英語担当教師と生徒の英語力の相関関係から見えてくるもの
中学校、高等学校の英語担当教師の英語力は年々上がっていることが、文部科学省の「英語教育実施状況調査」(2017年4月公表)により明らかになりました。それに伴って、生徒の英語力も上昇しています。
英語担当教師の英語力は都道府県別で見ると多少のばらつきが見られ、その影響が生徒にも及んでいることも分かりました。
目次
北陸3県は教師も生徒も英語力が高い
下のグラフは、高等学校の英語担当教師と生徒の英語力の相関を都道府県別で表したものです。
富山県、福井県、石川県の北陸3県は、教師の英語力、生徒の英語力がともに高い結果となりました。また、教師の英語力は高いものの生徒の英語力が相対的に低い都道府県や、教師の英語力は低いものの生徒の英語力が高い都道府県も散見されました。
出典:平成28年度「英語教育実施状況調査」(文部科学省)
中学校の英語担当教師の英語力は、高等学校の教師よりも低い結果になっています。北陸3県の英語力は、高等学校と同様に中学校でも高い傾向にあります。群馬県は教師の英語力は低い位置にあるものの、生徒の英語力は高いという結果になっています。
グラフ全体を見ると、奈良県や東京都、福井県、千葉県、石川県、富山県などは、他の都道府県と離れた高い位置にあることがわかります。
出典:平成28年度「英語教育実施状況調査」(文部科学省)
※生徒英語力で示している数値は、高校生は英検準2級以上を取得している生徒の割合、中学生は英検3級以上を取得している生徒の割合です。
※教師英語力で示している数値は、英検準1級程度以上を取得している教師の割合です。
オールイングリッシュが生徒の英語力アップにつながっている
下のグラフは、担当する授業において、発話の半分以上を英語で行っている(オールイングリッシュ)教師の割合と生徒の英語力の相関を表したものです。グラフを見ると、英語で授業を行っている割合が高いほど生徒の英語力は高い傾向にあります。中でも、岐阜県や兵庫県は、英語による授業が生徒の英語力アップにつながっていることがわかります。
出典:平成28年度「英語教育実施状況調査」(文部科学省)
中学校は、英語による授業の割合が高等学校よりも多いことがわかります。石川県や東京都などでオールイングリッシュの効果が見られます。一方、香川県や熊本県ではオールイングリッシュの効果があまり見られません。
文部科学省の「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」には、中学校、および高等学校では「授業を英語で行う」ことが明記されています。英語での授業を行っていない教師は、オンライン英会話サービスなどを利用して英会話力のアップを図るとよいでしょう。
出典:平成28年度「英語教育実施状況調査」(文部科学省)
※授業における教師の英語使用で示している数値は、発話の半分以上を英語で行っている(オールイングリッシュ)教師の割合です。
関連サイト
「生徒の英語力向上推進プラン」について – 文部科学省
外国語教育 – 文部科学省
高等学校教育の改革に関する推進状況について – 文部科学省
平成27年度英語教員の英語力・指導力強化のための調査研究 – 文部科学省
※記事中の情報の因果関係に誤解を招く表現との指摘を頂き一部の記述を修正いたしました。
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