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「医療のインバウンド」到来で求められる病院の英語力

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日本政府は「日本再興戦略2016」において、高品質な日本式医療サービス・技術を国際展開する「医療のインバウンド」に取り組むことを発表しました。病院をはじめとする医療機関にとっては大きなビジネスチャンスです。しかし、外国人患者を受け入れる病院には、英語による応対や宗教や文化への配慮、専門組織の設置など新たな課題も出ています。

病院の最大の課題は「言語・会話」

下のグラフは、病院が、外国人患者の受け入れに際して抱えている課題を示したものです。ほとんどの病院が「言語・会話」を課題に挙げています。外国人患者と意思疎通を図り、適切な診療を行うためには英語などの外国語によるコミュニケーション力は必須であるということがわかります。次に、「医療通訳の提供体制」を挙げた病院が半数近くの44.6%でした。医療通訳とは、医師や看護師が通訳者を介して外国人患者とのコミュニケーションを図ることです。医療通訳の提供体制を整えるためには、病院は医療通訳者を雇用しなければならないため、その分の経費が発生することになります。

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出典:国内医療機関における外国人患者の受入状況(経済産業省)

 

外国人患者との会話は英語でOK

下のグラフは、外国人患者の国籍を比率で表したものです。半分近くが中国で、続いて韓国ロシアという結果になっています。外国人患者を受け入れる病院のスタッフは、中国語、韓国語、ロシア語などの会話力が必要かというと、そうではありません。TOEICテストを実施、運営している国際ビジネスコミュニケーション協会によれば、中国人のTOEIC平均スコアは716点、韓国人は632点、ロシア人は683点で、日本人の512点よりも高いという結果が出ています。そのため、英語での会話が成立します。ちなみに、TOEICで470点以上取得していれば、「日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる」、「通常会話であれば、要点を理解し、応答にも支障はない」というレベルに達しています。(参照:外国人観光客への応対にはTOEICは何点取ればよいか?

外国人患者を受け入れる病院のスタッフには、最低でもTOEIC470点以上の英語能力が必要であるといえます。また、医療に関する専門的な語彙力も必要です。

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出典:国内医療機関における外国人患者の受入状況(経済産業省)

 

病院の外国人患者の受け入れ状況

下の表は、外国人患者の受け入れ状況を一覧にしたものです。外来と入院では外来が85%で圧倒的に多く、「健康者に対する検査、健康診断・管理」が半数近くを占めています。日本の高い医療技術のもとで健康診断をしたいという外国人の多いことがわかります。

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出典:国内医療機関における外国人患者の受入状況(経済産業省)

 

下の表は、外国人患者の受け入れ状況を表したものです。外国人患者を受け入れた経験のある病院は57.9%で受け入れ経験のない病院数を上回っています。また、受け入れた経験のない病院でも、受け入れる意向のある病院は21.1%、検討中の病院は14.0%でした。ほとんどの病院が外国人患者の受け入れに前向きであることがわかります。

出典:国内医療機関における外国人患者の受入状況(経済産業省)

 

外国人患者を受け入れるためには、病院側で相応の部署、チームなどの専門組織を設置して体制を作る必要があります。専門組織を設置している病院は24.1%、設置を予定している病院は12.6%です。また、外国人患者を多く受け入れている病院では、46.7%が専門組織を設置しているという調査結果が出ています。

「医療のインバウンド」が進む中、病院には外国人患者を受け入れるための専門組織の設置やスタッフの英語力アップが求められています。

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出典:国内医療機関における外国人患者の受入状況(経済産業省)

 

関連サイト

医療の国際展開 – 厚生労働省
ヘルスケア産業(インバウンド情報) – 経済産業省
「医療機関における外国人患者の受入れ体制整備に向けてー緊急医療が必要になった訪日外国人患者にどのように対応していくのかー」 – 一般社団法人日本病院会
外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)について – 一般財団法人日本医療教育財団

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