TOEICを受験する高校生がまず知っておくべきこと
TOEICは、日常生活やビジネスシーンで使う英語のコミュニケーション能力を測るためのテストです。TOEICのテストで取得したスコアは、英語力を客観的に示す数値として、企業では採用時の基準や昇進要件などに活用されています。また、学校では大学入試の出願要件や単位認定として活用されています。
TOEICは、2020年度からスタートする大学入学共通テストの対象試験の1つに認定され、高校生の、TOEICへの関心が高まっています。高校生にとってTOEICとはどんなテストなのか、見ていきましょう。
※2019年7月2日、IIBCより「「大学入試英語成績提供システム」へのTOEIC® Tests参加申込取り下げのお知らせ」が発表されました。本記事は、上記お知らせ発表前に作成したものです。内容のお取り扱いにはご注意ください。
目次
TOEICは年間248万人が受験している
TOEICは、Test of English for International Communicationの略で、アメリカ合衆国の非営利団体ETS(Educational Testing Service)が開発、制作しているテストです。日本においては一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)がテストの運営をしています。TOEICは、オフィスでの業務や日常生活において英語でどのくらいコミュニケーションが図れるかを評価するテストです。受験者は英語のレベルに関係なく全員が同じ問題を解き、得点によって評価を行います。
日本におけるTOEICの受験者数は、およそ248万人(2017年度)です。受験者層を見ると、社会人と学生が二分しています。また、学生のうち、8割以上を大学生と大学院生で占めています。中学生や高校生の受験者はあまり多くありません。
TOEICには4種類のテストがある
TOEICのテストは、「TOEIC Tests」と「TOEIC Bridge Test」に大別されます。TOEIC Testsには、英語の聞く力と読む力を測る「TOEIC Listening & Reading Test」、話す力と書く力を測る「TOEIC Speaking & Writing Tests」、話す力を測る「TOEIC Speaking Test」の3種類のテストがあります。一方、TOEIC Bridge Testには「TOEIC Bridge Test」のテスト1種類があります。
TOEIC Listening & Reading Test
TOEIC Listening & Reading Test(TOEIC L&R)は、マークシート形式のテストで、リスニング問題100問と、リーディング問題100問の合計200問が出題されます。テスト時間は、リスニング約45分、リーディング75分の合計約2時間です。スコアは、リスニングとリーディングそれぞれ5点~495点の範囲で、満点は990点です。
TOEIC Listening & Reading Testは、全国約80都市で実施され、主に大教室を持つ大学がテスト会場になることが多いようです。受験者はテスト会場を指定できませんが、受験者の居住地から近隣の会場が指定されます。テストは、2月と8月を除く毎月開催されます。受験料は5,725円です。
TOEIC Speaking & Writing Tests
TOEIC Speaking & Writing Tests(TOEIC S&W)は、テスト会場にてパソコンを使用して解答するタイプのテストです。スピーキングテストの問題数は11問で、テスト時間は約20分です。ライティングテストの問題数は8問で、テスト時間は約60分です。スコアは、それぞれ0点~200点の範囲で、満点は400点です。
TOEIC Speaking & Writing Testsは、東京や名古屋、大阪、福岡などの都市部で開催されます。テストは、年24回、日曜日の午前と午後に1回ずつ行われます。受験料は10,260円です。
TOEIC Speaking Testは、上記のスピーキングテストのみが行われます。1年間に48回実施され、受験料は6,804円です。
TOEIC Bridge Test
TOEIC Bridge Testは、TOEIC L&Rでは難易度が高いと感じる、英語初級者、中級者を対象にしたテストです。マークシート形式のテストで、リスニング問題50問と、リーディング問題50問の合計100問が出題されます。テスト時間は、リスニング約25分間、リーディング35分間の合計約1時間です。スコアは、リスニングとリーディングそれぞれ10点~90点の範囲で、満点は180点です。
TOEIC Bridge Testは、1年間に4回、全国13都市で開催されます。受験料は4,320円です。
TOEICと大学入学共通テスト
大学入学共通テストを受ける場合には、TOEIC listening & Reading TestとTOEIC Speaking & Writing Testsの2種類のテストを受ける必要があります。TOEIC Speaking TestやTOEIC Bridge Testは対象外なので注意が必要です。また、受験方法は、IPテストではなく公開テストでなければなりません。
大学入学共通テストを受験する高校3年生は、4月から12月までの間に2回の試験を受けることができます。大学入試センターには12月までにテスト結果を提出しなければならないので、10月までには受験しておきたいところです。
大学入試センターには、Listening、Reading、Speaking、Writingの各技能別のスコアとそれぞれのCEFR段階別成績、4技能の総合評価、CEFR評価などが提供されます。リスニングテストは、5点から満点の495点、リーディングテストは、5点から満点の495点、スピーキングテストは0点から満点の200点、 ライティングテストは0点から満点の200点で評価されます。4技能総合評価の算出には、スピーキングテストとライティングテストのスコアは2.5倍(0点~500点)に換算されます。4技能では1990点満点になります。
高校生の場合、4技能総合評価での目標スコアの目安は、CEFR A2以上に相当する625点~1145点です。英検では準2級~2級に相当するスコアです。
参照:各試験団体のデータによるCEFRとの対照表(文部科学省)
高校生のTOEICスコアは1133点
下のグラフは、高校生のTOEIC L&RのスコアとTOEIC S&Wの平均スコアの推移を示したものです。スピーキングとライティングについては、スコアを2.5倍にしています。
参照:参照:TOEIC Program DATA&ANALYSIS 2018
大学入試の出願要件としてTOEICを活用している大学の例
TOEICのスコアを入学試験の出願要件としている大学は、533校(2019年1月現在。短大106校含む)で、多くはTOEIC L&Rのスコアを出願要件としています。中には高いスコアを出願要件にしている大学もあります。
- 青山学院大学国際政治経済学部 L&R560点
- 学習院大学経済学部 L&R500点
- 国際基督教大学全学部 L&R800点
- 上智大学外国語学部 L&R780点
- 同志社大学グローバルコミュニケーション学部 L&R650点
- 大阪府立大学現代システム科学域 L&R600点
- 関西大学外国語学部 L&R520点
- 愛知県立大学外国語学部 L&R650点
- 北九州市立大学外国語学部 L&R640点
参照:TOEIC Tests 入学試験・単位認定における活用状況
関連サイト
TOEIC公式ホームページ – 一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会
TOEIC Speaking & Writing Tests – 一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会
英語4技能試験情報サイト – 英語4技能資格・検定試験懇談会
大学入学共通テスト – 独立行政法人大学入試センター
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