中国人の爆買いはまだまだ続く
観光庁の「訪日外国人消費動向調査」によれば、中国人観光客が日本で買物した金額は、2015年第2四半期で1人当たり18万6,366円だったのが、2016年第3四半期には10万1,469円と大幅に減少していることがわかりました。テレビや新聞でもこのニュースが取り上げられ、中には「中国人観光客の爆買いは終わった」と報道するマスコミも現れました。
しかし、中国人の爆買いは終わっていないことが訪日外国人消費動向調査から読み取ることができます。
中国人観光客の買物代は為替レートと相関関係にある
下のグラフは、中国人観光客が訪日の際に「買物代」として使った金額と、元/円(CNYJPY)の為替レートを重ねて表したものです。グラフを見ると、元高(円安)になるほど多く買物し、元安(円高)になるとあまり買物をしないことがわかります。(参照:「円安は外国人観光客にとってはメリット、そのワケは」)
元高とは、中国の使用通貨である「元」の価値が、他国の通貨よりも高くなっている状態を指します。例えば、買物の予算を1万元と決めている中国人観光客が、1元20円の時に買物をする場合と、1元15円の時に買物をする場合とでは、日本に落ちるお金は、前者では20万円、後者では15万円と差が出てくるのです。買物で使う金額が同じでも、元安になれば日本に入る金額は減ってしまいます。
出典:訪日外国人消費動向調査(観光庁)
※Q1は第1四半期(1月から3月)、Q2は第2四半期(4月から6月)、Q3は第3四半期(7月から9月)、Q4は第4四半期(10月から12月)を表しています。
買物代に充てている割合は変わっていない
下のグラフは、中国人観光客が訪日の際に使うお金の割合を費目別に分類したものです。買物代に充てている割合は、多少の変化はあるものの平均して36%を占めています。この数値は「爆買い」の語が流行した2015年でも変わっていません。
出典:訪日外国人消費動向調査(観光庁)
※各費目の内訳は次の通りです。
買物代:菓子類、その他食料品・飲料・酒・たばこ、カメラ・ビデオカメラ・時計、電気製品 (パソコン・音響機器など)、化粧品・医薬品・トイレタリー、医薬品・健康グッズ・トイレタリー、和服(着物)・民芸品、服(和服以外)・かばん・靴、マンガ・アニメ・キャラクター関連商品、書籍・絵葉書・CD・DVD、その他買物代など。
交通費:航空(日本国内移動)、Japan Rail Pass、鉄道・モノレール・スキーリフト、バス・タクシー、レンタカー、その他交通費など。
娯楽サービス費:現地ツアー・観光ガイド、ゴルフ場・テーマパーク、芸術鑑賞・スポーツ観戦、美術館・博物館・動物園・水族館、レンタル料 (スポーツ用品・自転車など)、その他娯楽サービス費など。
下のグラフは、中国人観光客の費目別の支出額を示したものです。元高から元安へ転換した2015年以降、買物代の減少が見られる一方で、宿泊料金や飲食費、交通費、娯楽サービス費などが僅かながら増加していることがわかります。
出典:訪日外国人消費動向調査(観光庁)
中国人観光客は最大のお客様
下のグラフは、中国人観光客と訪日外国人観光客全体の買物代の金額を比較したものです。全体の平均5万9,193円に対して中国人観光客は12万5,905円と2倍以上の買い物をしていることが分かります。中国からの観光客の増加が期待される中、中国人観光客は最大のお客様であるといっても過言ではないでしょう。小売業を展開する企業は、中国人観光客をはじめ外国人観光客に応対できるように英会話スキルをアップをするなど、サービスの充実を図りたいところです。
出典:訪日外国人消費動向調査(観光庁)
関連サイト
中国人の「爆買い」はいつまで続くのか? – 国土交通省
訪日中国人観光客向けの買物に関する注意喚起について – 観光庁
平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備事業 – 経済産業省