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【実話】共同経営に失敗し、友達をクビにして学んだ起業の5つの教訓

 

  まだ厳しい寒さが残る2月の夕方、オフィス近くの公園のベンチで

僕は友達にクビを告げた。

 

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僕だって、好きでこんな状況を作ったんじゃない。
数ヶ月死ぬほど悩み尽くし、至った結論なんだ。

友達であるA君は言った。

「何でなんだよ?こんなに今まで頑張ってきたのに…」

 

必死の形相で激しく僕を問い詰めるA君に、僕はこう答えるしかなかった。

「申し訳ない…」と。

 

自分の実力不足と、不甲斐なさを感じ、自己嫌悪に苛まれていた。

「こうするしかなかったんだ…」と。

自分に聞かせるしかなかった。

このストーリーは、僕がIT企業を退職してから、海外進出支援を行うコンサル会社を起業した結果、友達と共同経営に失敗して、友達との関係が崩壊するまでをリアルに描いた実話です。

会社を起業してから様々な苦労がありました。資金繰りや事業の立ち上げなど、苦労したことは山ほどあります。しかし、最もダメージが大きかったことは、共同経営者である友達とのトラブルでした。

最近はより自由な働き方を求めて、起業する人が増えていますが、彼らの失敗の側面に触れられた書籍や記事はまだ少ないと感じています。そのため、同じような目にあう方がをできるだけ減らせればと思い、思い切って共同経営の失敗ストーリーを公開したいと思います。

共同経営者の出会い、対立、そして別れ

友人A君との出会い

僕は大学3年生の頃、大学を休学して海外インターンシップを行なっていました。その国に滞在中、たまたま僕が間違い電話をかけた時に、日本語を話すとある現地人につながりました。

「なんで日本語話せるんだ?」

と驚きましたが、それが後の共同経営者となる友達のA君でした。

A君とはそのまま電話で約束し、ショッピングモールで待ち合わせて、実際に会ってみました。案の定とても愉快なやつで、日本に来たことないのに、日本語がとても上手でした。年齢も全く同じA君とはその場で仲良くなり、その後頻繁に連絡を取るようになりました。


「いつか日本に来たい」

 

A君はそう話していました。

僕のインターン期間が終わるタイミングでA君とお別れをする時、

「いつか、ここで会ったみたいに、次は日本で会いたいね」

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と、少し感動的な別れ方をして、僕は帰国しました。

A君の来日が決まる!

 僕が日本に帰国してから半年くらい経った時、A君から突然Facebookでメッセージがありました。

「日本に留学が決まった!」

と、とても興奮気味に送られてきました。

僕はとても驚き、喜びました。数ヶ月後、彼は関西にある大学院に入学をしました。彼が日本に着いたと聞いた僕は、いち早く彼に会いに行きました。それは、感動の再会でした。

「いつか日本で再会する夢が現実になったね!」と。

 そこから、僕の実家とも近かったA君の家にたまに行くようになり、

「将来いつか一緒にビジネスができたらいいな」

と語り合うようになりました。

「すごく大きなスケールで、世界を変えるような、面白いことがしたいな」と夜な夜な語り合っていました。A君とは、人生についての価値観が驚くほど似ていて、よく自分の人生や生き方について語り合う仲でした。

そして、僕は大学を卒業して社会人になり、A君は引き続き大学院で勉強をしていました。そこから1年くらいA君とは連絡をとっていませんでした。

僕は新卒で東京にあるIT企業に勤めていましたが、早く自分で事業がやりたいという思いが強くなり、起業しようという決断に至りました。そこで、明確なビジネスアイデアはなかったものの、一年目で会社を退職しました。

その後、僕は起業の準備期間に入りました。人に会ったり、事業決内容を模索したり、会社設立の準備をしたりしていました。ちょうど、そのタイミングで、A君から1年ぶりに連絡がきました。

「最近どう?」
という程度の軽い連絡でした。


「実は会社を辞めて起業することになったよ」
と返信すると、A君は「マジで!?」とものすごく驚いていました。

当時彼は大学院を卒業して、普通に就職して大手企業で働くというキャリアに疑問を感じていたようです。そんな中、僕が起業すると言いだしてのでとても刺激を受けたようです。

A君と一緒に起業することになった!

その後、数日経ってA君から

「一緒にビジネスがやりたい!」と連絡が来ました。

僕は悩みました。「そもそも外国人を採用できるのか?」「こんなできたばかりの会社に新卒として入って丈夫なのか?」と。しかし、僕の無知さゆえに「まあ何とかなるか」という程度に考えていて

「一緒にビジネスをやろうぜ!」と返答しました。

あまりに無責任な返答でした。

A君はとても喜んでいました。1ヶ月くらい経って、A君から連絡が来ました。

「俺、大手企業からの内定断ったわ。お前と起業すること決めた」と。
僕は正直突然の報告に驚きましが、その時にA君と会社をやろうという覚悟が決まりました。

 A君のジョインが決まってから、頻繁にミーティングを行っていました。A君が当時大阪に住んでいたため、月に1度僕の住んでいる東京に来てもらって、ディスカッションをしていました。

テーマは、事業内容や長期的なビジョンのすり合わせ。当時は、これから自分たちが創っていく未来に、毎日ワクワクしていました。

いわゆるスタートアップのガレッジベンチャーのような、高いモチベーションで「世界を変えてやる」と意気込んでいました。

当時考えていたことは、自分本位で、具体的に誰に対してどんな価値を作っていくのかを、全く考えられていませんでした。

株式会社を創業した!

 A君がジョインすると決めた2ヶ月後の8月、僕は株式会社を設立しました。A君が大学を卒業するのが10月だったので、会社から就労ビザの発給をしなければならず、それまでには法人化する必要があったのです。

会社の設立をした際には、僕はお金があまりませんでした。なので、自分の貯金から切り崩して、資本金数10万円程度を出資し、僕が100%のオーナーになりました。この時、特に出資や株式比率については話し合っておらず、給料さえも全く決めていない状況でした。

とにかく、自分達は起業家になったんだ、スタートアップの経営者になったんだと、舞い上がっていました。地に足のつかないまま、株式比率など会社経営で非常に重要なポイントをいくつも見落としていました。

そもそも、共同経営者には何を期待しているのか、2人で起業することでどのようなメリットがあるのかを、ほとんど考えていませんでした。

しばらくは僕が会社を主導しながら、後から資本構成を決めていけばいいだろうと考えていました。これが、後で自分たちの首を絞め続けることになるのですが…

会社はスタートしたけど売上が立たない…

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8月に株式会社を設立してからは、収益が出るビジネスが全くなかったので、まず何をやろうか?ということを考えていました。

メインの、海外進出コンサル事業をやりたいと思いつつも、それに向けてどうすればいいのか見当がつきません。
その間に、資金はどんどんと減っていきまいした。起業当初の異常なテンションは、その頃には大分冷めていました。「これはマジで生活できなくなる」と、資金ショートという現実を目の前に、相当焦っていました。

そのため、A君がジョインした後でも一緒にやっていける事業として、マンツーマンで英語を教えたり、ホームページ制作を請け負う事業をしたりしていました。それらの事業で、2ヶ月くらいなんとか必死で食いつないでいました。

10月には遂にA君が正式にジョインし、そこから共同経営という形を取ることになりました。僕の名刺にはCEOと、A君の名刺にはCo-Founderと書かれており、いよいよ会社が始まったなと改めて気合を入れ直しました。

A君がジョインしたタイミングで、Facebookで、
「【ご報告】株式会社を設立しました」と投稿し、300以上のいいねが付きました。

共同経営者への違和感が生まれる…

 しかし、実際A君がジョインした後、彼は疑問を感じているようでした。食いつなぐために、英語学習サービスや受託制作事業をやっていて、本業のコンサル事業が立ち上がる見込みがなかったからです。

起業前にA君と語り合っていた壮大なビジョンと、現状のギャップに、A君は戸惑っていました。

既存の事業から小さな収益は出ていたものの、会社全体としては毎月赤字の状態。どんどん減っていく銀行の預金口座と、資金的な不安に取り憑かれる僕。それとは対照的に、A君はまた壮大なビジョンを描き、妄想にふけっていました。

「3年後には○億円だ」と紙に書いて、1人で盛り上がっているA君。それを横目に「目先の資金繰りをなんとかしないとやばいぞ」と内心かなりイライラしていた僕。

安定した売上がなく、ビジョンにどうしたらたどり着けばいいのか、毎日頭を抱えていました。

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A君がジョインした1ヶ月後には、現状をなんとか打開しようとする僕と、相変わらず実現不可能なビジネスアイデアを提案してくるA君との間に、心理的な溝ができ始めていることを感じていました。

早朝から深夜まで、休みなく働いていた僕。それに対して、朝遅くに起きてきて、午前中眠そうにしているA君。僕たちの間には、コミットメントにも差があり、それが心理的な溝をさらに大きくしていました。

A君の株式配分の要求に絶句した…

 A君が入ってから2ヶ月目、A君がある話を切り出しました。
「スタートアップをやっているんだから、株を持たなと意味がない」と。確かに、その頃には、僕も株式比率についてA君と話す必要性を感じていたので、いくら欲しいかと聞きました。そこで、A君の条件に正直驚きました。「50%は欲しい」と。
しかも、よくよくA君の言い分を聞いてみると、出資するつもりはないと。起業当初にあまりに不勉強だった僕も、さすがにその頃にはファイナンスの勉強をしていました。スタートアップのバイブルと呼ばれる「起業のファイナンス」も読んでいて、起業初期の株式比率におけるミスは、絶対に避けなければいけないと感じていました。

株式会社を創業する時の株式比率

ここで、株式会社を企業する時の、株式について基本を解説します。基本的に株式比率というのは、会社を設立しの段階で、出資額に応じて配分されます。

例えば、2人で会社を設立する際に、資本金が1,000万円だった場合、Aが700万円、Bが300万円出資すると、それぞれの株式配分は70%、30%になります。

これを基本と考えた際に、出資0円で株式の半分をA君に手渡すのは、あまりにも不公平ではないかと感じました。そして、会社法上、株式の50%以上を持っている場合、株主総会の普通決議を単独で阻止できるため、拒否権を持つことになります。

そのため、株式を等分して50:50にしてしまうと、仮に意見が対立してしまった時に、誰も意思決定ができない状態になります。その結果、会社がコントロール不可能になり、会社が解散してしまった例も沢山聞いていました。

株式比率と議決権について、分かりやすいチャートがあったので、引用させていただきます。

議決権保有割合株主の権利
75%以上株主総会の特殊決議を単独で成立可能
決議事項の例:全部の株式についての譲渡制限を定款に記載
66%以上株主総会の特別決議を単独で成立可能
決議事項の例:事業の全部譲渡,定款変更など
50%超株主総会の普通決議を単独で成立可能
決議事項の例:取締役の解任,剰余金の配当など
50%以上株主総会の普通決議を単独で阻止可能
25%以上相互保有株式の議決権停止
10%以上解散請求権
3%以上総会招集請求権
役員の解任請求権
業務財産検査役選任請求権
会計帳簿閲覧請求権
1%以上会計検査役選任請求権
1%以上株主提案権
もしくは300個

出展:株式比率と株主の権利 | 会社設立支援・資金調達の流れに強い税理士ならアディーレ会計事務所

もしかしたら、A君の国と僕の感覚では、国籍も異なれば、株式比率に対する考え方も違っていたのかもしれません。また、A君もビジネス経験がなく、適正な株式比率が提案できなかったのは、仕方のなかったことかもしれません。しかし、当時深まっていた心理的な溝もあり、A君の要求に対して違和感を感じていました。

ひとまず、僕はA君に
「検討させてほしい」
と伝え、意思決定を先送りしました。

本業での初受注が決まった!しかし…

創業してから4ヶ月目に入った時には、初めて本業で受注することができました。クライアント企業とA君の出身国に行き、調査を行いました。

本業の受注が決まり、ただのペーパーカンパニーに近かったものが、ようやく会社らしくなってきました。本業で受注した案件をこなしながらも、いつも僕の頭の片隅にあったのは、株式比率についての悩みでした。


当初から感じていた、僕とA君の仕事へのコミットメントの差は、縮まることがありませんでした。また、僕は資金繰りに困って数百万円の借金をしていたため、背負っているリスクの差も顕著でした。そこでも、何度か株式比率についての話し合いは行なっていましたが、A君は主張を大きくは曲げずに、「株式の49%」は持ちたいと主張していました。もうその時は、共同経営者として半分近くの株式を渡して、経営に参画してもらうことに対して完全に疑念を持っていました。朝から晩まで株式比率のことが頭から離れず、ストレスで仕事にも集中できない状態でした。「何でこんなに、頭を悩ましているんだ」と考える毎日。正直、ストレスの限界でした。当初将来について青臭く語り合っていたのが嘘のようでした。僕とA君との間には気まずい雰囲気が流れ、お互いコミュニケーションを避けがちになっていました。これは、完全に僕の器が小さかったのかもしれません。
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A君がジョインするときに、株式比率の話を切り出さなかった自分のミスだったのです。 A君が株式の話を切り出してから数ヶ月、議論はずっと平行線でした。そして、2月に入り、売上が思うように立たず、毎月の固定費だけは出ていく現状に、とても危機感を強く感じるようになりました。

悩み、そして決断の時

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そこで、やっと状況を周囲の人たちに相談し始めました。顧問としてアドバイスをいただいている方や、学生時代からお世話になっている経営者の方、会社を経営している友人に話しました。

最終的に決定打となったのは、とある経営者の方とのミーティングでした。 その方に、カフェで時間をもらって相談している時、こう言われました。

「君はA君と、本当に事業を一緒にやりたいの?1分以内にYesかNoで答えを出して。」と。

その時、僕の本心として、

「A君とはもう一緒にできない」と答えを出しました。

それが、事実上、A君との共同経営に終止符を打った瞬間でした。

 

A君は生まれた国を離れて、新卒でリスクを犯して自分の会社に入ってくれているのに、本当に申し訳ないことをした。A君のキャリアにとって、大きなダメージとなってしまうことをした。僕の責任は大きいと自分を責めました。

しかし、株式比率についてはどうしても同意ができませんでした。「A君には、会社を辞めてもらおう」。断腸の思いで決断しました。

本当に苦しかった時でした。 そこからは、速やかにA君に辞めてもらうための手続きに移行しました。

具体的には、雇用契約上発生し得るリスクを弁護士や税理士に相談したり、雇用ビザのリスクについて調査を行いました。起業当初、全く予測できなかった「A君との別れ」という未来に向けて、一歩一歩駒を進めていました。

共同経営者に、クビを告げた

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2月の夕方、気温が氷点下を下回るくらい、寒い日でした。

僕は、オフィスの近くにあるビル1階のベンチに、A君を呼び出しました。

「申し訳ないけど、これ以上一緒にできない。それぞれ、別の道を歩もう。」

と告げました。

 それに対してA君は、激しく声を荒げて反発をしました。

「俺がいれば会社はもっと早く成長する。今はまだ価値を発揮できてないけど、将来的には絶対にできる。」と。

 しかしその言葉は、一度萎えてしまった当時の僕の心には、残念ながら刺さりませんでした。 僕の心が変わらないことを察したA君は、会社に残ることを諦め、言いました。

「分かった。別の道を行く。」と。

完全に失敗してしまったA君との共同経営。この失敗エピソードから、同じ間違いを犯す人が少しでも減るよう、教訓をまとめてみました。

共同経営に失敗して後悔したこと5つ

いきなり共同経営をしなければよかった

 本当にこれに尽きます。もちろん共同経営が成功するパターンもあります。例えば、経験豊富なメンバーが、資金調達を受けて、スピーディーに事業をスケールさせるのであれば、共同経営という形が最適かもしれません。

それは、メディアでも比較的取り上げられやすく、スタートアップの典型的な成功例とみなされるかもしれません。

しかし、創業者に起業経験がなく、じっくり着実にビジネスを育てていくタイプの起業であればどうでしょうか。僕はその場合、リスクを下げる方法として考えられるのは次のようなものだと考えています。

最初は個人プロジェクトのような形で1人で創業し、事業が育てば法人化したり、メンバーを業務委託で採用したりする。その間に経営基盤を安定させ、確実に利益が出るようになったタイミングで、人を採用するという手法です。

いきなり共同経営をやってしまい、万が共同経営者と一揉めてしまうと大変です。ストレスで仕事に集中できない、経営のスピードが落ちてしまうということが容易に起こります。

僕は他の会社の経営者と、意見交換をする機会がよくありますが、共同経営の失敗は本当に多いと感じます。

そして、共同経営で一番怖いのが、出資をした共同経営者が途中で辞めた場合です。僕の仲の良い経営者でも、出資者が途中で辞めたため、辞めた出資者から株式を買い戻すために、多額の借金を負ったケースもあります。

これを避けるためには、共同経営者と契約書を結んでおくことが必須です。

「お金が絡むと、どんな親友でも人が変わる。人間関係に絶対の安定などない。」

と考えておく程度がちょうどかもしれません。

お互いの役割と責任をはっきり決めておくべきだった

同じ目的に向けて、それぞれが持続的に価値を発揮することが、共同経営の理想ではないかと思います。僕たちは、最初から自分は何ができるのかを冷静に考える必要がありました。

例えば、エンジニアならサービスの開発、マーケターなら集客やブランディングなどです。共同経営間で役割分担がはっきりとしていないと、価値の住み分けがしにくく、共同経営をしている意味がありません。

役割と責任を決めないまま、株式の比率を50:50にしてしまうと何が起こるか。それは、成果やコミットの差が出てきた時に、必ずどちらかが不公平感を感じ、共同経営者間のトラブルが起きます。

僕の場合、A君には日本語の問題もあり、会社の売上に繋がる仕事や業務をほとんど1人でやっていたため、不公平感が強かったのかもしれません。

(もっと仕事を切り出せばよかったということもありますが)ただ、あらかじめ役割と責任を決めたとしても、途中でそれが崩れ、対立することは容易に考えらます。

上下関係をはっきりさせるべきだった

共同経営者として、相手が自分と同等の発言権がある状態にしてしまうと、意思決定が一向に行われない状況になる可能性があります。

意見が対立したとしても、どちらかが従うというルールを作っておかないと、いざ意見が対立した時に、全く決められないという状況が生まれます。

とにかく、どちらが意思決定者なのかをはっきりさせることが重要です。

僕はA君に対して、最初は従業員のような形で入って欲しいと思っていました。そして、経営判断は自分がやることを想定していました。しかし、A君は自分もオーナーになることを期待していました。

そのコミュニケーションが取れていなかったことでが、決定的な対立に繋がりました。

入社前に小さいプロジェクトをやっておけばよかった

価値観が合う友達というだけで、採用したり経営に迎え入れるのは非常に危険です。相手がどれだけ活躍できるかということとが冷静に見ていない場合、いざ相手が会社に入たタイミングでトラブルが起こる可能性があります。

それが仲の良い友達だった場合、情が湧いてしまい、辞めてもらいにくくなります。そうすると、どんどんと問題を先延ばしにしてしまいます。

少なくとも、いきなり共同経営者として会社に入れるのはリスクが高いです。そのため、最初は何らかのプロジェクトを一緒にやり、お互いの仕事のスタイルを知っておいた方が良いと思います。

最初から株式会社にしなければよかった

最初から株式会社にしたことは結構後悔しました。専門的な話になりすが、合同会社であれば株式は存在せず、所有と経営が一致しています。そのため、創業時点では株の配分で揉めるということが起こりにくいです。

起業した当初は、お互いがどれくらい価値を発揮できるか分かりません。そのため、一旦株式の細かい比率の話は一旦保留にして、合同会社で設立を行うのも一つの手だと感じました。

そこから、資金調達や上場、売却を目指す段階になったタイミングで、株式会社に登記を変更するというのが、共同経営のリスクを最小限にするものではないかと思います。

実際、シリコンバレーのスタートアップでも、最初はLLP(合同会社)でスタートすることが多いようです。先が全く見えない状況の中、株式会社にして資本構成を決めてしまうのは、正直リスクが多すぎると感じています。

共同経営のメリットは確かにある

一方で共同経営のメリットも確かにあるとは思います。少なくとも、僕が共同経営スタイルをとっていた時は、以下のようなメリットを感じていました。

事業の成長のスピードが上がる

それぞれが得意なことを分担すると、単純に作業スピードは2倍になります。僕の場合は、現地語が必要な場合はA君、日本語は僕というように住み分けを行なっていて、その役割分けがちゃんと機能する業務もありました。

役割分けの例として、自分がセールスマンやマーケターとして商品のプロモーションを行い、パートナーがエンジニアとしてシステムを担当るという分担であれば、事業の成長スピードは1人起業の場合よりも上がるでしょう。

精神的に辛い時期を一緒に乗り越えられる

共同経営がうまく機能していれば、ビジョンに向けて一緒に向かっていけるという、精神的なメリットを受けられることは事実だと思います。

実際、起業は毎日がジェットコースターのような状況になります。そこでは、いろんな不安や葛藤がありますが、それを共有できるパートナーがいることは、精神の安定につながると思います。

また、1人だと緊張感がない場合、もう1人いた方が頑張れるという人も中にはいるかもしれません。

共同経営に失敗しないためにすべきこと

今もし友達や同僚と起業をしようとしている場合、必ずやっておいてほしいことを紹介します。

これらのアクションを取っておくだけで、共同経営に失敗した場合に起きる、数百万、数千万円の損失リスクと、数年の不毛な時間のロスを防ぐことができます。

会社経営についてインプットする

まずは、起業についての適切な知識をインプットしておくべきです。これをしないがために、会社設立時や資金調達において、決定的に重要なポイントが抜け落ちたまま、後悔し続ける経営者は後を経ちません。

起業のファイナンス

これは会社を創業する上での資本構成など、基本的な知識を学ぶことができる、ベンチャーファイナンスのバイブルです。起業を検討している場合、いち早く読んでおくべき本だと思います。

LLC(合同会社)の設立・運営ができる本

これは、自分が合同会社にしておけばよかったと気付かされた本でした。この本にも関連しますが、会社を設立するなら、会社法は最低限勉強することが、身を守ることに繋がります。

取締役になるとき いちばん最初に読む本

会社の中で取締役のポジションになることで、どのような責任が発生するかということを詳しく書かれています。この本では、会社の取締役になることのメリットと同時に生まれるリスクについて学ぶことができました。

渋谷で働く社長の告白

サイバーエージェント藤田社長の本です。株主に翻弄される藤田社長のドラマが、感情と共に分かりやすく書かれてます。経営と人について、これほどまで分かりやすい本もそう多くないかもしれません。

社長失格

元ハイパーネット社長、板倉さんの本です。起業の失敗本の中では最も有名な本ではないでしょうか。社長の意思決定がどのように経営破綻に向かっていくのかが、分かりやすく書かれています。

15歳で起業したぼくが社長になって学んだこと

タイトルは一見、成り上がり社長のような軽い印象を受けますが、本書は経営についての本質が述べられており、起業初期にかなり参考になりました。これも、会社を創業するとどうなるか、かなりリアリティがあります

スタートアップ共同創業者の見つけ方、付き合い方、別れ方

一時期話題になったスライドです。スタートアップの共同創業について、ビジュアルで分かりやすく、体系的に書かれています。

共同創業者は仲の良い友達1人がいいかも

共同創業者は仲の良い友達1人がいいかも – The First Penguin

nanapiのけんすうさんが書かれた、共同創業についての記事です。共同創業の選び方について、成功、失敗パターンが分かりやすく書かれています。

友人との共同経営で大失敗した代表取締役の体験談

友人との共同経営で大失敗した代表取締役の体験談-みんなのインタビュー

ここで取り上げられている社長の方は、友人と50:50で株をシェアして、失敗した典型的なパターンだと思います。創業から失敗まで、かなり生々しく書かれています。僕が悩んでいるときに、かなり参考になった記事です。

専門家に相談する

僕は共同経営者と対立してから初めて弁護士と相談したのですが、共同経営をするかを決める前に、相談をしておいた方がいいです。

無料相談でも良いので、弁護士さんや税理士さんに一通り状況を話し、共同経営のメリットとデメリットをしっかりと理解してください。

もし、すでに問題を抱えている場合は、いち早く相談し、解決策を整理しておくのがいいでしょう。最初は、弁護士に相談するのは勇気が入りますが、正直無料相談でも十分に役立地ます。共同経営で悩まれている場合は、いち早く相談することをオススメします。

僕は弁護士紹介サイトで問い合わせをして、東京都内の弁護士さんを紹介してもらいました。電話越しに、無料で20分程度相談に乗ってもらいましたが、何で困っているか、今後どうすべきかを的確にアドバイスいただきました。こちらのボタンから、相談ができるようになっています。

弁護士に相談する

僕とA君のその後

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A君が会社を辞めてからは、しばらく口もきかない時期がありました。しかし、今では一緒に会社をやっていた時よりも関係は良くなっています。やはり、株式会社という箱の中に、利害関係者として入ってしまうと、本当に様々な対立が生まれてしまうものだと痛感しました。

僕は会社を続け、A君は日本での就職に向けて順調に活動を進めています。様々な苦労がありましたが、過ぎ去ってしまえば、過去の話。今ではA君と、これまでの対立は、仕方ないことだったと、和解することができています。

人の感情は季節のように移り変わるものです。自分の感情というものは、コントロールできそうで、できません。自分もまさか親友だったA君に、こんなに苛立ってしまうとは思っていませんでした。

今回は共同経営の失敗ということについて書きましたが、これはどんな人間関係であったとしても、当てはまることが多くあると思っています。

どんな関係性でもお互いが依存せず、常に「人の感情は変わる」ことを肝に命じた上で生きていくのが、対立や恨みなど負の感情を減らし、幸せに生きていく秘訣かもしれません。



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