ここがポイント日本の「住所」を英語で書く場合は「狭い範囲から広い範囲へ」拡げる書き方が基本です。
具体的には、(建物・部屋番号) → 番地・号 → 区画(字) → 市区町村 → 都道府県 → 郵便番号、→ 国名、という順です。
地名は固有名と考えましょう。そう考えると、無理に英訳せずローマ字で表記してよいことがわかります。
日本の住所は最終的には日本人に読まれることを意識しましょう。
日本の住所を書くということは、宛先が日本にあって、住所の大部分は日本の配達屋さんが読むということです。海外では「Japan」だけ正しく読んでもらって、あとはちゃんと郵便物として扱ってもらえれば御の字、そのくらいの考え方で十分です。
住所・所在地の書き方に「唯一の絶対的な正解」はありません。最低限の情報が伝わればよいのです。教科書的な正しさを求めすぎないように心がけましょう。ただし公的機関などが所在地を公表している場合は、その公式な表記を踏襲しましょう。
日本の住所の英語での書き方
まずはおさらいです。日本の住所は基本的に(1)郵便番号、(2)都道府県、(3)市区町村、(4)町字 、(5)番地(丁-番-号)などの要素で構成されています。そして、海外の住所も、記載順序が違うだけで、だいたい同じ構成です。
住所を構成する各要素を、並び順をひっくり返して並べれば、「英語の住所」として通用する最低限の情報になります。国際郵便の場合は末尾に「国名」を追加しましょう。
英語の住所は「狭い範囲から段階的に拡大していく」ように書く
これは住所に限らず英語全般についても言えることですが、英語では「最も狭く限定的な情報を先頭に置き、徐々に広範囲・包括的な情報へと拡大していくに並べる」のが基本です。
「日本の住所の英語表記」の具体例
では実例を見てみましょう。日本の首相官邸のウェブサイトには、日本語ページと英語版ページのそれぞれ末尾に(内閣官房の)所在地が記載されています。これを比較してみると、実際ほぼ記述順序が逆転していることが分かります。
<英語版>1-6-1 Nagata-cho, Chiyoda-ku, Tokyo 100 – 8968, Japan
英語版の表記では国名(Japan)まで記載されています。
郵便記号(〒)は日本独自の記号であり、海外では使用しません。海外では理解されないし、文字化けする可能性もありますので、使わないようにしましょう。
カンマは「情報のカタマリ感」の手がかり
住所の英語表記には「Nagata-cho, Chiyoda-ku, 」のようにカンマが打たれる場合があります。
このカンマは、絶対に必要な要素というわけではありません。カンマがなくても「住所の英語表記」としては成立します。また、カンマを打つべき位置が厳密に決まっているというわけでもありません。
ただ、このカンマは、情報の「カタマリ感」のようなものを示す手がかりとして役立ちます。たとえば「Nishi-Shinjuku 2-chome, Shinjuku-ku」のように、「2単語からなる1つの情報」を前後から切り離す記号になるのです。
日付の表記でも「November 8, 2021」というように、カンマを打つ記載方法があります。このカンマは、日付の並び順が通常の「狭い範囲から広い範囲へ」順ではなく、「月・日」というカタマリと「年」に分わかれていることを示す、と解釈できます。
ちなみに、住所を複数行に分けて(改行して)記載する場合、改行がカタマリを示してくれるので、カンマは不要です。
建物名や部屋番号は住所の先頭に書く
マンションやアパートなどの「集合住宅」の住所を示す場合、「建物名と部屋番号」が住所の先頭に置かれます。一戸建ての場合は不要です。
部屋番号は、英語では数字の先頭に「#」の記号(number sign)を付けて表記されます。「204号室」なら「#204」と書きます。
部屋番号と建物名の前後順は、どちらが先でどちらが後でも構いません。「Garden Court #710」も、「#710 Garden Court」も、どちらも適切です。
建物の「階数」も先頭に書く
階数は、「F」を付けて表記します。たとえば「3階」なら「F3」。
建物の「階数」は、建物名や部屋番号と同じく住所の先頭に配置します。「建物名」や「部屋番号」と「階数」の前後順は、特に決まっていません。どれをどの順で並べても問題ありません。それぞれ記号で判別可能ですので。
階数を示す「F」は floor の略です。ただし、省略であることを示すピリオドは慣習的に打たれません(完全に記号化しているということかもしれません)。「Floor 7」のように表記しても、ちゃんと階数のことだと理解してもらえます。
部屋番号が「建物の階数まで含んだ数字」である場合、階数は省略できます。
1階まるごと専有していて部屋番号がない、という場合は、部屋番号が不要です。
丁目・番地を英語で書く書き方
「千代田区永田町1-6-1」の「1-6-1」の部分を「丁番地」や「丁目番地」といいますが、これは英語でもそのまま「1-6-1」と表記してしまって構いません。
数字の並びは前後逆転させません。もとの住所で「1-2-3」なら英語でも「1-2-3」のまま、ひとつのカタマリとして扱います。
丁番地は「分解しない」のがコツ
丁番地の書き方は複数パターンあります。たとえば、「永田町1-6-1」は、「永田町1丁目6番1号」とも表記できますし、「永田町1丁目6-1」とも表記できます。
英語で丁番地を書く場合は「数字とハイフン」だけの表記がいちばん楽です。ハイフンが数字を連結して「カタマリ」を作っているためです。ハイフンを外すと「前後順を逆にした方が英語として適切」という解釈が出てきて煩雑になります。
たとえば、東京都庁の所在地は、日本語ページでは「西新宿2-8-1」と表記されていますが、英語版ページの表記は「8-1 Nishi-Shinjuku 2-chome」と表記されています。つまり、この英語版ページでは丁目番地を「西新宿2丁目8-1」という形式で記述していることになります。
〒163-8001 東京都新宿区西新宿2丁目8-1
なお、同じ都庁ウェブサイトでも都庁舎の概要を案内しているページでは「2-8-1, Nishishinjuku」と表記しています。
「2丁目8-1」→「2-8-1」に変換してから英語化すると簡単
普段は住所を「西新宿2丁目8-1」のように(丁目番地を分けて)書いている場合でも、英語で書く場合は、あらかじめ「西新宿2-8-1」の形に整えてから英語に直すようにすれば、楽に扱えます。
あくまでも「2丁目8-1」の形を忠実に英語化したいなら、「丁目」だけ切り離して 2-chome と表記することは可能です。そういう例も多々あります。
「番」や「号」まで分解して -ban -gou を付けて表記することは普通ありません。「2丁目8番1号」は素直に「2丁目8-1」→「2-8-1」に変換することを推奨します。
県・市・町・地名・建物名の書き方
地名の表記や書き順は、日本の配達員の方に誤解なく理解してもらえれる内容になっていれば、まずは十分です。
地名は固有名として扱う
「東京」「沖縄」「松本」といった名称は、固有名なので、基本的にはローマ字表記で英字に置き換えられます。
地名は基本的に「一般的な綴り」「行政団体が公式に使用している綴り」が既に確立されているものなので、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。とはいえ、綴り違いが致命的な誤りになるわけでもありません。
複合的な構成で長い地名は、適宜ハイフンを挿入してもよいでしょう。たとえば「太秦帷子ケ辻」なら Uzumasa-katabiranotsuji と表記したいところです。
「県」や「市」といった語も固有名に含めて扱う
東京都、沖縄県、松本市といった行政区画を示す語は、英語に訳すよりも、ハイフンで隔てつつ固有名と一体化して扱う形の方が一般的です。Okinawa-ken、Matsumoto-shi、のような要領です。
県や市をそれぞれ英語に訳して Okinawa Prefecture や Matsumoto City と表記しても、誤りではありません。住所でなく地名として単独で挙げる場面なら、むしろ Okinawa Prefecture のような言い方のほうが標準的です。しかしながら住所の表記においては -ken で十分です。
「東京」は、他の行政区画と呼び名が重複しない名称であり、また知名度・認知度がきわめて高いこともあってか、「都」を省略して Tokyo とだけ書けば十分に通じます。「大阪」や「京都」は、知名度は東京と比肩するとしても、大阪府か大阪市かといった混同を避ける意味で Osaka-fu 、 Osaka-shi と明示した方が万全です。
建物名が外来語だった場合は日本語として扱う
建物の名称などが英語以外の西欧言語を借用している場合、正式な表記が何であれ、日本語を介在させてローマ字表記にする方法が無難です。
仮に「ラ・エトワール三福」という建物があり、館名に「ラ・エトワール三福 ~La Etoile Mifuku~」という看板が掲げられていたとしても、英語の住所の表記としては、「Ra-Etowaru-mifuku」にした方が無難です。
「Etoile」を「エトワール」と読んで貰える可能性に賭けるよりは、「Etowaru → エトワール」と素朴に読んで日本語で理解してもらえる可能性に賭けた方が、安全牌というものです(とはいえ、こればかりは断言しかねます)。
郵便番号の扱い方
郵便番号は国名を除けば住所の末尾に配置されます。日本の住所の郵便番号は、形を変えずにそのまま「100-8968」のように表記します。
郵便記号「〒」は日本独自の記号であり、英語では用いられません。対応する記号も特になく、単に数字だけを記します。
郵便番号の形式は国ごとに異なる
郵便番号の桁や、ハイフン(-)の入れ方などは、国によって違います。アメリカやフランスは5桁の数字、オーストラリアは4桁の数字、イギリスはローマ字と数字の組み合わせで表記されます。
郵便番号の呼称も異なる
「郵便番号」を指す言い方も国によって違います。日本の郵便番号は一般的に Postal Code と呼ばれますが、アメリカでは ZIP Code と呼ばれます。イギリスの郵便番号は Postcode と呼ばれています。
海外の住所の郵便番号を調べる場合、その国の郵便局の郵便番号検索サービスを利用することになります。日本郵政ウェブサイトの「海外の郵便番号」のページ( http://www.post.japanpost.jp/int/zipcode/ )では、主要8カ国の郵便番号の調べ方が案内されています。
住所と宛名その他の情報の配置関係
郵送物には住所の他に宛名(受け取る人の名前)を書く必要があります。メールの署名欄の場合は電話番号なども並記します。
郵送物の宛名は住所よりも先に配置します。メールの署名欄でも同様です。電話番号は住所よりも後方に配置します。
手紙の宛名は先頭(住所よりも先)に書く
英語では住所よりも先に、宛名を表記します。つまり日本語の順序(郵便番号→住所→名前)とは逆です。
宛名は住所よりもさらに範囲の狭い情報、宛先を一意に特定できる情報です。そう考えれば先頭に配置する感覚も理解できます。
8-1 Nishi-Shinjuku 2-chome, Shinjuku-ku, Tokyo 163-8001 JAPAN
〒163-8001 東京都新宿区西新宿2-8-1 安井誠一郎さま
宛名には Mr. や Mrs. といった敬称も添えましょう。
郵送物では宛先情報を右下寄りに大きく書く
国際郵便では、宛名や相手住所といった「送り先の情報」は中央より右下側に大きく書くのが通例です。
右上方は切手を貼る箇所なので、余裕をもって空けておきましょう。
差出人(送り主)の情報は左上に、相対的に小さく書きます。記入欄があらかじめ用意されている場合は、それに従いましょう。
宛先が日本人の場合、姓名の表記順も英語とは逆になります。あるいは、姓名を誤解せず判断してもらえる書き方を意識しましょう。
「To」と「From」で誤解を防ぐ
国際郵便では、宛先の名前の前に「To」、差出人の名前の前に「From」を書き添えるのも通例です。これで送り先を間違われる心配がなくなります。
航空便には「AIRMAIL」と書き添える決まりがあります。
手紙の宛名の書き方は日本郵便のウェブサイトに詳しく載っているので、そちらもオススメします。
国際郵便 > あて名の書き方 ― 日本郵便
電話番号と連絡先
電子メールの署名欄、あるいは履歴書や名刺などでは、電話番号や電子メールアドレスといった連絡先を並記することになります。
基本的には「名前」が先頭、次に「住所」、その後にメールアドレスや電話番号を続ける順序で記載します。
英語ビジネスメールの「署名欄」の正しい書き方・デザイン・フォーマット
固定電話と携帯電話は、固定電話を「Tel」、携帯電話を「Mobile」もしくは「Cell」と表記して言い分けます。
Tel: 0x-xxxx-xxxx
Mobile:0xx-xxxx-xxxx
電話番号まで付記する場合、国際電話の利用が前提となるので、先頭の0を除いて日本の国番号「81」を加えた形にしておくと万全です。
住所を英語で話す(口頭で伝える)ときのコツ
住所や郵便番号を口頭で伝える場合、基本的には英語の順序に再構築した住所を読み上げればよいわけですが、「どう読むんだ?」という疑問の湧く部分がちょいちょいあります。
読み方も、唯一絶対の正解のようなものがあるわけではありません。重要な点は「相手に確実に伝わること」です。言葉を費やして補足に補足を加えて、それで相手に伝わればよいのです。
郵便番号は1桁ずつ読み上げる方法が無難
郵便番号の数字は、複数桁のまとまった数値として読むよりも、1字ずつ順に読んでいく方が無難です。
たとえば「123-4560」の場合は「one-two-three, hyphen, four-five-six-zero」という風に、字面を追ってひとつひとつ読み上げていく方法が最適といえます。
3桁+4桁で数字を区切って「one hundred twenty three, hyphen, forty five, sixty」などのよう述べても、特に不適切ということはありませんが、伝わりやすさという点では1字ずつ読み上げる方法の方が勝るでしょう。
部屋番号は「#」を無視してよい、数字の読み方は何でもいい
「#305」のような部屋番号を読む場合、「#」は特に読む必要がありません。
部屋番号であることを明示する場合には、「#」の代わりに「room number」のように述べると誤解なく伝わります。
数字の部分は郵便番号と同様、1字ずつ切り離してひとつひとつ読んでいっても問題ありませんし、2~3桁程度ならひとまとまりの数値として述べても問題なく伝わるでしょう。
部屋番号が4桁に及ぶ場合は、西暦を表現する場合のように2桁ずつに区切る言い方も使えます。
なお、数字の「0」は、英語では「zero」と読むよりも「oh」と読む方が一般的だったりします。「#305」なら「three-oh-five」という読み方が最も伝わりやすい言い方といえます。
数字の「0」が2つ連続する場合は「double 0」(double oh)とも表現できます。
海外の住所を理解する上で重要な語
英語圏の住所を読む、という場合、日本語の住所とは違った区分や概念を知っておく必要があります。
ZIP code および Postcode(郵便番号)
日本の郵便番号に当たる区分体系は世界中で採用されていますが、呼び名や様式は国ごとに異なります。
ZIP Code
米国で導入されている郵便番号制度は ZIP Code(ZIPコード) と呼ばれます。
基本的には5桁の数字で構成され、州と都市が特定できます。より具体的に位置が特定できる9桁の拡張 ZIP コード(ZIP +4 Code)もありますが、5桁の方式を完全に代替するには至っていません。
Postcode
英国の郵便番号は、Postal code、または Postcode と呼ばれています。Postcode イギリスに限らずオーストラリアの郵便番号や日本の郵便番号を指す際にも用いられる、いわば標準的な英単語です。
英国の郵便番号はローマ字と数字を組み合わせて表記されます。たとえば時計台で知られる観光名所「ビッグ・ベン」のある英国国会議事堂の郵便番号は「SW1A 0AA」と表記されます。郵便番号だけで都市や通り(Street)まで特定できます。
State(州)
米国をはじめ多くの国では「州」(State)という行政区分があります。
州は国内における最大の地域区分であり、その点で日本語の「県」と共通していますが、完全に対応するわけではありません。「県」は英語で Prefecture と訳されます。
日本だけでなく、カナダの州制度は Province、イギリスは County、スコットランドは Regionと、それぞれ呼び分けられます。
County /kaʊnti/ は Country(国)と誤読しやすいので注意しましょう。
アメリカの州には2字の略称がある
アメリカの州はそれぞれ2文字の省略表記があります。ニューヨーク州なら「NY」、ワシントン州なら「WA」が割り当てられており、基本的にこの省略表記が用いられます。
住所の表記では「カリフォルニア州」を「California State」のように表記する書き方は異端といえます。
Street(通り)
欧米の(というか極東の一部地域を除く)多くの地域は、住所を示す手がかりとして「道」「通り」を用います。道沿いの土地に区画(番地)を割り振り、それを住所とするわけです。
そう考えると、「SimCity」に代表される海外の都市開発ゲームが「道路を引く」手順から始まるのもなんだか頷けます。
通りの呼び方は色々あります。多くの場合、略称が用いられます。
英語名 | 英語略称 | おおよそ対応する日本語 |
---|---|---|
Avenue | Ave. | 大通り、街路 |
Boulevard | Blvd. | 大通り、表通り |
Center | Center | 中央、センター |
Circle | Circle | 環状線、円形広場 |
Court | Ct. | 路地、小路 |
Drive | Dr. | 街道 |
Expressway | Expwy. | 高速道 |
Highway | Hwy. | 幹線道、本道 |
Lane | Ln. | 路地、細道 |
Parkway | Pkwy. | パークウェイ、公園通り |
Place | Pl. | 広場、広小路 |
Plaza | Plaza | 広場、プラザ |
Road | Rd. | 道、街道 |
Rural Route | RR | 田園道路 |
Square | Sq. | 広場、スクエア |
Street | St. | 街、通り |
Way | Way | 通り、道 |
シャーロックホームズは英国ロンドンの「221B Baker Street」の下宿に住んでいたという設定があります。Baker Street(ベーカー街)が地名、221Bが番地です。
英語の住所表記で Street Address や Street number を求められたら
海外の通販サイトの入力欄などでは、Street Address や Street number を入力する欄が備わっている場合が多々あります。
入力が必須でなければ空欄でもよいでしょう。必須なら適当に番地の入力欄として扱ってしまえば問題ありません。
address 1、address 2(住所1住所2)
海外の通販サイトの入力欄といえば、State に続けて address 1、address 2、という分割された入力欄があるのもお約束です。
これも基本的に適当な入力で構いません。適当というと語弊がありますが、いわば適当な「かたまり」を適切に配置してあげれば、ちゃんと手元に郵送物は届きます。
address2 の入力が必須でなければ空欄でもよいでしょう。