英語の比較級における最上級は、基本的に《形容詞または副詞の原形+ 接尾辞-est 》の形で表現されます。
最上級の語尾につく -est は、発音上は、字面そのまま /est/ と発音するよりも、むしろ /ɪst/ に近い音として発声されます。あまり特筆されない部分ですが、これを知っていると発音がぐっと英語らしく聞こえます。
形容詞・副詞の最上級の作り方おさらい
英語の比較級で規則変化する語の最上級は語尾に -est を付けた形で表記されます。たとえば、形容詞 long (長い)の最上級は longest と表記されます。
ただし語尾が e の字で終わる語の場合、e の重複を避ける形で -st だけ付く格好になります。nice なら nicest、cute なら cutest になります。
また、語尾が《短母音+子音》で終わる hot や big のような語は、末尾の子音の字を重ねて表記した上で -est を付けます。hot なら hottest 、big なら biggest になります。
語尾が《子音+y》の形を取る easy のような語は y を i に変えて綴り、その上で -est を付けます。easy なら easiest になります。
形容詞や副詞の最上級の語尾につく「est」の発音のコツ
形容詞と副詞の最上級の語尾につく est の発音のコツは、/ɪst/ と発音することです。/ɪst/ と発音すると、より英語らしい発音に聞こえるといわれています。
実際に最上級の語尾 est を発音する場合のポイントは、最初の /ɪ/ の発音で舌の位置と口の開きを意識することです。
/ɪ/ と発音する際は、舌先は下前歯の裏にかすかに触れるように置かれます。舌の前方部を口内上部に向かって少し持ち上げます。
発音する際は、あごを少しだけ下げます。口の開きは最小限にとどめます。唇には力を入れず、リラックスさせます。
残りの /st/ を発音する場合はまず、上下の前歯をかみ合わせるように近づかせます。/s/ は上下の前歯の隙間から空気が抜けることで発声されます。一方 /t/ は、舌先を上の歯茎に触れた状態から離すことで発音されます。
形容詞と副詞の最上級の語尾につく est の発音は「エスト」といった日本語の音より「ィスト」といった風に聞こえます。
最上級で表された形容詞と副詞の例
最上級の語尾につける /ɪst/ を、形容詞・副詞とセットにして発音の練習をしてみるとよいでしょう。/est/ ではなく /ɪst/ と発音することで、英語らしい発音に聞こえるでしょう。
- biggest(/bɪɡ.ɪst/ )
- funniest(/fʌni.ɪst)
- tallest(/tɑːl.ɪst/)
- youngest(/jʌŋ.gɪst/)
- nearest(/nɪr.ɪst/)
best や west の「est」の発音との違い
best や west の est は、発音記号で /est/ と表されます。est(/est/)の初めの音が /ɪ/ ではなく /e/ である点で、形容詞と副詞の最上級の語尾につける est(/ɪst/)とは異なります。
/e/ を発音する際は、/ɪ/ と異なり、舌を口内下部へ軽く押し付けるように位置させます。
口をあまり開かずに発声される /ɪ/ の発音と異なり、/e/ の発音ではあごを下げて、口を開いて発音されます。/est/ は「エスト」といったような音に聞こえます。
したがって形容詞と副詞の最上級の語尾につく est(/ɪst/)は、best などの est と比較して、舌の位置や口の開きで発音の仕方の区別ができます。
フラップT(flap-T)によって発音が変化する最上級の形容詞・副詞
形容詞と副詞の最上級の語尾につく est の発音が /ɪst/ と発声されるだけではなく、フラップTと呼ばれる英語独特の発音ルールが形容詞・副詞の最上級の発音に変化を与えます。
フラップTは、/t/ が母音に挟まれている場合か /t/ が「前を /r/ 後ろを母音」によって挟まれている場合に、/t/ が /d/ や /r/ の発音に変化する英語独特のルールです。
例えば形容詞 smart の最上級 smartest が、フラップTが適用される英単語に当てはまります。smartest は発音記号で /smɑːrt.ɪst/ と表され、/t/ が /r/ と 母音 /ɪ/ とに挟まれているとわかります。
したがって smartest の /t/ が /d/ に変わり、smartest は濁ったような発音になります。日本語では「スマーディスト」のように聞こえるかもしれません。
フラップTによって発音が変化する最上級の形容詞・副詞
フラップTによって発音が変化する最上級の形容詞・副詞は、smart の他にもいくつかあります。
ひとつひとつ発音記号を確認して、とするのは骨の折れる作業なので、まず声に出して発音してみることが大切です。
- smartest(/smɑːrd.ɪst/)
- brightest(/braɪd.ɪst/)
- greatest(/ɡreɪd.ɪst/)