英語比較構文講座第1回・類似の比較構文の世界を掘り下げる
英語の比較構文を習得するには、比較対象のどこが似ているのか、あるいはどの程度似ているのかといったことを把握して、正しい動詞や形容詞、前置詞、副詞などを用いて表現する力が求められます。
→比較構文1
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今回は、「PEN英語教師塾」の比較構文講義の1回目として、英語の「類似の比較構文」の動画を紹介します。動画講師は、慶應義塾大学名誉教授・ココネ言語教育研究所所長の田中茂範先生です。動画の視聴時間は24分弱です。
目次
英語の比較構文の基本は「類似または相違」
比較構文の基本は、「類似または相違(似ている/違っている)」にあると言えます。比較のうち、「類似」の要素は一般化、「相違」の要素は差異化と結びつき、ものごとをカテゴリー化する原理として働きます。
比較構文の1つの大きなジャンルとしてas〜as構文(同一・同種の比較構文)があり、生徒への比較構文指導もas〜as構文から始めることが多いようです。しかし、比較構文の基本は「類似または相違」にあるため、生徒に比較構文の指導をする際には、類似・相違を表す比較構文から入っていくことが薦められます。
類似の比較構文の基本
「何かが似ている」という場合の比較構文で使う基本の語は、以下の通りです。
- 動詞:resemble
- 形容詞:similar, alike
- 前置詞:like, look like
「娘さんはあなたに似ているね」と言いたい場合、例えば以下のような表現方法があります。
- Your daughter resembles you.
- You and your daughter are alike.
- Your daughter looks just like you.
類似の比較構文のニュアンス表現方法
類似の比較構文にニュアンスを加える方法や、構文をすっきりまとめる方法にはさまざまなものがあります。
「〜において類似/相違」を英語で表す時は前置詞inをプラス
「〜において類似/相違している」という時の類似点、相違点を表す場合には前置詞inを使います。使い方は以下のようになります。
A is similar to B(AはBに似ている)
A is different from B(AはBと違っている)
in
shape / color / size / structure / form / detail / the way it functions / behaves /appears
類似/相違の程度を表す場合は副詞をプラス
何かと何かが類似/相違している程度(とても、非常に、どこかしら、少し など)を表す場合には副詞を加えます。
- very (とても)
- completely (完璧に)
- somewhat (どこかしら)
- a little (少し)
副詞の追加、inの追加の用例としては以下のようなものが挙げられます。
My idea is completely different from yours in the way of explaining the mechanism of climate change.
僕の考えは、気候変動のメカニズムの説明の仕方が君のとはまったく異なる
英語の類似/相違の形容詞の名詞形はThere is 構文で
類似/相違している点が複数ある場合や複雑なことに言及したい場合などは、「類似している」という形容詞を「類似点」という名詞、「相違している」という形容詞を「相違点」という名詞に変え、There is 構文で表現するとすっきりまとまります。
複数の類似/相違点がある場合の構文
There are similarities / differences between A and B
程度なども説明して複雑な類似/相違点を表したい場合の構文
There is a + 形容詞 + similarity / a + 形容詞 + difference
複雑な類似/相違点を表す場合の文例
There is a statistically significant difference [a striking similarity] between group A and group B in terms of the scores on the pronunciation test.
グループAとBの間には、発音テストの点数に関して統計的に有意な差 [顕著な類似点] がある
like と alike の違いと使い方
likeは、「…のような/…に似た」という意味の前置詞です。一方alikeは、「複数のものが互いによく似ている、同様である」という意味の形容詞です。
like とalikeは一見すると同じような語に見え、使い方を混同しやすいので注意が必要です。likeは後ろに名詞(似ている対象)を必要としますが、alike の場合は似ている複数のもの双方が主語となります。like と alikeの構文を簡潔に表すと以下のようになります。
正しい構文の例
- ◯ A is like B. (AはBに似ている)
- ◯ A and B are alike. (AとBは似ている)
- ◯ A looks like B. (Aは見た目がBに似ている)
- ◯ A and B look alike. (AとBは見た目が似ている)
誤った構文の例
- ✕ A is alike B.
- ✕ A and B are like.
- ✕ A looks alike B.
- ✕ A and B look like.
用例には、以下のようなものが挙げられます。
He is just like my brother.
彼は僕の兄貴みたいだ
They are alike both in looks and in personality.
彼らは見た目も性格も似ている
My two daughters are not alike.
私のふたりの娘は似ていない
さまざまな類似の英語の比較構文
類似の比較構文にはいろいろなものがあり、幅広い事象を言い表すことができます。
同一・同種の比較構文
何かと何かを比較して、似ているというより「同じ」である場合には、A is the same as B という構文を使います。同一物であるか、同種物であるかは状況的に判断します。
That’s the same story (as the one) you told me last week. 【同一物】
Well, your parents are the same as mine. 【同種物】
as〜as(同等比較)の比較構文
人やモノの特徴について「同じぐらい〜だ」と表現したい場合、as〜as という比較構文を使います。「同等比較(comparison of equality)」という手法です。多様な用例があるので、しっかり押さえておくことが薦められます。
A is/does as〜as B
AはBと同じぐらい〜だ(同じぐらい〜に…する)
as〜asの正しいニュアンスは「少なくとも同等には〜」
as〜asの示す同等比較のニュアンスは、「同じ」ではないことに注意が必要です。as〜asの厳密なニュアンスは、「少なくとも同等には〜だ」というものです。「同じかそれ以上に〜だ」という解釈もできるということです。
Jack is as rich as Jill.
ジャックはジルと同じくらいお金持ちだ
この例文の意味合いを厳密に見てみると「ジャックはジルと少なくとも同等には金持ちだ」ということなので、「ジャックがジル以上に金持ち」という解釈もできます。
英語の同等比較における形容詞・副詞の原級の使い方
同等比較構文においては、形容詞や副詞のそのままの形である原級(plain form)がよく使われます。比較構文だからといってすべてに比較級(faster, better, more richなど)が使われるわけではないので注意が必要です。
Jack is as rich as Jill.
Jack runs as fast as Jill.
Jack speaks Japanese as well as Jill.
同等比較の否定形(同じくらい〜ではない)
「AはBと同じくらい〜ではない」と、同等性を否定する場合には not as/so〜as という比較構文を使います。
Jack is not as [so] happy as Jill.
ジャックはジルと同じぐらい幸せではない
Jack does not run as [so] fast as Jill.
ジャックはジルほど速く走れない
almost as 〜 as(ほとんど同じくらいに〜)
「ほとんど同じくらいに〜だ」は、 almost as 〜 as という比較構文で表現します。
And 17 years later I did go to college. But I naively chose a college that was almost as expensive as Stanford, and all of my working-class parents’ savings were being spent on my college tuition.
そして17年後に僕は大学に行った。しかし、スタンフォード大とほとんど同じぐらい(授業料が)高い大学 をなんとなく選んでしまった。で、労働階級の両親の貯金のすべてが僕の大学の学費に使われるという状態だった
― Steve Jobs, Commencement Speech at Stanford, 2005
as many/much 名詞 as(同じぐらいの数量)
数量に関心を置いて、「同じぐらいの数量」と言いたい場合は as many/much + 名詞 + as という比較構文を使います。
Jack has as much money as Jill.
ジャックはジルと同じぐらいのお金を持っている
Jack has as many apples as Jill.
ジャックはジルと同じぐらいの数のリンゴを持っている
X times as 〜 as(X倍ぐらい〜の)
倍数を使って、「〜の2倍の」「〜の3倍の」ということを表現する場合には、 twice (two times), three times, four times などを使います。
Jack has twice [three / four times] as much money as Jill.
Jack has twice [three / four times] as many apples as Jill.
同等比較の慣用構文いろいろ
同等比較の慣用構文は多様な展開を見せています。やや意味が捉えづらいものもあるので、一度確認しておくことが必要です。
as〜as possible (できるだけ〜)
Please process my application as soon as possible.
できるだけ早く私の応募書類を審査してください
Draw a picture as elegantly as possible.
できるだけ素敵に絵を描いてください
I’ll stay with you for as long as possible.
できるだけ長いあいだ君と一緒にいるよ
as〜as can be (この上なく〜)
He is just as obnoxious as can be.
彼はこの上なくイヤなやつだ
Forget it. That’s as crazy as can be.
そんなこと忘れてしまえ。それほどバカげていることはないんだから
as〜as ever (相変わらず〜)
No matter how much he drinks, he seems as sober as ever.
彼はどんなに飲もうと、相変わらずしらふのままに見える
as many/much as〜 (〜もの・ほど多くの 数/量)
There are as many as a dozen different reasons she should leave him.
彼女が彼のもとを去らなければならない理由は1ダースもある
He is known to bet as much as a million yen at a time.
彼は一度に百万円もの金を賭けることで知られている
She drinks as much as a quart of milk after her bath every night.
彼女、毎晩、風呂に入った後で、1クオートも牛乳を飲むんだ
unlike(〜らしくない、〜と違って)の比較構文
類似性を否定し、「〜のようでない」を表現するのはunlikeという前置詞です。unlikeには、前置詞的に働く場合と形容詞的に働く場合があります。
It’s unlike you to make a simple mistake like that.
あんな簡単なミスをするとは君らしくない
The twins are unlike in character.
その双子は性格が似ていない
関連サイト
英語比較構文講座第2回・比較級の世界を掘り下げる – weblio英会話
英語比較構文講座第3回・最上級の使い方を知る – weblio英会話
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