高校生の英語力調査、「話す」能力は9割近くが目標未達成
文部科学省の「平成29年度 英語教育実施状況調査(高等学校)の結果」によると、高校3年生のうち、CEFR A2レベル(英検準2級相当)以上を取得している生徒の割合は39.3%でした。国が目標とする、CEFR A2レベル以上の生徒の割合50%以上には届かない結果となりました。
高校生の英語力を「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能ごとに見ると、CEFR A2レベル以上を達成している割合は、聞くことは33.6%、話すことは12.9%、読むことは33.5%、書くことは19.7%という結果でした。話すことについては9割近くの高校生が、国の目標値に達成していないことがわかりました。高校生の英語による話す能力の現状を見てみましょう。
目次
高校生の「話す」英語力は英検3級相当
下のグラフは、高校生の英語による「話す」英語力をCEFRにて示したものです。高校生の大半は、「話す」英語力がCEFR A1レベル(英検3級相当、中学校卒業程度)ということがわかります。国が目標としているCEFR A2レベル以上に達している高校生は8人に1人程度に留まっています。無得点者の割合が18.8% いたことも課題でしょう。
参照:平成29年度 英語力調査結果(高校3年生)の概要(文部科学省)
「話す」英語力の高い高校生ほど、英語が好きと回答
下のグラフは、「英語は好き?」の質問に対する回答を、「話す」英語力ごとに分けて示したものです。グラフを見ると、「話す」英語力が高い生徒ほど「そう思う」「どちらかといえば、そう思う」と回答しています。一方で、「話す」英語力がCEFR A1レベル相当の半数は「そう思わない」「どちらかといえば、そう思わない」と回答しています。
参照:平成29年度 英語力調査結果(高校3年生)の概要(文部科学省)
「話す」英語力の高い高校生ほど「英語を使って国際社会で活躍したい」と回答
「話す」英語力がCEFR B1レベル相当の高校生と、CEFR A1レベル相当の高校生とでは、「どの程度まで英語を身に付けたい?」という質問に対しても、回答に違いのあることがわかりました。
CEFR B1レベル相当の高校生は「英語を使って、国際社会で活躍できるようになりたい」が最も多く、CEFR A1レベル相当の高校生は「海外旅行などをするときに、英語で日常的な会話をし、コミュニケーションを楽しめるようになりたい」が最も多い結果でした。また、CEFR A1相当の高校生には「大学入試に対応できる力を付けたい」「特に学校の授業以外での利用を考えていない」の回答率の高いことがわかりました。
参照:平成29年度 英語力調査結果(高校3年生)の概要(文部科学省)
高校生の英語力アップには、ディベートやディスカッションを取り入れた授業も必要
英語による即興で話す活動
高校の英語授業における、「話す」活動に関するアンケート調査があります。まず、「即興で話す活動をしていた?」の質問については、CEFR B1レベル相当の生徒の3人に2人が「していた」と回答しています。一方で、CEFR A1レベル相当の生徒は3人に2人が「しなかった」と回答しています。オンライン英会話サービスなどを活用して、生徒の即興で話す機会を増やし英語力アップを図ってみるのもよいでしょう。
参照:平成29年度 英語力調査結果(高校3年生)の概要(文部科学省)
英語によるディベートやディスカッションの活動
「ディベートやディスカッションをしていた?」の質問についても、英語力の高い生徒ほど「していた」と回答しています。現行の学習指導要領では、英語を通じて、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成し、表現の方法を工夫しながら伝える能力を一層伸ばすことを目標として掲げています。授業では、対話やスピーチ、プレゼンテーションの他にディベートやディスカッションも行うとしています。英語授業にディベートやディスカッションを積極的に取り入れて、生徒の英語力アップを図りましょう。(参照:高校の英語授業におけるディベートの進め方まとめ)
参照:平成29年度 英語力調査結果(高校3年生)の概要(文部科学省)
英語によるスピーチやプレゼンテーションの活動
「スピーチやプレゼンテーションをしていた?」の質問では、CEFR B1レベル相当の生徒の7割が「していた」と回答しています。CEFR A1レベル相当の生徒も4割が「していた」と回答しています。
スピーチやプレゼンテーションは、新しい学習指導要領においては「話す(発表)」の領域において学ぶことになります。最近では、高校生を対象にしたスピーチコンテストやプレゼンコンテストも数多く開催されています。今まで以上に、英語による発信力が問われることになるでしょう。
参照:平成29年度 英語力調査結果(高校3年生)の概要(文部科学省)
高校では2か月に1回、「話す」英語力を測定するスピーキングテストを実施している
次のグラフは、高等学校の普通科におけるスピーキングテストの実施回数を時系列で表したものです。年々、スピーキングテストの回数が増えています。テストの内容は、スピーチやインタビュー(面接)、プレゼンテーションが多く、ディベートやディスカッションのテストはあまり実施されていないことがわかります。2017年度では、6.04回のスピーキングテストが実施されています。およそ2か月に1回のペースで行われていることになります。
参照:公立小学校・中学校及び高等学校における英語教育実施状況調査(文部科学省)
英語教育を主とする学科における、スピーキングテストの実施回数を示したのが下のグラフです。普通科の高校と比べると、テストの回数の多いことがわかります。ちなみに、英語教育を主とする学科では、CEFR A2レベル以上(英検準2級相当以上)の英語力を有している生徒の割合は93.4%です。
参照:公立小学校・中学校及び高等学校における英語教育実施状況調査(文部科学省)
スピーキングテストを実施することにより、生徒の「話す」英語力を知ることができます。生徒の英語力を把握できれば、今後の英語指導計画も立てやすくなるでしょう。
関連サイト
Change Maker Awards(高校生による探究、発信、実現のための英語プレゼンコンテスト) – 一般社団法人 英語4技能・探究学習推進協会
平成29年度「英語教育実施状況調査」の結果について – 文部科学省
平成29年度英語教育改善のための英語力調査事業報告 – 文部科学省
平成30年度英語教育改善プラン – 文部科学省
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