高校の英語授業に「スラッシュリーディング」を取り入れよう
文部科学省の調査によると、高校生の英語による「読む」力は、3人のうち2人が、国の目標とするCEFR A2レベル以上(英検準2級相当以上)に達していないことがわかりました。
高校生の英語による読む力をアップさせるには、スラッシュリーディング(slash reading)がおすすめです。スラッシュリーディングとは、英文にスラッシュを挿入していくつかのパートに分け、パートごとに和訳していくことです。長い英文でもそれぞれのパートが短くなるので和訳しやすくなるというメリットがあります。高校の英語授業にスラッシュリーディングを取り入れて、高校生の英語による読解力アップを図りましょう。
目次
英語の文型によるスラッシュの入れ方
まずは、英文が英語5文型のうちどの文型なのかを理解することが大切です。それぞれの文型におけるスラッシュの入れ方を見てみましょう。
第I文型(S+V)
I / went / to Los Angeles.
私は / 行った / ロサンゼルスへ
第II文型(S+V+C)
She / looks / fine.
彼女は / 見える / 元気に
第III文型(S+V+O)
He / has / a good friend.
彼には / いる / 良い友達が
第IV文型(S+V+O+O)
I / gave / him / a watch.
私は / あげた / 彼に / 時計を
第V文型(S+V+O+C)
His smile / makes / everyone / happy.
彼の笑顔が / する / みんなを / 幸せに
長文は修飾部分を括弧でくくるとよい
英文が長くなると、英語の5文型を把握できなくなってしまうことがあります。長文では、関係詞節や接続詞節といった修飾部が含まれていることが多いので、修飾部分を括弧でくくるとスラッシュが入れやすくなります。
The car / (which is parked near the park) / is / my friend’s / (who lives near my house).
その車 / (公園の近くに駐車されている) / です / 私の友達のもの / (私の家の近くに住んでいる)
His idea / (that a big supermarket should be built in the town) / (where we live) / is / a good one.
彼の考えは / (その町に大きなスーパーマーケットが建てられるべきだという) / (私たちが住んでいる) / です / 良いもの
品詞ごとのスラッシュの入れ方
スラッシュの入れ方にはルールはありませんが、スラッシュリーディングを始めたばかりの生徒には、どういった所にスラッシュを入れるとよいかということを覚えさせる必要があります。
that節、疑問詞の前
I / think / that students should study abroad.
私は / 思う/ 学生は留学するべきだと
I / don’t know / how to use this computer.
私は / 知らない / このコンピュータの使い方を
関係代名詞、関係副詞の前
The novel / (which I bought yesterday) / was / very interesting.
小説は /(私が昨日買った) / だった / とても面白い
I / will go / to Hawaii / (where my cousin lives) / (during my winter vacation).
私は / 行くつもりです / ハワイに / (私のいとこが住んでいる) / (冬休み中に)
to不定詞、動名詞、現在分詞・過去分詞の前
She / went / to America / to study English.
彼女は / 行った / アメリカに / 英語を勉強するために
I / finished / eating lunch.
私は / 終えた / 昼食を食べることを
Her baby / sleeping in the bed / is / very pretty.
彼女の赤ちゃんは / ベッドで寝ている / です / とてもかわいい
The watch / made in Switzerland / works well.
その時計は / スイスで製造された / よく動く
前置詞句の前
She / arrived / at the station.
彼女は / 着いた / 駅に
カンマ、セミコロン、コロンの後
I /need / some butter,/ some flour, / and some sugar / to make cookies.
私は / 必要とします / バターと / 小麦粉と / 砂糖を / クッキーを作るために
I / don’t like / winter; / however, / I / like / skiing.
私は / 好きではありません / 冬を / しかしながら / 私は / 好きです / スキーをするのが
I / like / Italian foods: / pasta, / pizza, / and risotto.
私は / 好きです / イタリア料理が / つまり、パスタ、ピザ、リゾットです
ダッシュの前後
The new restaurant / ―we went there last night― / has / a lot of selections.
その新しいレストランは / 私たちは夕べそこへ行ったのですが / あります / たくさんの選択肢が
接続詞の前
We / will be / very happy / if they come to the party tomorrow evening.
私たちは / だろう / とても嬉しい / もし彼らが明日の夕方パーティーに来たら
長い主語の後
The girl over there / is / my daughter.
あそこにいる女の子は / です / 私の娘
長い目的語や補語の前
She / has / a lot of dresses.
彼女は / 持っている / たくさんのドレスを
The problem / is / he can’t run fast.
問題は / です / 彼が早く走れないこと
場所や時間を表す副詞句の前後
I / have / an appointment / with my friend / in front of Hachikou / at seven.
私は / ある / 約束が / 友人と / ハチ公前で / 7時に
thatや関係代名詞が省略されていないかどうかチェックする
英文の中には、thatや関係代名詞が省略されていることがあります。省略されていることに気づかないままスラッシュリーディングをすると、英文の意味を取り違えてしまうこともあるので注意が必要です。
例文1
All students have to do is to do their best.
上の例文に対して「All students / have to do / is / to do their best.」のようにスラッシュを入れると、All studentsがS(主語)となってしまい、英文の意味が分からなくなります。上の例文では、Allの後に関係代名詞のthatが隠れていることに気付かなければなりません。
例文1にスラッシュを入れる
All / students have to do / is / to do their best.
全てのことは / 学生がしなければならない / です / 最善を尽くすこと
例文2
He told his mother his friend would come next day.
上の例文に対して「He / told / his mother his friend / would come next day.」のようにスラッシュを入れると、his motherとhis friendがO(目的語)になってしまいます。この例文では、his motherの後にthatが省略されていることを気付かなければなりません。
例文2にスラッシュを入れる
He / told / his mother / his friend would come next day.
彼は / 言った / 母親に / 自分の友人が翌日来ると
英語の授業にスラッシュリーディングを取り入れた際のCAN-DOリスト
- 英文を見て、どの文型なのかわかる
- スラッシュを入れるルールを理解している
- 関係代名詞やthat節のthatが省略されていても正しくスラッシュが入れられる
- 英文の正しい位置にスラッシュを入れられる
- スラッシュを入れた英文をパートごとに読んで英文全体の意味が理解できる
関連サイト
スラッシュ・リーディングを用いた速読指導 – 奈良県立教育研究所
生徒の意欲を高める高校英語授業について – 島根県立松江教育センター
高等学校学習指導要領解説外国語編・英語編 – 文部科学省
平成29年度英語力調査結果 – 文部科学省
高校生向けオンライン英会話は「weblio英会話」がお薦めです
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