発達障がいの子どもの社会性を改善するための治療法
発達障がいは、もって生まれた遺伝的な脳機能の障がいです。現代の医学では完治することは困難とされています。しかし、正しい治療を行って改善を図っていけば問題ないレベルまで治すことも夢ではありません。
発達障がいの子どもの社会性を改善する治療は、医師や臨床心理士などの専門家によって、子ども一人ひとりの症状に見合った方法で行われます。実際にどのような治療法があるのか見ていきましょう。
ソーシャルスキルトレーニング
ソーシャルスキルトレーニング(social skills training、SST)は、社会生活の中で適応できる技能を向上させるための訓練です。みんなで一緒に遊んだり、グループで話し合ったりするような集団行動の中で上手くやっていくためのスキルを身に付けて改善を図ります。ソーシャルスキルトレーニングは、主に自閉症やADHDの人に有効とされています。(参照:「発達障がいの子どもに効果のあるソーシャルスキルトレーニングとは?」)
認知行動療法
認知行動療法(cognitive behavioral therapy、CBT)は、発達障がいを抱える人に対しては、物事に対する強いこだわりの解消を目的とした治療法です。例えば、自閉症を抱える子どもの中には、いつも使っている鉛筆を無くしてしまって勉強が手につかなくなってしまうことがあります。認知行動療法では、代わりの鉛筆でも同じように書けることを説明して、こだわりを少しずつ解消していきます。
認知行動療法は、自閉症の他にアスペルガー症候群やADHD、学習障がい(LD)など言葉の理解できる子どもに対して行われます。ちなみに、うつ病や不眠症、薬物依存症、パニック障がいなどの人にも認知行動療法が用いられます。
心理療法
心理療法は、主に対話を通じて強いこだわりやトラウマのような心の悩みの解消を目的とした治療法です。精神療法、心理セラピーとも呼ばれています。カッとなると暴力を振ってしまう子どもや、先生にいつも叱られてばかりで学校へ行くのが嫌いになってしまった子どもなどに心理療法が行われます。
心理療法は、医師や臨床心理士のもとで行われます。主にカウンセリングが中心で、親御さんも同席することがあります。日常生活や学校生活で当たり前のように行われていることが、発達障がいを抱える子どもにとっては「おかしい」「変だ」と見えることがあります。それらを1つ1つ解消して改善を図っていきます。
ABA
ABAは、applied behavior analysisの略で、日本語では応用行動分析と呼びます。発達障がいの子どもに対しては、問題行動の改善を図るために用いられています。例えば、ADHDの子どもに見られる、授業中に突然席を立つ、奇声を発するといった問題行動の改善を図るために用いられます。
ADHDを抱える子どもに「座りなさい」と注意しても、その時は座ったとしてもまたすぐに立ってしまうことでしょう。子どもには、「立つと怒られる」という悪いイメージしか残っていません。このような場合には「座る」カードを提示して、座ることができたら「よくできたね」と褒めてあげます。子どものイメージは、「立ってもすぐに座れば褒められる」という良いイメージに替わっていきます。
ABAは、言葉で指示したり説明したりしても理解ができない子どもに有効とされています。
関連サイト
SST(ソーシャル・スキルズ・トレーニング) – 内閣府
気づく ~気になる行動はありませんか~ – 政府広報オンライン
社会性 – 発達障害教育推進センター
応用行動分析学の発展と特別支援教育 – 国立研究開発法人科学技術振興機構
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