大学入試の英語試験での英作文問題対策まとめ
大学入試で出題される英作文問題は、大きく分けて和文英訳と自由英作文の2つに分けられます。和文英訳問題は、日本語で書かれた文を正しく英語で書く能力が問われます。自由英作文問題では、あるテーマについて自分の考えを適切な語彙を用いて英語で述べる能力が問われます。
生徒が英作文問題で良い点数を取るためには、塾の先生はどのような点に注意して指導していけばよいでしょうか。
目次
英単語や英語表現を覚える
語彙力をアップする
日本英語検定協会の「大学入試英作文の語彙分析」によると、大学入試で出題される英作文問題では、高校生が使いこなす単語の種類よりも多くの種類の単語を使いこなす能力が要求される、ということが報告されています。
高校の授業で習う英単語だけでなく、大学入試の英作文問題で出題されるような英単語や表現も指導することが勧められます。日本語でなら高度な意見を述べる力のある高校生も、大学入試の英作文問題に出てきた単語の意味がわからなかったり、英語での言い換え方法を知らなかったりすれば、力を発揮することは難しくなります。大学入試の英作文問題で頻出のテーマや、設問でよく用いられる英単語、イディオムなどを中心に、しっかり頭に入れさせることが大事です。例えば、人権や医療のテーマでのwill(意志、遺言書)やright(権利)、環境関連のテーマでのpollution(汚染)やdisruption(破壊)、国際・文化テーマでのmultiple(多様な)やdiversity(多様性)といった英語が挙げられます。
生徒の目指す大学のレベルに合わせて、「基本レベル」の認識を少し変えて指導にあたるのも1つのやり方でしょう。例えば、willと聞いた時に助動詞のwillだけでなく名詞のwillの用法がパッと複数出てくる程度の語彙力は、中堅大学志望までの生徒対象であれば、やや高レベルに位置させても良いでしょうが、難関大学志望の生徒対象では基本レベルとして指導するのが良いでしょう。
文法や熟語を覚える
大学入試の英作文問題のうち、和文英訳問題では、特定の文法や熟語の知識を確認しようとしている場合が多くあります。例えば、「帰宅途中に花が咲いているのを見つけた」という文では、「~の途中に」を表す on my wayを知っているかどうかを確認しています。また、「できるだけ早く仕上げて」の文では、as soon as possibleの語彙力を確認しています。
大学入試の英作文問題では、基本的な文法事項のミスがあると減点されることがあります。内容や意見をしっかり書くことは大事ですが、時制の一致や単数・複数表現の一致、冠詞や前置詞の使い分け、5文型がきちんと成り立っているかなどの基本事項もしっかり書けるように指導するとよいでしょう。
テーマに沿った言い回しを覚える
自由英作文問題では、特定のテーマに関する語彙や表現を学ばせる必要があります。例えば、「外国人に対して日本の誇れる文化を説明して下さい」といった問題では、日本文化に関する言葉の英訳を知っておく必要があります。custom(しきたり、習慣)、habit(癖、習慣)、capital city(首都)、population(人口)、characters(文字)、national costume(民族衣装)、these days(最近)、shrine(神社)、temple(寺院)、raw fish(生魚)、soybean(大豆)、ferment/brew(発酵させる)、World Heritage(世界遺産)、staple food(主食)など、高校の英語の授業で習わないような語彙も塾の講義では触れておくことが大切です。
難関大学の入試の英作文問題では、「安楽死の是非について論じなさい」といった、本格的な論述を要求する問題も出題されます。例えば、euthanasia(安楽死)のテーマでは、安楽死関連で出てきそうな医療や人権の分野の単語や言い回しをまとめて頭に入れておく必要があります。
- euthanasia(安楽死)
- free will(自由意志)
- death with dignity(尊厳死)
- incurable disease(不治の病)
- die of cancer(がんで死ぬ)
- dementia(認知症)
- commit suicide(自殺する)
- hopeless(望みがない)
- suffer from〜(〜で苦しむ)
- will(意志、遺言書)
このように、関連語をネットワークでつないだものを「語彙ネットワーク」と呼びます。生徒に、頻出テーマや本人の興味のあるテーマごとの語彙ネットワークをまとめたカードを作らせるのは有効な指導法の1つだと言えるでしょう。
※参照:英語の語彙力がアップする「語彙ネットワーク」とは?(学習塾向けオンライン英会話 weblio英会話)
英作文問題の中には、解答するテーマを複数から選択できるタイプの問題があります。生徒には、さまざまなテーマの問題に触れさせておくことが大切です。
テーマの例
- 医療と健康
- 環境
- 国際・文化
- 労働
- 人権
- 性的マイノリティ
- 高齢化
- 個人的なこと(夢、性格、尊敬する人など)
- 教育
- テクノロジー
- 言語
- オリンピック
- 手紙文
- 状況説明
過去問題集で量をこなす
英単語や英語表現の大まかなインプットをした後は、大学入試で実際に出題された英作文問題を数多くこなしていきます。過去問題演習にはいくつかのメリットがあります。
英作文問題の出題形式や問われ方を知ることができる
志望大学の過去問演習をこなすことによって、志望大学の出題形式を知ることができます。大学によって英作文問題の出題形式や問われ方は異なります。あらかじめ出題形式や問われ方に慣れておくことで、うろたえずに本番に臨むことができます。
和文英訳問題の場合、長文の中の一部を英訳する問題もあれば、単に提示された日本語を英訳する問題もあります。また、自由英作文の場合、同じテーマでも問われ方が違う場合があります。例えば、同性婚がテーマの場合、大学によって切り口が異なってくるのです。志望大学がどのような切り口で出題してくるのかを把握しておくことが大切です。
同性婚に関する問題例
- 同性婚についてどう思うか書きなさい
- 同性婚はすべての国で許可すべきである→ この意見に賛成か反対か書きなさい
- 同性婚はすべての国で許可すべきである→ この意見が正しい理由を書きなさい
大学によっては、出題形式が突然変わる場合もありますが、しっかり過去問演習をやり込んでいれば、落ち着いて対応できる割合が上がります。問題をこなす中で、大学ごとの傾向や出題意図が掴めてくるからです。志望大学と、おおよそ同レベルの他大学の過去問にも触れさせておくのもよいでしょう。
時間配分の仕方を身に付けられる
過去問演習を、実際の制限時間内でタイマーをかけて取り組むことで、大学入試本番での時間配分のコツを掴むことができます。大学入試で高得点を取るには、英作文問題だけでなく、選択問題や穴埋め記述問題など、全ての問題に余裕を持って取り組める時間配分で解き進めることが大事です。生徒には、過去問を本番通りの制限時間内で解かせて、時間配分の仕方を身に付けさせましょう。
英作文を添削してもらう
第三者が英作文を添削することで、生徒本人では気づかなかったミスやクセを明らかにすることができます。友達や保護者が添削するのも良いですが、その場合、添削内容のレベルや客観性に少し不安があります。また、塾の先生が添削するのも良いですが、多忙な先生にとって、多数の生徒の英作文を丁寧に添削することは負担が大きく感じられる場合もあります。そのような場合は、英作文添削サービスを導入するのは1つの良い方法です。
最近では、料金が安価で塾でも導入しやすい添削サービスがあります。その中で、翻訳のプロが添削してくれるサービスがお薦めです。大学入試とほとんど同じ採点基準で、客観的な採点がなされるので安心ですし、生徒は本番さながらの緊張感をもって解答に臨むことができます。単に解答を採点するだけではなく、生徒が間違いやすい点や誤答の癖を指摘してくれる英作文添削サービスも多くあります。こうした翻訳のプロによる解説つきの英作文添削サービスを使った学習は、弱点の効率的な克服にもつながるでしょう。
関連サイト
大学入試英作文の語彙分析 – 公益財団法人 日本英語検定協会
国立大学の入試 – 国立大学協会
英作文の練習に使える便利なWeb上のサービスまとめ – 学校向けオンライン英会話 weblio英会話
今どき高校生の英語力の最大の「弱点」は「書くのが苦手」 – 学校向けオンライン英会話 weblio英会話
平成29年前期入試・英語 – 神戸大学
平成29年度前期入試・英語 – 早稲田大学政治経済学部