高校の英語授業で使えるゲーム例と学習効果
2018年に公示された高校の新しい学習指導要領には、英語の授業改善のために、「生徒が発話する機会を増やすとともに、他者と協働する力を育成するために、ペア・ワーク、グループ・ワークなどの学習形態について適宜工夫すること」という記載があります。
学習形態についての適宜工夫の1つとして挙げられるのが、英語授業におけるゲームの導入です。高校の英語授業にゲームを取り入れて、生徒の英語力アップを図ってみましょう。高校1年生でも遊べる簡単なゲームなど、いくつかのゲームを紹介するとともに、ゲームで得られる学習効果について解説します。
目次
英語4技能が鍛えられる「高校英語3文日記ゲーム」
高校英語3文日記ゲームは、英語の「読むこと」「聞くこと」「話すこと」「書くこと」の4技能の向上を図るゲームです。他の生徒の日記を読んだり聞いたりしながら進めていくので、クラスメート同士がお互いを知り合えるという副次的な効果も期待できます。
高校英語3文日記ゲームの進め方
- まず、生徒にノート半分くらいの大きさの用紙を2枚ずつ配ります。生徒は、用紙に週末どのように過ごしたかを、英語3文からなる日記を書きます。1枚は土曜日、もう1枚は日曜日のことを書きます。
- クラスを8人程度のグループに分けて、日記を書いた用紙はグループごとに回収しておきます。
- グループごとに、円く並べた椅子に座ります。
- グループの中から1人が真ん中に立って、日記の書かれた用紙1枚を取り出して黙読します。次に、その日記に対して英語で質問します。
- 残りの7人は、質問内容を聞いて、自分の書いた日記に対して質問されていると思ったら挙手をします。挙手した人が1人の場合、質問の内容に答え、かつ、自分の書いた日記を用紙を見ないで話します。うまく話せたら、グループに1ポイントが与えられます。
- もし、挙手した人がいない、あるいは挙手した人が2人以上いた場合には質問は失敗したとみなします。
- このゲームでは、質問者は挙手する人が1人になるような質問をすることが求められます。また、答える人は、質問の内容に正しく答えること、日記に書いたことを正しく話すことが求められます。
- 日記の書かれた用紙は元の場所に戻します。そのため、日記を書いた人が何回も挙手することがあります。
- 質問者を交代して、同じように繰り返していきます。全員が質問を終えた所で、グループのポイントを集計して、一番ポイントの高いグループが勝ちになります。
高校英語3文日記ゲームの留意点
生徒の書く日記の例を示します。
(a)I went to the sea last Sunday. And I took a lot of photos. I uploaded them to Instagram.
(b)I invited my friends home to have lunch last Saturday. I cooked spaghetti and we enjoyed it. After lunch we went to karaoke to sing.
(c)I took a trial examination for University last Sunday. A lot of students gathered at the test center. I was too nervous to do my best.
例えば、質問者が Where did you go last weekend? と言うと、(a)と(c)を書いた人が挙手します。ゲームがうまく進んでいないグループには、挙手する人が1人になるように、質問内容を絞るとよいことをアドバイスしましょう。 What food did you cook last weekend? のような質問をすれば挙手する人は1人です。
質問する時は、 yes や no で答える質問をしたり、 last Sunday や last Saturday を使う質問をしたりすることは禁止というルールを設けます。
高校英語3文日記ゲームで期待される学習効果
高校英語3文日記ゲームを定期的に行うことで、「書くこと」の能力向上が期待できます。質問者は、英語を「読むこと」「話すこと」の能力向上、回答者は「聞くこと」「話すこと」の能力向上が期待できます。
高校英語3文日記ゲームでの評価方法
適切な英文日記を書くことができたかどうかが評価のポイントです。質問者はカード内容に対して適切な質問ができたか、回答者は適切な英語で回答できたか、また自分の週末について的確に話せたか(発表できたか)が評価のポイントです。
英語の単語が覚えられるゲーム
生徒同士がうまく協力しながら、英語の単語を完成させていくゲームです。いままで習った英単語を使ってゲームができるので、高校1年生から高校3年生まで遊べるゲームです。
ゲームの進め方
- まず、クラスの中からゲームの進行役と記録役を決めます。
- 進行役の生徒は、クラスの中から1人の生徒を指名します。
- 指名された生徒は、何文字の英単語を作るか宣言して、最初のアルファベットを言います。
(例)「4文字、s」 - 進行役は、無作為に生徒を次々に指名していきます。指名された生徒は、前の生徒の言ったアルファベットや文字数を頼りに、アルファベットを1文字だけ言います。
(例)2番目に指名された生徒「e」、3番目に指名された生徒「a」 - 最後に指名された生徒は、アルファベットを1文字だけ言って、完成された英単語を黒板に書いて発音し、その日本語訳を言います。
(例)「t」と言って黒板に seat と書き、「席」と言う - 記録役の生徒は、黒板に書かれた英単語が正しいかどうか、発音や日本語訳が正しいかどうかをチェックして、正しければ「正解」と宣言します。そして、アルファベットの完成に携わった生徒それぞれに1ポイント与えることを記録します。
英単語ゲームの留意点
英単語の指定する文字数を「4〜10文字」のようにあらかじめ決めておきます。地名や人名、商品名などの固有名詞や、名詞の複数形、動詞の3人称単数形、過去形、過去分詞形、ing形などを使ってよいかどうかもきめておきます。また、英語の定期試験前は、試験範囲の英単語のみを対象とする、というようなルールを加えるのも良いでしょう。
英単語ゲームで期待できる学習効果
英単語の意味と綴りを覚えられるので、英語で「書くこと」の能力向上が期待できます。
英単語ゲームでの生徒への評価方法
英単語の綴りを正しく認識しているかどうか、日本語訳を理解しているかどうかが評価のポイントです。
アメリカ合衆国50州の名前を覚えるゲーム
アメリカ合衆国50州の名前を覚えるゲームでは、英語以外の学力も求められます。新学習指導要領では、「各科目に共通する内容の取扱い」として「言語活動で扱う題材は、生徒の興味・関心に合ったものとし、他の教科等で学習した内容と関連付けるなどして、英語を用いて課題解決を図る力を育成する工夫をすること」とあります。英語以外の教科を扱うゲームも積極的に取り入れるとよいでしょう。
アメリカ合衆国の州名と、州の2文字コードについてのゲームです。社会科でアメリカ合衆国の話題を扱っている学習時期に取り入れると効果的です。
アメリカ合衆国50州の名前を覚えるゲームの進め方
- アメリカ合衆国の州名が書かれたカードと、州の2文字コードが書かれたカードを用意します。ゲームではクラスをグループ分けするので、アメリカ合衆国の州名が書かれたカードはグループ分必要です。生徒に作らせるのもよいでしょう。
- アメリカ合衆国の州の読み方を習っていない時は、あらかじめ州名の書かれたカードを使って発音練習しておきます。
- クラスをグループ分けして、各グループに州名が書かれたカードを配ります。
- 先生は、州の2文字コードのカードから1枚を取り出して、生徒に見せます。
- 生徒は、該当する州名が書かれたカードを探し出し、カードを高く掲げて州名を発音します。
- 一番早く正しい州名カードを掲げ、正しく発音できたチームが1ポイント獲得します。
アメリカ合衆国50州の名前を覚えるゲームの留意点
アメリカ合衆国の州名と、州の2文字コードについてはあらかじめ学習させておきます。アメリカ合衆国では、州名を2文字コードを使って表すことが多いことも説明しておきましょう。
州名ゲームで期待できる学習効果
アメリカ合衆国の州名の正しい発音が身に付きます。また、アメリカ合衆国の州名と州の2文字コードを覚えることができます。アメリカ合衆国の州名と2文字コードの組み合わせの他に、世界各国の国名と国旗の組み合わせや、理科で学ぶ元素名と元素記号の組み合わせなどもお薦めです。
州名ゲームでの評価方法
アメリカ合衆国州名を正しく発音できるか、2文字コードを覚えることができたかが評価のポイントです。
英語百人一首
英語百人一首は、国語科の短歌などの学習時期に合わせて、百人一首の英訳の挑戦から始めるのが理想的です。短歌や俳句を英訳する場合、分詞構文を使うこともあるので文法の学習にもなります。高校2年生以上や、英語の選択クラスなどで導入したいゲームです。
英語百人一首の進め方
かるたに使う百人一首は、英訳しやすく、固有名詞の入っていないものから30首程度選ぶとよいでしょう。ゲームの事前学習として、生徒1人につき1首(読み札と取り札の2つ)を英訳させて、ノート半分の大きさのカードに書かせます。
- ゲームは、1グループ5人程度に分けたグループ戦で行います。カードは、読み札を場に並べて置き、読み手は取り札のカードを読んでいきます。
- 読み手はクラスから希望者を募ります。
- 読み手は、はっきりと大きな声で短歌の意味を考えながら聞き手が分かりやすいように、カードに書かれた英語を発声します。
- 札を多く獲得した生徒が勝ちです。
英語百人一首で期待できる学習効果
短歌を英訳することで、「書くこと」の能力向上が期待できます。また、読み手は「話すこと(発表)」の能力向上が期待できます。
英語百人一首での生徒への評価方法
百人一首の和歌を自然な英語に訳せるかどうかが評価のポイントです。また、ゲーム参加者は、うまく聞き取れているかどうか、うまく発音できているかどうかが評価のポイントです。
英語の割り算ゲーム
英語で行う割り算は、英語で割り算の問題を出して、生徒が英語で答えるというものです。
英語の割り算ゲームの進め方
- あらかじめ出題のルールと解答のルールを決めておきます。
・割られる数は20までとし、割る数は10までの正の整数とする
・割り切れない場合は、分数で答える(余りを使って答えない)
・小数や帯分数で答えてはいけない
・約分できる分数は約分して答える - クラスを5人程度のグループに分けます。また、審判役を1人決めます。
- ゲームは、グループごとの対抗戦とします。対戦時は教室の前の黒板脇の左右に分かれて立ちます。
- 審判は15秒を測れる時計を持って、真ん中の教卓前に立ちます。
- 出題者は1人ずつ交替制として、答える人はグループ内の誰が答えてもよいこととします。
- 正解か不正解かの判定は審判役が行います。
- 出題側と解答側を1問ずつ入れ替えて、5人の出題が終わった時点で正解数の多いチームが勝ちです。
英語の割り算ゲームでの留意点
生徒には、ゆっくり大きな声で出題し、ゆっくり大きな声で解答するように促します。分数を英語で表現する方法を習っていない場合は、答えが分数にならないような問題を出すようにアドバイスしましょう。
想定される問題と解答例は次の通りです。
- fourteen divided by seven / two
- nineteen divided by eight / nineteen eighths
- fifteen divided by ten / three halves
- ten divided by twenty / one half
- eighteen divided by four / nine halves
- four divided by six / two thirds
英語の割り算ゲームで期待される学習効果
英語での割り算や分数の表現方法に慣れることができます。英語での割り算の問題を理解するための「聞くこと」の能力や、答えを発話する「話すこと(発表)」の能力向上も期待できます。
英語の割り算ゲームでの評価方法
割り算を英語で正しく出題できたか、割り算の英語を正しく聞き取り、正しく答えられたかが評価のポイントです。
関連サイト
学習指導要領「生きる力」 – 文部科学省
ゲームで楽しい授業 列対抗で行うゲーム – 大阪市立市岡商業高等学校
中学校の英語授業にゲームを取り入れよう – 学校向けオンライン英会話 weblio英会話
住所(宛先)の英語での正しい書き方・言い方・伝え方 – オンライン英会話コラム
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