英語のitを使った慣用構文を学ぶ
英語のitには、すでに述べられた物事、あるいはこれから述べる内容を「それ」として表現する働きがあります。これから述べる内容については、「ある内容に関して確信の度合いを述べる」状況と「ある内容に対して評価・判断を下す」状況の2つの状況に応じて使い分ける必要があります。
→Itを主語にする慣用構文
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「PEN英語教師塾」の動画を通じてitの慣用構文、慣用表現を理解し、状況に応じた正しい英語を習得しましょう。講師は、慶應義塾大学名誉教授・ココネ言語教育研究所所長の田中茂範先生です。動画の長さは約19分です。
目次
itを主語にする英語の慣用構文
itには、すでに述べられた物事あるいはこれから述べる内容を「それ」として表現する、という働きがあります。
What is that? It’s a kind of fruit.
それは何? それはフルーツの一種だよ
「それ(=これから述べる内容)は大切なことだ」と述べ、それに続いて「~することは」と表現することでitの内容を示すことができます。
It is important to remember this.
これを覚えることは大切なことだ
「ある内容に関して確信の度合いを述べる」itの慣用構文
確信の度合いを表す時に、話し手を全面に出して表現することがあります。
・I am certain (that) ~
・I’m sure ~
・I’m positive ~
itを使えば、話し手を全面に出さないで表現することができます。
It is certain that ~の慣用構文
certainは「客観的にみて確か」という意味があります。
It’s certain that the training program will be tough.
その研修プログラムはきついものになるのは間違いない
It is possible that ~の慣用構文
It is possible that ~は、「~ということは可能である(ありえる)」という意味合いがあり、「(現実的にそう高くないかもしれないが)ありえないということはない」といった程度の可能性を表現することができます。
It is possible that he has changed his political position.
It’s possible that you misunderstood what he said.
副詞を加えて表現することも可能です。
It is theoretically possible that ~
~ということは理論的には可能である
It is physically possible that ~
~ということは物理的には可能である
It is probable that ~の慣用構文
probableも、確信の度合いを表す時に用います。it is probable that~は、「~ということは多分にありそうだ」という意味合いがあります。ここでいう「多分」とは「十中八九」であり、possibleよりも可能性が高くなります。
It’s probable that the typhoon will hit the Kanto area this weekend.
今週末関東に台風が直撃しそうだ
it is probable that~よりもやや確率の下がる表現に、It is likely that~があります。
It is likely that he wins.
likelyでは、Iやheを主語にすることができます。
He is likely to win.
話し手の確信の度合いを主観的に表現するitの慣用構文
itを主語とした慣用構文でも確信の度合いを表現することができます。
It appears (to me) thatの慣用構文
It appears (to me) thatには、「(私には)~であるように思える、見える」という意味合いがあります。appearanceには、「外観、外見、容姿」といった「見た目」を表現する時に用いられ、「どうやら~のようだ」「見たところ~なのは明らかなようだ」といった表現もできます。
It appears that there was a miscommunication about the contract.
どうやら契約に誤解があったようだ
構文的には、appear to be~(~のように思われる)と表現することもできます。
She appears to be kind.
彼女は親切そうだね
It seems (to me) that ~の慣用構文
it seems (to me) that~は、「(話し手がさまざまな情報を総合して、主観的に)~のように思える」という意味があります。appearが「見た目」を重視するのに対して、seemは、見た目だけでないさまざまな情報を表現することができます。
It seems to me that we have plenty of time for discussion.
どうやら議論の時間はたっぷりありそうだ
it を省略して表現することもよくあります。
Seems to me he didn’t contact you yesterday.
どうやら君に連絡しなかったみたいだ
It looks like~の慣用構文
It looks like~には、「~みたいだね」「まるで~かのように見える」といった意味合いがあります。ちなみに、It looks like~では、It looks that~のような表現はしません。
It looks like you didn’t support her.
ということは、君、彼女のことを支持しなかったようだね
It looks like you are in love.
君、恋しているようだね
評価、判断を下すitの慣用構文
評価、判断を下すitの慣用構文とは、「それは必要だ(便利だ、自然なことだ、みっともないことだ)」と、何かあることに対して話者が評価や判断を下す構文のことです。
英語では、「It is +形容詞+(for A) to do」で表すことができます。
It is necessary (for A) to doの慣用構文
It is necessary (for A) to doは、「それは必要だ」という話し手の判断を示し、「それ(it)」の中身をto doで示す表現方法です。
It’s necessary (for me) to make sure they understand the procedure well.
彼らが手続きをちゃんと理解したかを確かめるのが私には必要です
It is necessary (for A) to doの慣用構文は、次のように応用して使うこともできます。
It is unnecessary to do
~する必要はない
It is absolutely necessary to do
~する必要が絶対にある
It does’t seem necessary to do
~する必要はないように思える
It is convenient for A to doの慣用構文
convenientには、「便利、使い勝手がよい、都合のよい、あつらえ向きの」という意味があり、It is convenient for A to doの慣用構文では、「~するのは便利だ、都合がよい」と表現します。
It will be convenient for you to meet the customer at the coffee shop.
そのコーヒーショップでお客さんと会うのが便利でしょう
inconvenientを使って、反対の意味を表すこともできます。
I’m sorry, but it is inconvenient for me to make the payment now.
すいません。今支払いをするのは都合がよくありません
It is natural (for A) to doの慣用構文
It is natural (for A) to doは、「~することは当然のことだ、当たり前なことだ、無理もないことだ」という意味を表します。
It is natural to worry about your children.
子供のことを心配するのは無理のないことだ
It is quite natural for youngsters to want excitement.
若者が興奮するものを求めていくことはごく当たり前のことだ
quite naturalを使うと強調した文になります。
It is embarrassing for A to doの慣用構文
embarrassingには、「気恥かしい、みっともない、バツが悪い」という意味があります。例えば、an embarrassing experienceは「バツが悪い(はずかしい)経験」という意味です。
It’s embarrassing to repeat, but~
こんなことは繰り返していうのもはばかられることですが~
It must be very embarrassing for her to answer those questions.
彼女にとってそういった質問に答えることはとても恥ずかしかったに違いない
It is embarrassing for everyone to be scolded in front of other people.
ほかの人の前で叱られることは誰にとってもバツが悪い
itを主語にする慣用構文ネットワーク
itを主語にする慣用構文は、「客観的に見ての確率」「話し手にとっての確率」「何かに対しての評価・判断を下す」の3つに分けることができます。
客観的に見ての確率を表す慣用構文
It is certain that ~
~は確実だ
It is probable that~
~は(多分に)ありそうだ
It is possible that~
(可能性として)~はありえる
話し手にとっての確率を表す慣用構文
It appears (to me) that~
~であるようにみえる
It looks like~
(見たところ)~であるようだ
It seems (to me) that
(総合的にみて)~のように思える
何かに対しての評価・判断を下す慣用構文
It is necessary [for A] to do
それは必要だ
It is convenient [for A] to do
~するのは便利だ、都合がよい
It is natural [for A] to do
~することは当然のことだ、当たり前なことだ、無理もないことだ
It is embarrassing [for A] to do
~するのは気恥かしい、みっともない、バツが悪い
itの慣用構文に形容詞を加える
itの慣用構文に、excitingやdisappointing、pleasant、surprising、rewarding、instructive、beneficial、boringといった形容詞を追加することができます。
itの慣用構文にはさまざまな表現方法があります。講師の田中先生は、itの慣用構文を生徒に覚えさせるための手段の1つに「連続文作成ゲーム」を挙げています。 連続文作成ゲームとは、いくつかの形容詞を用意しておき、生徒が形容詞などを使って英文を作っていくというものです。
例えば、exciting、disappointing、pleasantといった形容詞を用意しておき、生徒に「It is+形容詞」の英文を作らせていきます。
連続文作成ゲームの例
1人目:It is exciting to see an old friend.
2人目:It is disappointing to receive the bad results.
3人目:It is pleasant to sit under the tree.
4人目:…
itの慣用構文、慣用表現の理解度アップ、英語での表現力アップに役立ててください。
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