中学校英語のCAN-DOリスト、新・学習指導要領でどう変わる
中学校では、2021年度から新・学習指導要領が実施される予定です。新しい学習指導要領に基づいた英語教育では、「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能から、「読む」「聞く」「話す(やり取り)」「話す(発表)」の4技能5領域について、総合的に育成することを目標に掲げています。文部科学省は中学校に対して、生徒の英語力向上のために学習到達目標を「CAN-DOリスト」の形で設定し、活用することを提言しています。
新・学習指導要領に基づいたCAN-DOリストとはどのような内容なのか、詳しく見ていきましょう。
目次
CAN-DOリストとは
CAN-DOリストとは、英語を使って、実際にどのようなことができるようになるのか、その能力を「~できる」の形で記述したものです。文部科学省では、CAN-DOリストの達成評価を年間の中間と学年末に1回ずつ行うことが望ましいとしています。
新・学習指導要領は2021年度から導入されますが、2018年度から2020年度までの間は移行期間として、中学校の判断で新・学習指導要領を導入してもよいことになっています。ここでは、新・学習指導要領を導入して英語授業を行っている青森県のCAN-DOリストを紹介します。参照:青森県版「CAN-DOリスト」の形での学習到達目標(新学習指導要領対応) – 青森県教育委員会
中学校1年生のCAN-DOリストでは、身近な話題について理解したり、伝えたりできるような目標を設定する
中学校1年生用のCAN-DOリストでは、「はっきりと話されれば、50語程度の日常的な話題について、必要な情報を聞き取ることができる」、「関心のある事柄について、簡単な語句や文を用いて15~25語程度で書くことができる」のように、身近な話題について、理解したり伝えたりすることを中心に目標を設定します。
「聞くこと」のCAN-DOリスト
- はっきりと話されれば、50語程度の日常的な話題(天気予報、校内放送、交通情報など)について、必要な情報を聞き取ることができる。
- はっきりと話されれば、50語程度の日常的な話題(学校行事、自分の好きなことなど)について、概要を捉えることができる。
- はっきりと話されれば、50語程度の社会的な話題について、要点を捉えることができる。
「読むこと」のCAN-DOリスト
- 日常的な話題(広告、パンフレット、予定表、メールなど)について、簡単な語句や文で書かれた150語程度のものから必要な情報を読み取ることができる。
- 日常的な話題(学校紹介、諸外国の中学校生活など)について、簡単な語句や文で書かれた150語程度の文章の概要を捉えることができる。
- 社会的な話題について、簡単な語句や文で書かれた150語程度の文章の要点を捉えることができる。
「話すこと[やり取り]」のCAN-DOリスト
- 関心のある事柄について、簡単な語句や文を用いて、即興で伝え合うことができる。
- 日常的な話題について、自分の考え、気持ちなどを、簡単な語句や文を用いて伝えたり、相手からの質問に答えたりすることができる。
- 社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことについて、考えたことや感じたことを、簡単な語句や文を用いて2往復程度で述べ合うことができる。
「話すこと[発表]」のCAN-DOリスト
- 関心のある事柄について、教師のサポートがあれば、簡単な語句や文を用いて、メモやキーワードを頼りにしながら、即興で話すことができる。
- 日常的な話題について、事実や自分の考え、気持ちなどを、自分で作成したメモなどを活用しながら、簡単な語句や文を用いてまとまりのある内容で話すことができる。
- 社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことについて、自分で作成したメモなどを活用しながら、考えたことや感じたことを、簡単な語句や文を用いて2文程度で話すことができる。
「書くこと」のCAN-DOリスト
- 関心のある事柄について、簡単な語句や文を用いて15~25語程度で書くことができる。(辞書、補助教材、JTE、ALTなどの補助有り)
- 日常的な話題について、簡単な語句や文を用いてまとまりのある文章を15~25語程度で書くことができる。(辞書、補助教材、JTE、ALTなどの補助有り)
- 社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことについて、考えたことや感じたことを15~25語程度で書くことができる。(辞書、補助教材、JTE、ALTなどの補助有り)
※JETとは、日本人英語教師のことです。ALTとは、外国語指導助手のことです。
中学校2年生では、英語での会話を継続できる能力や、少し長い英文を書ける能力などをCAN-DOリストの目標に設定をする
中学校2年生用のCAN-DOリストでは、「日常的な話題について、相手からの質問に答えたりして、会話を継続させることができる」、「日常的な話題や社会的な話題に関して、考えたことや感じたこと、その理由などを25~35語程度で書くことができる」といった目標を設定します。
「聞くこと」のCAN-DOリスト
- はっきりと話されれば、70語程度の日常的な話題(天気予報、校内放送、交通情報など)について、必要な情報を聞き取ることができる。
- はっきりと話されれば、70語程度の日常的な話題(学校行事、自分の好きなことなど)について、概要を捉えることができる。
- はっきりと話されれば、70語程度の社会的な話題について、要点を捉えることができる。
「読むこと」のCAN-DOリスト
- 日常的な話題(広告、パンフレット、予定表、メールなど)について、簡単な語句や文で書かれた300語程度のものから必要な情報を読み取ることができる。
- 日常的な話題(学校紹介、諸外国の中学校生活など)について、簡単な語句や文で書かれた300語程度の文章の概要を捉えることができる。
- 社会的な話題について、簡単な語句や文で書かれた300語程度の文章の要点を捉えることができる。
「話すこと[やり取り]」のCAN-DOリスト
- 関心のある事柄について、簡単な語句や文を用いて、即興で会話を継続させることができる。
- 日常的な話題について、事実や自分の考え、気持ちなどを、簡単な語句や文を用いて伝えたり、相手からの質問に答えたりして、会話を継続させることができる。
- 社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことについて、考えたことや感じたこと、その理由などを、簡単な語句や文を用いて3往復程度で述べ合うことができる。
「話すこと[発表]」のCAN-DOリスト
- 関心のある事柄について、簡単な語句や文を用いて、メモやキーワードを頼りにしながら、即興で話すことができる。
- 日常的な話題について、事実や自分の考え、気持ちなどを、話の構成に気を付けながら、簡単な語句や文を用いてまとまりのある内容で話すことができる。
- 社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことについて、自分で作成したメモなどを活用しながら、考えたことや感じたこと、その理由などを、簡単な語句や文を用いて3文程度で話すことができる。
「書くこと」のCAN-DOリスト
- 関心のある事柄について、簡単な語句や文を用いて25~35語程度で正確に書くことができる。(JTEとALTの補助有り)
- 日常的な話題について、事実や自分の考え、気持ちなどを整理し、簡単な語句や文を用いてまとまりのある文章を25~35語程度で書くことができる。(JTEとALTの補助有り)
- 社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことについて、考えたことや感じたこと、その理由などを、簡単な語句や文を用いて25~35語程度で書くことができる。(JTEとALTの補助有り)
中学校3年生のCAN-DOリストでは、日常的な話題の他に、社会的な話題についても英語で発信できるように目標設定する
中学3年生では、社会的な問題などに関する情報の理解・発信を目標として設定します。「社会的な話題について、要点を捉えることができる」、「社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことについて、考えたことや感じたこと、その理由など35~45語程度で書くことができる」のように、ある程度の長さがある文章の理解、発信ができることを目標として設定します。
「聞くこと」のCAN-DOリスト
- はっきりと話されれば、90語程度の日常的な話題(天気予報、校内放送、交通情報など)について、必要な情報を聞き取ることができる。
- はっきりと話されれば、90語程度の日常的な話題(学校行事、自分の好きなことなど)について、概要を捉えることができる。
- はっきりと話されれば、90語程度の社会的な話題について、要点を捉えることができる。
「読むこと」のCAN-DOリスト
- 日常的な話題(広告、パンフレット、予定表、メールなど)について、簡単な語句や文で書かれた400語程度のものから必要な情報を読み取ることができる。
- 日常的な話題(学校紹介、諸外国の中学校生活など)について、簡単な語句や文で書かれた400語程度の文章の概要を捉えることができる。
- 社会的な話題について、簡単な語句や文で書かれた400語程度の文章の要点を捉えることができる。
「話すこと[やり取り]」のCAN-DOリスト
- 関心のある事柄について、簡単な語句や文を用いて、事実や意見、感情等を伝え合いながら、即興で会話を継続・発展させることができる。
- 日常的な話題について、事実や自分の考え、気持ちなどを、簡単な語句や文を用いて伝えたり、相手からの質問に答えたりして、会話を継続・発展させることができる。
- 社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことについて、考えたことや感じたこと、その理由などを、簡単な語句や文を用いて4往復程度で述べ合うことができる。
「話すこと[発表]」のCAN-DOリスト
- 関心のある事柄について、その場で考えを整理し、簡単な語句や文を用いて、即興で意見を言ったり説明したりすることができる。
- 日常的な話題について、事実や自分の考え、気持ちなどを整理し、聞き手の反応を確認しながら、簡単な語句や文を用いてまとまりのある内容を話すことができる。
- 社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことについて、自分で作成したメモなどを活用しながら、考えたことや感じたこと、その理由などを、簡単な語句や文を用いて4文程度で話すことができる。
「書くこと」のCAN-DOリスト
- 関心のある事柄について、簡単な語句や文を用いて35~45語程度で正確に書くことができる。(辞書、補助教材、JTE、ALTなどの補助無し)
- 日常的な話題について、事実や自分の考え、気持ちなどを整理し、簡単な語句や文を用いてまとまりのある文章を35~45語程度で書くことができる。(辞書、補助教材、JTE、ALTなどの補助無し)
- 社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことについて、考えたことや感じたこと、その理由などを、簡単な語句や文を用いて35~45語程度で書くことができる。(辞書、補助教材、JTE、ALTなどの補助無し)
関連サイト
新学習指導要領(本文、解説、資料等) – 文部科学省
新しい学習指導要領の考え方 – 文部科学省
今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~ – 文部科学省
平成26年度~29年度 外国語(英語)教育強化地域拠点事業 最終報告 – 文部科学省
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