英語4技能、中学生は聞く・読むが苦手、高校生は話す・書くが苦手
文部科学省では、中学生と高校生の英語力について、中学校卒業段階で英検3級程度以上(CEFR A1以上)、高等学校卒業段階で英検準2級程度以上(CEFR A2以上)を達成した中高校生の割合を50%以上にするという目標を掲げています。
文部科学省が2018年4月に公表した「平成29年度英語力調査結果(中学3年生・高校3年生)の概要」によれば、中学生と高校生の英語力は、目標の数値には達していなかったことが判りました。中学生と高校生の英語力を「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能別で見ても、全ての技能で目標値に達していません。中でも、「聞く」「話す」といった、英語でのコミュニケーション能力に課題のあることが判りました。
中学生と高校生の英語力はどのような状況にあるのか見ていきましょう。
目次
中学校3年生の英語力は「聞く」「読む」のインプットする技能に課題がある
中学校3年生の中で、CEFR A1上位レベル以上を取得している生徒の割合は次の通りです。ちなみに、CEFR A1上位レベルとは、英検3級~4級程度に相当します。CEFR A1下位レベルは、英検4級~5級程度に相当します。
・聞くこと…29.1%
・話すこと…33.1%
・読むこと…28.8%
・書くこと…46.8%
「聞くこと」「話すこと」「読むこと」の能力は、2016年度よりもアップしていますが、目標の50%には届いていません。4技能の中では、「書くこと」が最も高い46.8%という結果が出ていますが、その一方で無得点者(0点)が11.0%もいることが判りました。
出典:平成29年度英語力調査結果(中学3年生・高校3年生)の概要(文部科学省)
文部科学省の分析によれば、現行の学習指導要領で示されている「与えられたテーマについて簡単なスピーチ」や「まとまりのある英語を聞いて、概要や要点を適切に聞き取る」などの言語活動を行っている学校の方が、生徒の「聞くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」の得点が高いという結果が出ています。中でも、聞いたり読んだりしたことについてメモをとったり、感想、賛否やその理由を書いたりするなどの統合的な言語活動を行っている学校の方が、「話すこと」「書くこと」の得点が高いだけでなく、「聞くこと」「読むこと」の得点も高いことが判りました。
高校3年生の英語力は「話す」「書く」のアウトプットする技能に課題がある
高校3年生の英語力の目標は、CEFR A2レベル以上(英検準2級程度以上)です。
・聞くこと…33.6%
・話すこと…12.9%
・読むこと…33.5%
・書くこと…19.7%
出典:平成29年度英語力調査結果(中学3年生・高校3年生)の概要(文部科学省)
2015年度の結果と比べると、「聞くこと」の能力がアップして、「話すこと」「読むこと」「書くこと」の能力は、ほぼ横ばいという結果でした。高校生の英語力は、「話すこと」「書くこと」のアウトプットする能力がやや低い傾向にあります。
文部科学省の調査によれば、学習指導要領で示されている統合的な言語活動を行った学校の生徒は、他の学校の生徒よりも4技能の得点の高いことがわかりました。また、「書くこと」の得点の高い生徒ほど「統合的な言語活動をしていた」と回答しています。
これからの英語教育では、「聞くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」の4技能を統合的に行うことが大切といえるでしょう。なお、新・学習指導要領では、「聞くこと」「話すこと[やり取り]」「話すこと[発表]」「読むこと」「書くこと」の5つの領域について、統合的な言語活動をより一層充実するとともに、発信力の育成のさらなる強化を図っていくとしています。
関連サイト
平成29年度 英語力調査結果(中学3年生・高校3年生)の概要 – 文部科学省
平成29年度英語教育改善のための英語力調査 事業報告 – 文部科学省
平成29年度 英語力調査結果(中学3年生)の概要 – 文部科学省
平成29年度 英語力調査結果(高校3年生)の概要 – 文部科学省
CEFRについて – 英語4技能試験情報サイト
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