英語の発音には地域による微妙な差があります。たとえば東南アジアの国々で話されている英語の発音は、アメリカ英語やイギリス英語にはない特徴が見いだせます。
英語にも訛りがあるという事実は、日本人が英語を日本語くさい発音でしゃべっても必要以上に恥ずかしがることはないという勇気を与えてくれます。
東南アジアの国々に共通する英語の発音の特徴
東南アジア圏に独特の英語の発音上の特徴は、日本人にとっては馴染みのない発音です。これは現地の言葉の特徴的な発音の影響を受けて訛ったと解釈できます。
特にマレーシア、フィリピン、インドネシアなどでは特徴的な傾向が挙げられます。
/θ/ が /t/ に変わる
スペルでいうと、「th」にあたる音が「t」の音に変わります。短く切ったような音に変わることがポイントです。
- think
/θíŋk/ ではなく /tíŋk/ と発音されます。日本語で表記すると「チンク」のようになります。
- everything
/évriθìŋ/ ではなく /évritìŋ/ と発音されます。日本語で表記すると「エブリチング」のようになります。
- three
/θríː/ ではなく /tríː/ と発音されます。「tree」と全く同じ発音になるのです。
語尾の子音は発音されない
語尾の子音の発音は省略されやすいです。例えば、/p/ /t/ /k/ /b/ /d/ /g/ が語末にくると、その音は発音されません。
- sweet
sweet の発音記号は /swíːt/ と表記されます。しかし、東南アジアで話される英語では、語末が /t/ であるため、/swíː/ のように発音されます。日本語で表記すると「スウィー」となります。
- car park
car park は特にシンガポールではよく見聞きする単語で、イギリス英語で「駐車場」を意味します。car park も /k/ を語末に含んでいるため、/k/ は省略されます。日本語で表記すると、「カパ」と発音されます。
- want
want の発音記号は /wάnt/ で表記されます。ですが、東南アジアの英語では、/wάn/ と発音されます。英語の「one」と非常に似た発音になります。
- she told me
動詞であっても、語尾の子音は発音されません。英米圏の英語では日本語で表記すると「シートールドミー」のように聞こえます。ですが、東南アジアの英語では、「シートー(ル)ミー」のように聞こえます。
特筆すべき国ごとの発音の特徴
東南アジアの国同士でも英語の発音には違いがあります。短く切って発音したり、特定の音が変化する場合があります。
マレーシアでは特定の母音が短く発音される
マレーシアで話される英語において、本来伸ばして発音されるべき音が短く切って発音される場合があります。例えば、/iː//ɑː//ɔː//uː//ɜː/ はそれぞれ /i//ɑ//ɔ//u//ə/ といった発音になります。
- food /fud/
本来、food の発音記号は /fúːd/ と表記されます。マレーシアでは、日本語で表記すると「フッド」のように発音されます。
- girl /gˈəl/
girl の発音記号は /gˈɚːl/ と表記されますが、マレーシアでは、日本語だと「ガル」に近い発音に聞こえます。
フィリピンでは /f/ が /p/ と発音される
フィリピンで話される英語においては、/f/ が /p/ として発音されます。
- Filipino
Filipino は発音記号では /fìləpíːnoʊ/ と表記されます。フィリピンでは /pìləpíːnoʊ/ と発音される場合が多々あります。日本語で表記すると「ピリピーノウ」といった発音です。
さらに、funny(/fˈʌni/)や confuse(/kənfjúːz/)を発音する場合でも、フィリピンで話される英語では、それぞれ日本語で表記すると「パニー」、「コンピューズ」などと発音されます。
インドネシアでは、/v/ が /f/ と発音される
インドネシアで話される英語では、/v/ が /f/ として発音されます。
- have
本来の have の発音記号は /həv/ と表記されます。ですが、インドネシアでは /həf/ と発音されます。
- victory
victory の発音記号は /víktəri/ と表記されますが、インドネシアでは /fíktəri/ と発音されます。日本語で表記すると「フィクトリー」のような発音になります。
東南アジアで話される英語の発音には他にもたくさんの特徴があります。さらに、育った地域や環境によっても、発音の「癖」や「訛り」はまちまちです。できるだけたくさんの英語に触れるように心がけましょう。