脳科学が解明、英語力のアップ・維持には継続した学習が効果的
人間の脳は、英語などの外国語学習によって柔軟に変化し再構築されることが国立精神・神経医療研究センターによって発見されました。国立精神・神経医療研究センターによれば、英語語彙学習プログラムに参加した日本人の脳構築の変化を計測したところ、学習を開始すると英語力がアップして脳の一部が発達していくことがわかりました。また、学習をストップすると英語力は開始前までの状態に戻り、脳の発達も開始前の状態まで戻ってしまったといいます。なお、プログラムに参加していた一部の人は自主的に英語の勉強をしており、これらの人の脳は衰退することなく発達した状態を保っていました。英語学習と脳の発達、衰退との関係から、英語力のアップ、維持には継続した学習が有効で、必要であることがわかります。
自閉スペクトラム症やADHD(注意欠如、多動性障がい)、知的障がいなどの発達障がいは脳の異常が原因であると一般的には考えられています。英語学習により発達する脳の部分と発達障がいに関係する脳の部分との関連性は解明されていませんが、もし解明されれば発達障がいを抱える人の未来は大きく変わることでしょう。
目次
英語を勉強すれば脳は発達する
下のグラフは、日本人の大学生24人に対して4か月間の英語語彙学習プログラムを実施した際の、脳の「右前頭葉44野の灰白質容積」(横軸)と「44野と尾状核の連結強度」(縦軸)の変化を表したものです。左側のグラフ(a)は、学習前と学習後の変化を表したもので、ほとんどのケースにおいて44野の灰白質容積が増えて、連結強度も増えていることがわかります。
脳の研究では、右利きの人の場合、左側の前頭葉と側頭葉の一部に言語機能を司る部分(言語野)があるといわれています。しかし、この調査でわかったことは、右側の脳にも変化が見られたことです。
右側のグラフ(b)は、英語語彙学習プログラム終了後の状態と1年経過した時の状態の変化を表したものです。灰白質容積が減少し、連結強度も減少していることが分かります。第1象限の3ケース(▲のマーク)は、プログラム終了後も自主的に英語の学習をしていた人です。
以上のことから、英語の勉強をすれば脳(「右前頭葉44野の灰白質容積」と「44野と尾状核の連結強度」)が発達し、ストップすれば元の状態に戻ってしまうことがわかります。
英語学習は「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能をバランスよく習得することが大切です。発達障がいを抱える人を迎える放課後等デイサービスは、バランスを崩さない療育が求められます。
語彙力の高い人は脳が発達している
下のグラフは、「右前頭葉44野の灰白質容積」および「44野と尾状核の連結強度」と英語語彙力との相関を表したものです。日本人の成人137人を対象にしています。左側のグラフは、右前頭葉44野の灰白質容積(縦軸)と英語語彙力(横軸)のグラフで、灰白質容積が多いほど英語語彙力が高いことがわかります。右側のグラフは、44野と尾状核の連結強度(縦軸)と英語語彙力(横軸)のグラフで、連結強度が強いほど英語語彙力が高いことがわかります。
関連サイト
外国語学習による脳の柔軟な変化を可視化 ~継続は力なりを脳画像で証明~ – 科学技術振興機構
英語力の個人差に関係する脳部位を特定 – 科学技術振興機構
学習障害(LD)児の教育 – 科学技術振興機構
e-ラーニングを核とする多様な学習困難に対応した地域単位の学習支援ネットワークの構築 – 社会技術研究開発センター
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