していることがわかりました。なお、今回の調査では、CEFR A1をA1上位とA1下位に分類しています。A1上位はCEFR-JのA1.2とA1.3に相当し英検では3級~4級程度に相当します。A1下位はCEFR-JのPre A1とA1.1に相当し、英検では4級~5級程度に相当します。また、CEFR A2は、英検準2級に相当します。CEFR A2、およびA1上位、A1下位の英語力は次の通りです。

 

CEFR A2

 

  • 簡単な英語で表現されていれば、旅行ガイドブック、レシピなど実用的・具体的で内容が予想できるものから必要な情報を探すことができる。
  • 簡単な語を用いて書かれた人物描写、場所の説明、日常生活や文化の紹介などの、説明文を理解することができる。

 

CEFR A1上位

 

  • 簡単な語を用いて書かれた、スポーツ・音楽・旅行など個人的な興味のあるトピックに関する文章を、イラストや写真も参考にしながら理解することができる。
  • 簡単なポスターや招待状等の日常生活で使われる非常に短い簡単な文章を読み、理解することができる。

 

CEFR A1下位

 

 

  • 「駐車禁止」、「飲食禁止」等の日常生活で使われる非常に短い簡単な指示を読み、理解することができる。
  • 口頭活動で既に慣れ親しんだ絵本の中の単語を見つけることができる。

 

出典:平成28年度 英語力調査結果(文部科学省)

 

「聞くこと」の正答率は50%を上回る

下のグラフは、「聞くこと」の点数分布を示したものです。170点満点中、平均点は93.8点で正答率は55.2%という結果でした。点数の分布では80点台が最も多くなっています。80点台はCEFR A1下位に当たり、4人のうち3人がA1下位(英検4級~5級相当のレベル)でした。

 

CEFR A2

 

  • スポーツ・料理などの一連の行動を、ゆっくりはっきりと指示されれば、指示通りに行動することができる。
  • ゆっくりはっきりと放送されれば、公共の乗り物や駅や空港の短い簡潔なアナウンスを理解することができる。

 

CEFR A1上位

 

  • ゆっくりはっきりと話されれば、自分自身や自分の家族・学校・地域などの身の回りの事柄に関連した句や表現を理解することができる。
  • 趣味やスポーツ、部活動などの身近なトピックに関する短い話を、ゆっくりはっきりと話されれば、理解することができる。

 

CEFR A1下位

  • 当人に向かって、ゆっくりはっきりと話されれば、「立て」「座れ」「止まれ」といった短い簡単な指示を理解することができる。
  • ゆっくりはっきりと話されれば、日常の身近な単語をを聞き取ることができる。

 

出典:平成28年度 英語力調査結果(文部科学省)

 

「書くこと」の正答率は4技能の中で最も低い

「書くこと」の点数分布を示したものが下のグラフです。95点満点中、平均点は31.3点で正答率は32.9%と、4技能の中では最も低い結果となりました。点数の分布では0~4点が最も多く、生徒のライティング力の低さが浮き彫りになっています。

 

CEFR A2

 

  • 身の回りの出来事や趣味、場所、仕事などについて、個人的経験や自分に直接必要のある領域での事柄であれば、簡単な描写ができる。
  • 日常的・個人的な内容であれば、招待状、私的な手紙、メモ、メッセージなどを簡単な英語で書くことができる。

 

CEFR A1上位

 

  • 自分の経験について、辞書を用いて、短い文章を書くことができる。
  • 簡単な語や基礎的な表現を用いて、身近なこと(好き嫌い、家族、学校生活など)について短い文章を書くことができる。

 

CEFR A1下位

 

  • 住所・氏名・職業などの項目がある表を埋めることができる。
  • アルファベットの大文字・小文字、単語のつづりをブロック体で書くことができる。

 

出典:平成28年度 英語力調査結果(文部科学省)

 

「話すこと」の正答率は前年の正答率を下回る

下のグラフは、「話すこと」の点数分布を示したものです。14点満点中、平均点は6.7点で正答率は半分を下回りました。また、前年の2015年の平均点(7.4点)も下回っています。

 

CEFR A1上位

 

  • 前もって発話することを用意した上で、限られた身近なトピックについて、簡単な語や基礎的な句を限られた構文に用い、複数の文で意見を言うことができる。
  • 前もって発話することを用意した上で、限られた身近なトピックについて、簡単な語や基礎的な句を限られた構文を用い、簡単な意見を言うことができる。
  • 趣味、部活動などのなじみのあるトピックに関して、はっきりと話されれば、簡単な質疑応答をすることができる。
  • 基本的な語や言い回しを使って日常のやりとり(何ができるかできないかや色についてのやりとりなど)において単純に応答することができる。

 

CEFR A1下位

 

  • 基礎的な語句、定型表現を用いて、限られた個人情報(家族や趣味など)を伝えることができる。
  • 簡単な語や基礎的な句を用いて、自分についてのごく限られた情報(名前、年齢など)を伝えることができる。
  • なじみのある定型表現を使って、時間・日にち・場所について質問したり、質問に答えたりすることができる。
  • 基礎的な語句を使って、「助けて!」や「~が欲しい」などの自分の要求を伝えることができる。また、必要があれば、欲しいものを指さししながら自分の意思を伝えることができる。

 

出典:平成28年度 英語力調査結果(文部科学省)

ライティングの能力アップが課題

英語の学習では4技能をバランスよく習得することが求められている中、英検では、2017年度から3級や準2級のテストでライティングテストを導入しました。中学生の弱点ともいえるライティングの能力アップのために、Weblioでは貴校のレベルや用途に応じたライティングテストをご提供しております。専属の翻訳のプロによる採点、安価でスピーディに対応させていただきますので、ぜひお問い合わせください。

関連サイト

外国語教育 – 文部科学省
平成25年度「外部検定試験を活用した英語によるコミュニケーション能力・論理的思考力の検証に関する調査」報告書 – 文部科学省
CEFRと日本の英語教育:一考 – 大阪女学院大学
日本人の英語力はアジアの中でどれくらいか? – 長野県教育情報ネットワーク

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