英語の自動詞と他動詞の見分け方
英語の動詞には、自動詞と他動詞の2つのタイプの動詞があります。自動詞は目的語を取らない動詞で、他動詞は目的語を取る動詞です。動詞自体に自動詞と他動詞があるというわけではありません。自動詞なのか他動詞なのかは、目的語があるかないかで見分けることができます。
→動詞のタイプ:他動詞・自動詞など
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今回は、「PEN英語教師塾」の動画講義から自動詞と他動詞の見分け方や違い、働きなどについて解説します。動詞への理解を深めて、英語力アップを図りましょう。講師を務めるのは、慶應義塾大学名誉教授・ココネ言語教育研究所所長の田中茂範先生です。動画の長さは約40分です。
目次
英語の動詞とは
動詞には自動詞(intransitive verb)と他動詞(transitive verb)があります。自動詞は目的語を取らない動詞、他動詞は目的語を取る動詞です。例えば、breakの場合、自動詞になることもあれば、他動詞になることもあります。
自動詞(brokeには目的語がない)
His voice broke at the age of 12.
彼は12歳で声変わりがした
他動詞(promisesがbreakの目的語になっている)
You shouldn’t break your promises.
約束は破ってはだめだ
他動詞の場合、「他」という言葉がついているように「他への直接的なはたらきかけ(作用・影響が他のものに及ぶ)」という意味合いがあります。「動詞+α」の、αの部分が目的語になります。
同じ他動詞でも、作用する対象に働く力(作用性)の強弱があります。次の例文では、pullという動作の直接作用する対象がthe cordとなって、作用性が強くなります。
Be sure to pull the cord.
ひもをしっかりと引っ張るようにしなさい
次の例文は、形の上ではresembleの目的語がyour motherとなっていますが、your motherに対して何か作用を及ぼすことはなく、作用性は弱くなります。
You resemble your mother.
君は、お母さんに似ているね
自動詞の持つ対象への作用性
対象への作用性は他動詞だけでなく、自動詞の場合でも見られます。
push against the door
the doorとpushの間にはagainstという前置詞があります。「ドアの抵抗に逆らって(against the door) 押す力を込める(push)」というイメージです。
chew on a pencil
鉛筆をかじる(鉛筆に作用が及ぶ)
Some kids chew on their clothes.
服をかじる癖がある子ども(服に作用が及ぶ)
chew on an apple
リンゴをかじる(表面をかじる)
bite into an apple
リンゴをかじる(がぶりと思い切りかじる)
日本語と英語での違い
英語では、「他動詞+目的語」のように、他動詞の後に目的語をとります。日本語では「名詞+を+動詞」です。
She made a pie.
彼女はパイを作った
knock on the door
ドアをたたく
fly in the air
空を飛ぶ
graduate from college
大学 を卒業する
get off the bus
バスを降りる
作用性が弱い場合は、「名詞+ に[と]」で表現できます。
A resembles B
AはBに似ている
A meets B
Bと会う
A marries B
Bと結婚する
approach the destination
目的地に近づく
enter the room
部屋に入る
動詞の作用性が弱い場合は、「を」ではなく「に(と)」を用います。
自動詞や他動詞に縛られない動作動詞と状態動詞
動詞は、動作動詞と状態動詞というタイプに分けることもできます。動作動詞は、簡単にいうと動作のある動詞です。
動作動詞の例
移動を表す動詞:come, go, enter, fall, turn, jump, fly, swim
獲得を表す動詞:take, catch, get, obtain
加圧・牽引を表す動詞:push, press, drag, pull, draw
動作が感じられない動詞を、状態動詞と言います。
状態動詞の例
存在や関係を表す動詞:be, belong to, contain, live, stand, resemble
心のはたらきを表す動詞:love, think, remember, doubt, agree
知覚・感覚を表す動詞:hear, see, smell, find, feel, taste
動作動詞では進行形にできるが、状態動詞では進行形にできない
英語の進行形は、動作動詞では進行形にすることができますが、状態動詞では進行形にすることができません。
She resembles a friend of mine.
彼女は僕の友人に似ている
resembleは、直接に目的語をとるため他動詞ですが、「似ている」というのは動作とは関係ないので状態動詞に分類されます。
This box contains 30 apples.
この箱には30個のリンゴがある
containも状態動詞です。進行形にすることはできません。しかし、状態動詞でも進行形が可能になる場合もあります。それは「だんだんある状態になってくる」という状態変化のある場合です。
She is resembling her mother more and more.
少しずつ似てきている
I’m loving it.
だんだん好きになる
I’m forgetting people’s names.
だんだん覚えられなくなっている
get、become、growは、状態変化を表すのに進行形と相性のよい動詞だと言えます。
The days are getting longer.
昼間が日増しに長くなってきている
They’re becoming more friendly.
彼らはさらに親しくなっている
Our company is growing fast.
我が社は急成長している
英語の動詞を受動態で表現する
目的語を必要とする他動詞の場合、受動態で表現することができます。例えば、The horse kicked John.は、John was kicked by the horse. のように受動態で表現できます。しかし、She resembles a friend of mine.の場合は、受動態にすることはできません。
「自動詞+前置詞句」で受動態表現が可能な例
自動詞の場合は、「自動詞+前置詞句」で受動態表現が可能です。
・speak to~ ~に話しかける
・look up to~ ~を尊敬する
・look down on~ ~を軽蔑する
・A little girl spoke to me.
I was spoken to by a little girl.
・Most Italians looked up to Leonardo da Vinci as a “universal genius.”
Leonardo da Vinci was looked up to by most Italians as a “universal genius.”
・The neighbors looked down on him because he lost everything gambling.
He was looked down on by the neighbors because he lost everything gambling.
ちなみに、arrive at~は、場所への到達だと対象への作用性はありませんが、「結論に達する」という場合は、対象への作用性があります。
We arrived at the airport.
空港に到着した
「空港」は、何ら主体の影響を受けないため受動態にできません。
We arrived at the final conclusion after a long talk.
長い協議の末、最終結論が得られた
The final conclusion was arrived at after a long talk.
「結論」というものは協議者が努力して得るものであり、作用性があるので受動態にできます。
英語の動詞の原形
動詞の原形は、例えばbe動詞の場合はbeが原形です。また、haveはhaveが原形、doはdoが原形です。原形の他にも、動詞には現在形、過去形、現在分詞形、過去分詞形といくつかの形があります。
原形 | 現在形 | 過去形 | 現在分詞形 | 過去分詞形 |
be | is,am,are | was,were | being | been |
have | have,has | had | having | had |
do | do,does | did | doing | done |
動詞の原形は、命令文で使われます。
Be a nice boy.
いい子でいてね
Get out.
出て行け
Cheer up.
元気を出して
動詞の原形は、テンス(時制)もアスペクトもなく、時間的に中立的です。動作の場合は、「未遂行の状態(いまだ遂行されていない状況)」が前提であるため、原形の意味を考えるにあたっては、あることが遂行されていないということがポイントになります。行為が遂行されていないという状況が前提となるため、原形による命令文が可能となるわけです。
命令文を含めて、動詞の原形は次のような場面で使います。
(1) 命令文の場合
Get out.
出て行け
Be a nice boy.
いい子でいるのよ
(2) 助動詞に続く動詞の場合
You must apologize.
君は謝らなければならない
(3) to不定詞(to do)の動詞の場合
To be, or not to be. That is the question.
生きるべきか死すべきか。それが問題だ
(4) 原形不定詞の動詞の場合
I heard him sing a Chinese song.
私は彼が中国の歌を歌うのを聞いた
(5) 仮定法現在の動詞の場合
We demand that every child follow the school rules.
生徒は全員、校則に従うことを要請する(命令法の一種と解釈することができる)
英語の動詞の分詞形
英語の動詞は、分詞として使われることがあります。動詞の分詞形は、動詞的な部分と形容詞的な部分を併せ持つという特徴を持ちます。現在分詞と過去分詞の2つがあります。
現在分詞の動詞的な部分は、「何かをしている」ということを表し、形容詞的な部分が状態を表すことから「何かをしている状態」が表されています。
過去分詞は、動詞的な部分は「何かがなされた(何かをし終えた)」ということで、形容詞的な部分と併せると「何かがなされた(何かをし終えた)状態」を表します。形容詞的な部分動詞的な部分の両方を持っていることから分詞は形容詞としての働きをすることもありますし、受け身や進行形、完了形になることもあります。
時間的に中立な立場にある英語の分詞
分詞(participle)は、「分かれた詞」と書きます。何から分かれているのでしょうか。結論からいうと「be」から分かれた言葉なのです。
・be/doing → doing
〜している
・be done → done
~された
現在分詞は現在、過去分詞は過去に言及しているというイメージがあるかもしれませんが、この2つの分詞にはテンスがないため時間的には中立です(現在、過去に限定されない)。
英語で現在分詞を使う状況
・進行形
John is running in the rain.
ジョンは雨の中を走っている
・名詞の前置修飾
I’m sick and tired of the running fight between management and the union.
経営側と組合側の絶え間ない戦いはもううんざりだ
・名詞の後置修飾
The woman sitting at the desk covered with papers is my wife.
書類でいっぱいのデスクに座っている女性が妻だ
・分詞構文
Running in the rain, I bumped into an old friend of mine.
雨の中を走っていて、旧友に出くわした
・「動詞+名詞+doing」の構文
I saw my wife walking across the road with a young man.
僕は妻が若い男と道路を横切っているのを見た
英語で過去分詞を使う状況
過去分詞を使う状況は以下のとおりです。
・限定用法前置(形容詞的用法の1つ)
excited audience
興奮した観客
・限定用法後置(形容詞的用法の1つ)
the temple burnt by Nobunaga
信長によって焼かれた寺院
・叙述方法(形容詞的用法の1つ)
John is interested in beetles.
ジョンはカブトムシに興味がある
・分詞構文
Served with ginger and soy sauce, this natto becomes more tasty.
ジンジャーと醤油が添えられることによってこの納豆はもっと美味しくなる
・受動態
The new computer was broken by Mary.
新しいコンピューターはメアリーによって壊された
・完了形
Mary has done her job.
メアリーは自分の仕事をし終えたところだ
She has her job done.とも言える
・動詞+名詞+done
I kept the door closed.
ドアを閉めたままにした
分詞形は、現在分詞や過去分詞として使われますが、両者ともに時間的にはニュートラルであるということがポイントです。
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