韓国人の英語力が高い理由は早期英語教育にある
TOEICやTOEFLなどの英語力を測定するテストを開発しているETS(Educational Testing Service)によると、日本人のTOEICの平均スコアは517点(満点は990点)で韓国人は676点という結果でした。また、TOEFL iBTは、日本人 71点(満点は120点)に対して韓国人 84点で、いずれも日本人よりも韓国人の方が英語力の高いことがわかりました。
なぜ、韓国人の方が日本人よりも英語力が高いのか、日本と韓国の英語教育への取り組みについて比べてみました。
目次
韓国では小学校3年生から週2回の英語授業が始まる
下の表は、小学校と中学校の英語の授業時数を比較したものです。授業時数の合計は、日本 630時間に対して韓国 680時間と、50時間ほど韓国が多い結果となりました。
小学校においては、日本、韓国ともに英語授業の開始学年は同じですが、授業時数は韓国 340時間に対して日本は210時間と、130時間の差がついています。中学校の授業時数は、韓国 340時間に対して日本 420時間と、日本の方が多くなっています。
英語を母語としない国では、国家戦略の1つとして小学校段階における早期英語教育を実施していることがあります。例えば、タイは1996年、中国は2001年に英語を必修化しています。韓国も1997年に必修化しました。韓国では、日本よりも20年以上も早く、小学校3年生の段階で英語授業が始まっているのです。
ちなみに、韓国では幼稚園児や小学校1年生、2年生の児童を対象にした英語の課外授業を行っていましたが、英語教育の過熱などから、2018年3月以降中止されました。
参照:Issues and Implementation of the 2015 Revised Curriculum(KICE)
韓国における英語教育
韓国政府による英語教育の施策
韓国では、金泳三大統領(1993年~1998年)の諮問機関として組織された教育改革委員会によって、初等教育の改革が推進されました。英語教育については、教育課程(日本の学習指導要領)において「使える英語、実用的な英語の習得」を目的とする旨を明文化しました。また、英語学習の開始時期の低学年化を図り、1997年からは、小学校3年生で英語を必修教科としました。
「使える英語、実用的な英語の習得」は、具体的には詰め込み教育、暗記中心の教育からの脱却を意味しています。
家庭における子どもへの英語教育熱
韓国では、親の子どもに対する教育熱が高く、家計支出の12%以上を子どもの塾費用や家庭教師費用に充てていると言われています。中でも、英語の学習塾が人気で、韓国の小学生の半数以上は英語の学習塾に通っています。
習得する英語の語彙サイズ
下のグラフは、習得する語彙サイズを比較したものです。韓国では、小学校から高校までの間に約3000の語彙を習得します。日本の場合は、2019年の時点では3000ですが、2022年度からの高校新学習指導要領の導入により1800から3200に増え、合計5000に増加します。
参照:指導する語数の日中韓比較(文部科学省)
TOEIC、TOEFLのテスト結果は日本よりも韓国が上位
下のグラフは、TOEICとTOEFL iBTのスコアを比較したものです。TOEICについては、日本 517(リスニング 287、リーディング230)に対して、韓国は676(リスニング 369、リーディング 307)と、150点以上韓国の方が上回っています。TOEFL iBTについても、日本 71点に対して韓国 84点と韓国が上回っています。アジアにおける韓国人の英語力は比較的上位に位置しています。
参照:
TOEIC 2017 Report on Test Takers Worldwide(ETS)
TOEFL iBT Tests Test and Score Data(ETS)
関連サイト
英語教育関連資料 – 教育再生懇談会担当室
韓国の英語教育における格差とその対策 – 公益財団法人アジア成長研究所
「英語が使える日本人」の育成のための行動計画 – 文部科学省
小学校における英語教育の現状と課題 – 文部科学省
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