20代で独立・起業するのは早すぎる。
でも、起業したい気持ちは抑えられない。
新卒で数年働いたけど、このまま延々と続く、終わりない日々にピリオドを打ちたい。
周囲に相談してみても、もっと会社にとどまって学んだ方がいいと言われる。
「まだ若いんだから、これからいつでも起業できるでしょ?」と起業には反対される。
20代のあなたは、いま、独立(フリーランス)や起業への一歩を踏み出そうとして、迷っているのでしょうか?
実際、日本社会にいれば、新卒で2、3年の若造が起業するとなると、
年配の方々から「お前には何ができる?」と言われることが多いと思います。
しかし、僕は20代で起業することには非常に大きなメリットがあると感じています。もちろん、年代ごとに起業のメリット・デメリットはあります。しかし、とりわけ20代で起業することには非常に希少価値があり、同世代の起業家がまだ少ないがために、超的に有利なキャリアを作りやすいと感じています。
僕は新卒11ヶ月目で辞めて、24歳の時に起業して海外進出支援会社を設立しました。そこで、様々な失敗や成功を積んできましたが、20代という若さがプラスに働いたことが非常に多いと感じました。また、僕の周囲には20代の起業家が多く、さまざまな事例を見てきたことからも言えます。
本記事では、20代で独立・起業するメリットにて紹介し、一方でデメリットやリスクについても書いていきます。
20代で独立・起業するメリット
事業を立ち上げる経験が若くして積める
大企業であれば、新規事業や子会社の立ち上げなどは、ある程度の経験を持った人でないと、なかなかできません。
僕も多くの20代の会社員の方とはお会いすることがありますが、大企業で20代のうちに新規事業に携わっている人は、数えられる程度しか知りません。また、成長著しいベンチャー企業であっても、事業の全体像を設計・構築するような仕事をしている人は、ごく一握りだと感じています。
しかし、起業してしまえば、ゼロから新しいビジネスを立ち上げることになります。そのため、市場の調査や課題の特定、サービスの開発やオペレーションなどを若くして積むことができるのです。
新規事業の立ち上げや会社経営は、決してMBAや座学で学べるものではなく、実際に手足を動かし、トライアンドエラーを沢山しながら学んでいくものです。そのため、経験すればするほど、経営者としてのレベルが上がっていきます。
どれだけ会社員としてビジネスの経験があったとしても、経営者とサラリーマンでは根本的に考え方や背負っているリスクが異なります。
そのため、経営者としてのキャリアを積みたいのであれば、経営者になってしまうのが、一番近道だと感じています。23歳で起業した人と、30歳で起業した人は、知識や経験の差はあれど、どちらもスタートラインは一緒なのです。
もちろん、事業を起こしたい分野や経営したい会社のサイズによって、前提が異なります。しかし、経営者としてのキャリアを作りたいのであれば、できる限り早いうちから経営者としての経験を積んでいくことが、将来的な競争優位性となると考えています。
世間から注目を浴びやすい
僕の場合は24歳で起業しましたが、若手起業家として世の中から注目されることが多いです。僕の場合は、海外進出支援という、比較的専門性の高い分野で起業しました。その業界でビジネスをされている方は、年齢が僕よりひと回り、ふた回り上の方がほとんどです。
以前、政府関係の団体が主催したイベントの登壇者としてお呼びいただくことがありました。そこでは、登壇者が合計で25名程度いらっしゃいましたが、自分が圧倒的な最年少でした。
そのため、実績よりも若さで注目されることが多く、僕のキャリア選択の面白さや、フットワークの軽さから商談に結びつくことが多くありました。もちろん若さそれ自体は、お客様にとって価値がないため、これに甘んじてはいけません。
人から助けてもらったり、応援してもらいやすい
これまで、本当に多くの経営者やビジネスマンの先輩から、いろんな局面で助けていただきました。自分の無知さゆえに、会社が危機的な状況に陥った時は、「会社がやばいんですが、どうしたらいいんですか。。?」と泣きついたこともあります。そんな時は、本当に周囲の方の助けていただくことばかりでした。
日本社会は挑戦者に優しくないとよく言われますが、実際自分と同じように、若い時から挑戦をし続けて来た方ほど、困っている若者を助けたくなるものだと思います。
「起業家思考」を身につけ、環境適応するスピードが早い
20代は一般的に経験や知識がまだ浅いと思われています。しかしその分、「素直さ」という素質を持っていれば、既成概念がない分、どんどんと新しい価値観や知識を吸収していけるポテンシャルがあります。
起業家とサラリーマンでは、そもそも考え方や発想の仕方が全く異なります。代表的なものを上げると、いかに最短で結果の出る事業を作るか、いかに経営のリスクを下げるか、いかにパートナーを見つけるか、いかに資金調達をするかなど、考えることが山ほどあります。その多くが、サラリーマン時代には、考えたこともなかったことかもしれません。
もちろん、常に既成概念を疑って、新しい価値観を手にいれる努力をされている方であれば、年齢は関係ないかもしれません。しかし、20代の若さで独立・起業して経営を経験すると、起業家としての思考が当たり前となり、経営者として成長するスピードが圧倒的に早くなる可能性があると考えています。
起業に失敗しても比較的再就職がしやすい
起業して失敗することはあまり考えたくないかもしれません。しかし、どんなにうまくいくイメージができていても、起業して成功する保証はどこにもありません。僕が見てきた中では、優秀な起業家ほど、リスクヘッジの考え方を徹底しています。
そのため、もし会社が立ち行かなくなってしまった場合は、恐らく再就職するという選択肢が一番現実的かと思います。しかし20代であれば、再就職は比較的しやすく、会社によっては、起業してい時に会社経営で身につけたスキルを評価してくれる企業は多くあります。
実はお恥ずかしい話ですが、僕も事業が立ち行かない時は、転職エージェントに登録をして、転職活動をしていました。結果的に、起業していた時に、ウェブマーケティングやサイト制作、海外市場調査などのスキルを身につけていたので、それらが評価され、内定をいくつかもらうことができました。
親が元気で介護の必要がない
『平成25年度 介護保険事業状況報告』によると、「65~69歳で介護が必要になるのは20人に1人」「70~74歳では10人に1人」というデータがあります。これは30〜40代になると、親の介護をしなければならない可能性が高くなるということです。親の介護が必要なタイミングで起業をするというのは、精神的にも金銭的にも厳しいのではないでしょうか。一方で20代であれば、まだ親が元気な場合が多いと思います。そして、実家が近くにあれば、実家に住んでコストを下げることも可能です。起業して仕事に100%集中できる時間も、意外と限られているのではないでしょうか。
家庭を持っていない場合が多い
20代も後半になってくると、周囲が結婚したり、家庭を持ったりします。こうなると、周囲に流されやすい人ほど、結婚して家庭を持つことに必死になり、守りの体制に入ってしまう傾向にあります。
学生時代、あれほど起業家精神に満ち溢れていた親友が、家庭を持ってからは、守備体制を固めることに集中しているなんてこともあります。(もちろん、人それぞれ価値観はありますが)
また、結婚して家庭を持った後の起業は、家族ぐるみの重大な決断となります。僕が参加している起業家支援プログラムでも、ご家庭がある方ほど、かなり起業に対しては慎重にならざるを得ない方が大半です。
そのため、20代のできるだけ早い段階で起業をすることで、ビジネスを成長させることだけにエネルギーを使うことができます。
20代で独立・起業するデメリット
ビジネスを行う上で必要な経験や人脈が少ない
これは20代で経験のない方であれば当たり前のことかもしれません。30代や40代であれば、業界について知り尽くしており、人脈も豊富にあるという点が強みとなるでしょう。
会社員時代に既に経験がある分野で起業する場合、ビジネスの全体像が分かってる状態でのスタートになります。そのため、業界の専門知識や課題を知り尽くし、最短で事業を立ち上げられやすいでしょう。
一方で20代独立・起業であれば、ほとんど業界の知識を知らないか、全くのど素人の場合もあるでしょう。まさに、僕はど素人の状態で、海外進出支援という比較的専門性が高い分野に参入しました。
そのため、最初はビジネスを立ち上げる足がかりが、なかなかつかめず、何をしていいのかわからない悶々とした日々が数ヶ月続きました。
やりたくないこと、苦手なことを経験するチャンスが少ない
独立・起業して経営者になると、自分の好きなように会社を経営できます。起業してからは、仕事の内容は、自分の興味のあることや好きなことをすれば良いのです。しかし、一方で自分の苦手なこと、嫌いなことを経験する機会を持てないということにもなります。
例えば、僕は社会人1年目でIT企業に就職しましたが、そこでは毎日Excelを死ぬほど使っていました。僕は細かい作業や、データ分析に対して、アレルギー反応があるくらい苦手意識を持っていたので、最初は本当に苦痛でした。
しかし、毎日業務でExcelの関数を覚えたり、データを分析していくうちに、次第に楽しく感じるようになりました。今では、会社員時代に学んだ、Excelやデータ分析のスキルが起業でもかなり活きています。
このように、会社員をやっていれば、強制的に新しいスキルを獲得することができます。これは、独立・起業して1人でやっていく上では、身につけるという選択肢がない場合もあります。しかし、会社員として得たスキルが、起業をした後の可能性を広げてくれるものだと思います。
スキルや技術に依存する職種の場合、単価を上げるのが難しい
これは、スキルや技術が必要な職種で独立をした場合のデメリットです。例えば、プログラマーや講師業、コンサル、士業などがそれに該当すると思います。専門性の高さが求められる業界では、お客様からいただける報酬が、業界での実務経験や専門知識に比例することが多いと思います。
20代であれば、まだ業界経験が浅く、簡単な仕事を安く発注され、スキルが上がらず、また安い仕事を受けるという悪循環に入る可能性があります。そこでは、自分で必死に実績を積み重ねて新しいチャレンジをしないと、なかなか報酬が上がらないということもあります。
事業を行う資金がない
これは僕がまさにそうでした。対して貯金もないまま、勢いで独立してしまったため、独立直後は本当に資金的に苦しかったです。笑 毎日食費は500円以内、できる限り自炊をして、徹底的に節約を心がけていました。
20代であれば、資金的には余裕のある方はそれほどお多くないのではないでしょうか?この部分は、創業融資や助成金などの制度もあるので、税理士に相談し、どんな資金調達方法があるのかを聞いてみるのもよいでしょう。
無知が故に、リスクを取りすぎることがある
20代ではいい意味でも、悪い意味でも、無知です。それ故に、無謀な計画を描いて、自分本位の価値がないサービスを作ってしまいがちです。そこに、投資家などから資金を集めていると、いざ事業が立ち行かなくなった時に、後に引くにも引けいない状態になってしまいます。
個人投資家やベンチャーキャピタルから多額の資金を調達したはいいものの、事業が失敗した結果、調達したお金を払い続けている人もいます。(エクイティでの調達にも関わらずです…)彼らは、ソーシャルネットワーク上からも姿を消し、音信不通になった方も知っています。
若いうちの失敗は買ってでもしろという言葉はありますが、資金的なリスクを伴う無謀な挑戦の場合、人生を狂わせてしまう可能性さえあります。
事業がうまくいかない時に、食いつなぐスキルを持っていない
やりたいと思っている本命の事業は、すぐに収益が出ない場合が多いです。その場合、他の仕事をしながら自分たちの生活費や事業の運営費用を稼がなければなりません。
そんな中、20代ではお金になるスキルを持っていないことが多いため、資金的に苦しむことになるケースが多いと感じています。
かく言う僕もこれには大変苦労したのですが、本業を行う上で身につけた、ウェブ制作スキルやビジネス英語を、そのままサイドビジネスとして収益化させました。具体的には、ウェブサイトの受託制作や、ビジネス英語のレッスンをビジスマン向けに提供するなどです。
正直、一度食いつなぐためのスキルを得てから、独立・起業すると、精神的な安定感が段違いです。もし、資金的に厳しくなれば、いつでもそのスキルを使って稼げるというリスクヘッジができるからです。
20代なら比較的学習能力が高いので、プログラミングなどのスキルを短期で学ぶのが良いでしょう。IT業界は常に人が足りていないため、コーディングができるだけで、しばらくは仕事には困らないはずです。プログラミングスクールに短期集中で行き、その後に起業するというキャリアが個人的にはオススメです。
精神的なアップダウンが経営に影響を及ぼす
人間は年齢が若く、人生経験が浅いほど精神的な安定性も低くなる傾向にあります。20代の起業家は、30代以降の起業家に比べて、精神的に揺れ動きやすいと感じています。少しでも失敗したり、上手くいかないことがあれば、ビジネスを放棄してしまったり、諦めてしまったりするのも、20代が多いのではないでしょうか。
これは、仕事以外にも恋愛関係がうまくいかない、人間関係に悩んでいるなど、仕事以外の部分の悪影響が、起業家のモチベーションを奪ってしまうこともあります。
20代で独立・起業する戦略的なキャリア構築方法
では、20代で独立・起業するには具体的にどんなキャリアを作っていけばいいのでしょうか。今の僕が考えるオススメのルートを書いておきます。
「やりたいこと」「できること」「求められること」を徹底して考える
20代に関わらず、独立・起業をする場合には、この3つの質問が非常に大切だと感じています。どれか一つでも欠けていると、独立・起業しても事業がうまくいかないのです。
例えば、「やりたいこと」のみを優先して、自分の能力や需要を読み誤れば事業は立ち上がりません。また、「できること」「求められること」のみをやっていては、誰かのためにひたすら消耗していく感覚が強くなり、「自分は何のために起業したのか…」と起業した意味が分からなくなる場合があります。
キャリアを相談する
上記の3つの質問で、自分の軸をまずは作ってください。そして、その軸を意識した上で、どんな分野で起業したいのか、どんなライフスタイルであればいいのかなど、自分が成功した状態をありありと描いてください。
その上で、3年、5年といった中期的なゴールを仮にてもいいので設定しておき、そこに至るまでのキャリアを書き出しておきましょう。
既に就職している場合
大学生の場合
まだ、あなたが大学生の場合は、起業前に一度就職をした方がいいかもしれません。その場合は、起業すると前提で新卒のファーストキャリアを選んだ方が良いでしょう。周囲の起業家に相談するのもいいですし、社会人とできるだけ接点を持つのも良いでしょう。
大学生のうちは、社会人との接点が少ないため、なるべく多くの社会人に会った上で、キャリア形成を考えた方がいいでしょう。大学生が社会人とざっくばらんに話せるサービスを使うのもオススメです。
僕は、正直学生のうちにスモールビジネスをやっておけばよかったと少し後悔しています。元手のかからない、アフィリエイトや講師業、受託制作やせどりなど、何でも良いので一度小さくビジネスを始めておけばよかったと感じています。
ビジネスの基本は、とてもシンプルです。どんなビジネスであっても、「売上ーコスト=利益」という構造になるため、事業の全体像を把握することができます。このスキルは、会社に入ってからも非常に役立ち、事業を俯瞰する能力が非常に高まると感じています。
まとめ
これまで20代で独立・起業するメリット・デメリットを書いてきましたが、本当にあたなに最適なタイミングは、あなたしかわかりません。少なくとも、迷いがあるうちは、起業はしない方がいいでしょう。
しかし、常にどんな事業をやりたいか、どんな人生を歩みたいかを、自分に問いかける癖をつけてください。そうすると、起業する分野ががある日直感的に見つかったり、起業という手段ではない方が良い場合さえあります。
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